僕が玩具になった理由

Me-ya

文字の大きさ
60 / 195
止まない雨-眞司の章-

3

しおりを挟む
いつもの視線を感じた。

俺を見詰める視線。

顔を上げると、本棚の陰からこちらを覗いている瞳を見付けた。

視線が合った途端。

恐る恐るこちらを覗いている人物の身体が固まる。

それは入学式の時から俺を見詰めていた視線。

1枚の写真が頭に浮かぶ。

それと共に、兄貴の顔も。

(…見つけた。コイツだ)

そうと分かると、一気に会長から興味が失せる。

会長は未だに僕にしがみつき、呻き、腰を振っている。

(さっさと終了させて、会長を帰らすか)

そう決めると、会長のいい場所を強く突き上げる。

その間も本棚の陰から覗いている瞳から視線を外さない。

一際高い呻き声を上げると躰を震わせてグッタリとしてしまった会長を無理矢理、立たせて服を着せる。

足の間から血が一筋滴り落ちたが、構わず図書室から追い出した。

会長は惚けてふらふらしていたが、見張りをしていた役員が2人、走り寄って会長を両側から支える。

図書室の扉を閉めた時、鍵をかける事も忘れない。

振り返った俺の瞳は、ソイツだけを見詰めていた。

俺が一歩足を踏み出す度に、ソイツは本棚の陰に隠れるように身体を縮める。

ソイツの目の前で止まると、人差し指を唇に当てて片目を瞑ってみせた。

「さっき見た事、誰にも秘密な?」

優紀は黙ってコクコクと頷いたが、顔を赤らめて俯く。

-どうやらコイツは俺の事が好きらしい。

優しく言葉をかけながらキスをしてやると…流石に吃驚したみたいだが、おずおずと遠慮がちに応えてくる。

不器用ながらもキスに応えようと必死な相手に俺は内心ほくそ笑みながら、ズボンの中へ手を入れた。

…キスに夢中なヤツはそれに気付いていない。

やんわりとソレを握り込むと同時に…手の中のモノが弾けた。

相手は吃驚したのか…固まっている。

(ま、そりゃそうか)

今まで他人に触られた事も、ましてや他人の手でイカされた事なんかないだろうし…。

顔を真っ赤にして固まってしまっているが…それでもこの場所から逃げようとしない。

それ程、俺の事が好きという事か。

(これは拾い物かも…)

育て方によっては俺の思った通りに育つかもしれない。

オマケに優紀には友人と呼べる人物はいないらしいし。

家族ともそんなに仲が良くないらしい。

(ますます好都合)

俺が独り暮らしをしている事も知らなかった。

確かに、住所は誰にも教えてないけど…独り暮らしをしている事は皆が知っている事なのに。

独り暮らしなのも住所も2人の秘密だと言ってやると、嬉しそうに頬を染めていた。

(喜んでいるのなら、いいか)

ま、嘘も方便という事で…。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

処理中です...