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14 初デートはオーク討伐

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 キキョウは、ケーンの腰をがっちり抱えて、ブラックに乗せてもらっている。

なんとブラックは、神馬ペガサスだった。

風の噂によれば、ペガサスは、五百歳を越えたら神馬と呼ばれ、人間に変化(へんげ)できるという。

その噂はマジだった。

装備も色々もらっちゃったし……。

私の自慢だった装備なんて、完全にお呼びでない超立派な。
試してみるのが怖いほど。

そして何より、この人はマジで、伝説の勇者二世だった。歴代最強がうたわれる、あのケンイチ様の。

そしてなんと、母親は、マジであの夜の女王様だという。

風の噂によれば、ある意味では、光の女神様以上の力を持つと聞く。

光の女神様は純精神体だ。

夜の女王様は……、どうやって子供作ったのだろう?


「ケーン様、オークの群れです」
 ブラックの太い声が、キキョウの思考を妨げた。

「二十頭はいるな。降りて」

「御意」
 ブラックは、風属性の魔法で森の木々を払い、地上に降りた。


キキョウは即戦闘モードに移る。

ケーン様にいいところ見せなくっちゃ! 

背負ったマサムネ改を、すらりと抜き放つ。

ケーンからもらったマサムネは、伝説となっている超レアドロップのマサムネではなかった。「改」が付く以上、マサムネを超えているのだろうが、確認のしようがない。

ほれぼれするほど美しい。

キキョウは、光の残像を残しながら刀を振るう。なんの抵抗も感じないほどの切れ味。

オークの首を落とした瞬間は、血が噴き出ないほど。

すごい……。

試しにオークの槍を、わざと受けてみた。

オークの槍は、見えない力にはじき返された。

オークは、体型の割にバカ力を持っている。それでも当たったとすら感じさせない。

魔法のミニスカクノイチ服もすごい……。

ケーン様が、どこかにオーダーしたら、即出てきたけど。

パンチラ上等の覚悟さえあれば、最高の防具だ。「オギン網タイツ」は、はいているが、もらったおパンツが透けてしまう。
網タイツはわかるが、「オギン」ってなんだろう?
魔法・物理防御も高いらしいが、魅了効果もありそう。
お風呂に入りたくなるのは、なにゆえ?

天使の羽ブーツ? 

マジで体が浮いてるんですけど! 

どうして踏ん張れるの? 

スピード十倍マシマシ? 

でも、全然負担を感じない。

ダメだ。オークでは実証実験にもならない。

キキョウは最後の一頭を仕留めた。

多分二三分? 

キキョウは刀を血振りしようとして気づいた。
血がついてない。

この装備なら、トリプルSじゃなくても無双じゃん! 
張り合いがないよ~! 

キキョウはがっくりと肩を落とした。


「キキョウ様、お見事です。
ちゃっちゃっと証拠部位を集めます」
 人間に変化したブラックが、能天気に拍手する。

「キキョウ、強いね。俺の嫁になる?」
 ケーンがキキョウの肩を抱く。

 その言葉を聞いた瞬間、キキョウの思考は止まった。
「はい……」
 無意識のうちに、受け入れてしまった。

言ってから、はっきり心を定めた。この子の…いや、この男性の嫁になる。

キキョウは、ケーンにがっちり抱きついた。
ケーンはキキョウを抱きしめる。

キキョウは感じた。なんだかたくましい……。ひょっとしたら、この人、本当はとんでもなく強いかも……。

そんなのどうでもいい。ケーン様の腕に抱かれ、たいそう心地いい。それだけは間違いない。

小柄なキキョウはケーンを見上げ、そっと目を閉じた。

んぐ……。いきなり舌がねじ込まれた。私のファーストキスが…ベロチュー? 

ま、いいか。ケーン様なら。

キキョウは、喜々としてケーンの舌を迎撃した。

「僭越ですが、テント出しましょうか?」
 ブラックが、にやにやして言う。

「よろしく」
 ケーンはキキョウの首筋を攻め始めた。

人間相手は初めてだが、母ちゃんの眷族メイドで、バッチリ修行は積んでいる。

どう料理してやろう……。ケーンはキキョウをお姫様だっこし、テントの中に入った。
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