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29 実は意外な縁があったのです
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読者の皆様、あけましておめでとうございます。正月の暇つぶしにお読みいただけたら幸いです。
猫又 拝
ユリは湯船の中で、う~んと体を伸ばした。
お湯を張った風呂なんて久しぶり。さすがトリプルSの家は違う。なんか泡が出てるし……。
じぇっとばす、というそうだ。「ジェットだけど飛ばないよ」という、ケーンの説明は意味不明。
なんでも、「ジェット機」という、空を飛ぶ魔道具が地球にあるそうだ。
まあ、手のひらに載る魔道具で、複雑なゲームコンテンツが詰め込める世界だ。特別に驚きもしない。
ユリは知らなかったが、実はゲーム〇ーイアドバンス、先代、つまりユリの母親が、呪いを解く代償として、受け取ったものだ。ケンイチから。
ケンイチが夜空城から下界へ遊びに下りた時、ユリの母親と出会った。
母親は既に既婚者で、しかもケンイチは四人の嫁に対し、絶対的な貞節を守っていた。正確に言えば、守らざるをえなかった。
したがって、ロマンスは生まれなかった。ユリの母親も幸せいっぱいのころ。ためらいなくゲー〇ボーイアドバンス一台で手を打った。
キキョウの家の大きさは、3LDKと小ぢんまりとした平屋だが、内装や設備は凝っていた。
なにせ伝説のシャワートイレがあったのだから。ケーンはあれでなければ大の用が足せないから、設置し直したそうだ。
たしかにあれを一度使うたら、そんな体質になってまうな。
シャワートイレあるあるで、最初びっくりして立ち上がってしまったが、慣れたらやみつきだ。
ユリはわからなくなってしまった。ケーンが恵まれているのか、不幸なのか。
落ちこぼれ、もしくは落ちこぼし家系に生まれた自分から見たら、うらやましすぎの一言。
超エリートの父親と、光の女神に匹敵する、母親の間に生まれた子供。
その二人の力や財力を、受け継いだだけではない。
夜の女王の力で、地球のハイテク技術を手に入れるのも朝飯前。
そして、トリプルSの嫁までゲットしてしまった。
この家のドアに貼られた紙を見て、ユリはすぐさまキキョウの武器庫を開けてみた。
思わずケーンに突っ込んでしまった。
「なんで最初から、この武器庫の装備使わんかった!
嫁が『なんでも使ってください』言うとるのに」
ケーンは、憤ってこう言い返した。
「知らなかったから、しょ~がねぇじゃん。
もっと上等なやつが、いくらでもあったんだ」
言われてみたらその通りだろう。なにせ夜の王宮から、直にお取り寄せ可能だったそうだから。
だが、それほど恵まれた男は、地獄ともいえる修行の結果、その力を得ていた。
そしてたどりついた境地が、「絶対強者の退屈」だったとは皮肉なものだ。
ユリは自分のおっぱいを両手でつかむ。
ユリにとっては、有難迷惑そのもの。男には興味がないし、おっぱいだけで寄ってくる女もいなかった。
このFカップおっぱいは、男がらみのトラブルしか生まない。
キキョウの中パイが、なんとうらやましく思えたものか。
ユリがキマイラスーツの上に装備した、毛皮の胸当てやパレオは、戦闘のたびふっとんだ。
即席で作ったものだから、仕方なかったが、男によっては素っ裸より刺激的だっただろう。
ケーンはチラ見していたが、意識的に視線をそらしていた。
その様子がかわいく思えたのは内緒だ。
フフ、明日もあの装備やめられんな……。
ユリはふと気づいた。
なんだか勇者への恨みは、消し飛んでしまった。
まあ、ええか。
ユリにとっても、明日からの冒険が楽しみになっていた。
キキョウの家の外。長身の男女がたたずんでいた。
「キキョウ様の伝言ぐらい、セーフだよな?」
「まあ、この家に帰ったら、武器庫ぐらいあの女は見つけてるでしょ。
かろうじてセーフ。
あなた、よく我慢したわね。
地上の野外セックスも、ありじゃない?」
二頭のペガサスは、くんずほぐれつの一戦に突入した。
ベッドで休みながらケーンは思う。
