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50 問題は例のあれですよ!
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天上界では、光の女神が勇者ムサシのヘタレぶりを観察していた。
「関わるなとは言ったけど、模擬戦もできないなんて、なんと情けない。
次の勇者を召喚しましょう。
うんとチートな特典をつけて」
光の女神が、ひきつった顔でつぶやいた。
光の女神は、スマホに似た魔道具を取り出した。
「召喚ガチャ、だいぶたまっているけど……。
わたくしはくじ運が悪いというか」
女神はガチャをひいて、カプセルを開け、候補者データを確かめる。
彼女に被召喚者候補を選ぶ権利はない。彼女は日本のカミトモ、アマテラスと「召喚協定」を結んでいる。
何かの事情で、最近死んだ日本人の情報が、カプセルに込められている。
不思議に、誰かを助けるため、居眠りトラックに跳ね飛ばされるというパターン確率が高い。
光の女神は、ガチャで出てきたリストの中から、アマテラスが候補に選んだ、被召喚者を決定することが可能だ。
ちなみに、日本でスマホゲームが流行る前には、おみくじを引いていた。
「なんと! 星マーク五つ!
超レア引き当てました!
ケンイチ以来ですね。
女ですか……。
いえ、身体能力は男にかなわないけど、対現魔王には適しています。
これに決めましょう」
光の女神は、超ご機嫌で召喚魔法を唱えた。
魔法陣の中から、若い女の子の霊体が出てきた。
「ようこそ!
沖田総子。
歓迎いたします」
きょろきょろと、あたりをうかがっていた女の子の霊体は、光の女神に注目。光の女神は、生身で直視できないほどまぶしいが、霊体なので問題ない。
「あの~、ここはどこでしょう?」
「惑星アンジェラ。地球と次元が近い星です」
「あの~……、トラックに、はねられた記憶があるんですけど。
子猫がやばそうだったので。
もしかして、あれですか?」
「そうです。異世界転移です。お約束のセリフ、言ってもいいですよ」
「見知らぬ天井だ?」
「あたりまえです。ここは天上界。天井なんてありません」
生真面目女神、精一杯の女神ギャグでした。
総子はガン無視する。
「で、私がやるべきことは、やっぱりお約束通りなんですか?」
「もちろんです!
魔王をやっつけちゃってください!」
光の女神は、もちろん空気なんて読まない。
「なるほど……。おそろしいほど、お約束通りなんですね?」
総子の魂は、虚脱して言う。
「あなたは剣道の達人です!
バッチリ加護、つけちゃいます!
いきなり無双のスキルはあれですが、成長したら魔王なんてちょちょいのちょい!」
「スキルの方はお任せします!
問題は、例のあれですよ!」
「例のあれ?」
「肉体改造です!
筋肉マッチョじゃないですよ!
女神様に、見違えるほど、美しい容貌と体を与えられる!
女の子にとって、最重要課題です!」
「あ~、それね……。
任せてください!」
今までの召喚者とは違った展開に、若干戸惑う光の女神だった。
「まずスキルを決定しましょう。
あなたは剣の天才。
剣聖スキルが基本でよろしいですか?」
女神が聞く。
「はい。それで」
総子はウムウムとうなずきながら答える。
「剣聖スキルに加え、一推しは太陽剣スキルです。
女の子ですから、魔力もバッチリサービスしておきましょう。
他には?」
「鑑定とか、マジックボックスが基本ですね?」
「マジックボックス、ね……。
私、時空魔法、それほど得意ではありませんが、がんばりましょう」
実は光の女神、自分が加護したミレーユに、密かなコンプレックスを持っていた。
あの子、夜空城直通のアイテムボックスを作ってしまった。あれは絶対ムリ!
劣化抑止とオートソート。ドーム球場程度の容量が限度だ。まあ、それでも国宝級以上の価値はある。文句はないだろう。
「それとですね……」
総子の注文は、かつてないほど無理筋だった。
光の女神はこう皮肉りたかった。
「ケーンの嫁になったら?」
あの男には、夜の女王とミレーユがついている。
なんだか悔しいです!