母ちゃん、ホワイトまでよこしたのか。
全く親バカなんだから。
不器用なブラックの尾行には、とっくに気づいていたケーンだった。
猫又 拝
ユリは湯船の中で、う~んと体を伸ばした。
お湯を張った風呂なんて久しぶり。さすがトリプルSの家は違う。なんか泡が出てるし……。
じぇっとばす、というそうだ。「ジェットだけど飛ばないよ」という、ケーンの説明は意味不明。
なんでも、「ジェット機」という、空を飛ぶ魔道具が地球にあるそうだ。
まあ、手のひらに載る魔道具で、複雑なゲームコンテンツが詰め込める世界だ。特別に驚きもしない。
ユリは知らなかったが、実はゲーム〇ーイアドバンス、先代、つまりユリの母親が、呪いを解く代償として、受け取ったものだ。ケンイチから。
ケンイチが夜空城から下界へ遊びに下りた時、ユリの母親と出会った。
母親は既に既婚者で、しかもケンイチは四人の嫁に対し、絶対的な貞節を守っていた。正確に言えば、守らざるをえなかった。
したがって、ロマンスは生まれなかった。ユリの母親も幸せいっぱいのころ。ためらいなくゲー〇ボーイアドバンス一台で手を打った。
キキョウの家の大きさは、3LDKと小ぢんまりとした平屋だが、内装や設備は凝っていた。
なにせ伝説のシャワートイレがあったのだから。ケーンはあれでなければ大の用が足せないから、設置し直したそうだ。
たしかにあれを一度使うたら、そんな体質になってまうな。
シャワートイレあるあるで、最初びっくりして立ち上がってしまったが、慣れたらやみつきだ。
ユリはわからなくなってしまった。ケーンが恵まれているのか、不幸なのか。
落ちこぼれ、もしくは落ちこぼし家系に生まれた自分から見たら、うらやましすぎの一言。
超エリートの父親と、光の女神に匹敵する、母親の間に生まれた子供。
その二人の力や財力を、受け継いだだけではない。
夜の女王の力で、地球のハイテク技術を手に入れるのも朝飯前。
そして、トリプルSの嫁までゲットしてしまった。
この家のドアに貼られた紙を見て、ユリはすぐさまキキョウの武器庫を開けてみた。
思わずケーンに突っ込んでしまった。
「なんで最初から、この武器庫の装備使わんかった!
嫁が『なんでも使ってください』言うとるのに」
ケーンは、憤ってこう言い返した。
「知らなかったから、しょ~がねぇじゃん。
もっと上等なやつが、いくらでもあったんだ」
言われてみたらその通りだろう。なにせ夜の王宮から、直にお取り寄せ可能だったそうだから。
だが、それほど恵まれた男は、地獄ともいえる修行の結果、その力を得ていた。
そしてたどりついた境地が、「絶対強者の退屈」だったとは皮肉なものだ。
ユリは自分のおっぱいを両手でつかむ。
ユリにとっては、有難迷惑そのもの。男には興味がないし、おっぱいだけで寄ってくる女もいなかった。
このFカップおっぱいは、男がらみのトラブルしか生まない。
キキョウの中パイが、なんとうらやましく思えたものか。
ユリがキマイラスーツの上に装備した、毛皮の胸当てやパレオは、戦闘のたびふっとんだ。
即席で作ったものだから、仕方なかったが、男によっては素っ裸より刺激的だっただろう。
ケーンはチラ見していたが、意識的に視線をそらしていた。
その様子がかわいく思えたのは内緒だ。
フフ、明日もあの装備やめられんな……。
ユリはふと気づいた。
なんだか勇者への恨みは、消し飛んでしまった。
まあ、ええか。
ユリにとっても、明日からの冒険が楽しみになっていた。
キキョウの家の外。長身の男女がたたずんでいた。
「キキョウ様の伝言ぐらい、セーフだよな?」
「まあ、この家に帰ったら、武器庫ぐらいあの女は見つけてるでしょ。
かろうじてセーフ。
あなた、よく我慢したわね。
地上の野外セックスも、ありじゃない?」
二頭のペガサスは、くんずほぐれつの一戦に突入した。
ベッドで休みながらケーンは思う。
母ちゃん、ホワイトまでよこしたのか。
全く親バカなんだから。
不器用なブラックの尾行には、とっくに気づいていたケーンだった。
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