「関わるなとは言ったけど、模擬戦もできないなんて、なんと情けない。
次の勇者を召喚しましょう。
うんとチートな特典をつけて」
光の女神が、ひきつった顔でつぶやいた。
光の女神は、スマホに似た魔道具を取り出した。
「召喚ガチャ、だいぶたまっているけど……。
わたくしはくじ運が悪いというか」
女神はガチャをひいて、カプセルを開け、候補者データを確かめる。
彼女に被召喚者候補を選ぶ権利はない。彼女は日本のカミトモ、アマテラスと「召喚協定」を結んでいる。
何かの事情で、最近死んだ日本人の情報が、カプセルに込められている。
不思議に、誰かを助けるため、居眠りトラックに跳ね飛ばされるというパターン確率が高い。
光の女神は、ガチャで出てきたリストの中から、アマテラスが候補に選んだ、被召喚者を決定することが可能だ。
ちなみに、日本でスマホゲームが流行る前には、おみくじを引いていた。
「なんと! 星マーク五つ!
超レア引き当てました!
ケンイチ以来ですね。
女ですか……。
いえ、身体能力は男にかなわないけど、対現魔王には適しています。
これに決めましょう」
光の女神は、超ご機嫌で召喚魔法を唱えた。
魔法陣の中から、若い女の子の霊体が出てきた。
「ようこそ!
沖田総子。
歓迎いたします」
きょろきょろと、あたりをうかがっていた女の子の霊体は、光の女神に注目。光の女神は、生身で直視できないほどまぶしいが、霊体なので問題ない。
「あの~、ここはどこでしょう?」
「惑星アンジェラ。地球と次元が近い星です」
「あの~……、トラックに、はねられた記憶があるんですけど。
子猫がやばそうだったので。
もしかして、あれですか?」
「そうです。異世界転移です。お約束のセリフ、言ってもいいですよ」
「見知らぬ天井だ?」
「あたりまえです。ここは天上界。天井なんてありません」
生真面目女神、精一杯の女神ギャグでした。
総子はガン無視する。
「で、私がやるべきことは、やっぱりお約束通りなんですか?」
「もちろんです!
魔王をやっつけちゃってください!」
光の女神は、もちろん空気なんて読まない。
「なるほど……。おそろしいほど、お約束通りなんですね?」
総子の魂は、虚脱して言う。
「あなたは剣道の達人です!
バッチリ加護、つけちゃいます!
いきなり無双のスキルはあれですが、成長したら魔王なんてちょちょいのちょい!」
「スキルの方はお任せします!
問題は、例のあれですよ!」
「例のあれ?」
「肉体改造です!
筋肉マッチョじゃないですよ!
女神様に、見違えるほど、美しい容貌と体を与えられる!
女の子にとって、最重要課題です!」
「あ~、それね……。
任せてください!」
今までの召喚者とは違った展開に、若干戸惑う光の女神だった。
「まずスキルを決定しましょう。
あなたは剣の天才。
剣聖スキルが基本でよろしいですか?」
女神が聞く。
「はい。それで」
総子はウムウムとうなずきながら答える。
「剣聖スキルに加え、一推しは太陽剣スキルです。
女の子ですから、魔力もバッチリサービスしておきましょう。
他には?」
「鑑定とか、マジックボックスが基本ですね?」
「マジックボックス、ね……。
私、時空魔法、それほど得意ではありませんが、がんばりましょう」
実は光の女神、自分が加護したミレーユに、密かなコンプレックスを持っていた。
あの子、夜空城直通のアイテムボックスを作ってしまった。あれは絶対ムリ!
劣化抑止とオートソート。ドーム球場程度の容量が限度だ。まあ、それでも国宝級以上の価値はある。文句はないだろう。
「それとですね……」
総子の注文は、かつてないほど無理筋だった。
光の女神はこう皮肉りたかった。
「ケーンの嫁になったら?」
あの男には、夜の女王とミレーユがついている。
なんだか悔しいです!
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