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ずれてゆくこわれてゆく-優紀の章-
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「………え……?」
眞司の言葉に僕は戸惑い、その場に立ちつくす。
先程まで浮かれていた気分が一気に萎んでしまう。
眞司に連れて行かれたホテルの一室で僕達を待っていたのは、2人の男女だった。
女性はスラリとスタイルがよくて髪の長い小顔の…美人…というか、可愛い感じで凄くニコニコしていて…その笑顔が何かを期待しているようで…不気味…男性は…えらく背が高くて体格がいいな…こっちは女性と正反対で凄い仏頂面だし…というのが2人を見た第一印象。
「…だから…この女性が男性同士がヤッているところを見てみたいって言っているから、この男性とシテ見せてやって」
…女性に僕が抱かれている姿を見せる……。
…その言葉の意味を理解すると同時に…血の気が引いた。
…今まで何人もの人に抱かれてきた…だから…他人に抱かれている姿を見られた事だって勿論あるし、その姿を眞司が裏動画で流してお金を稼いでいた事も知っている。
でも…それとこれとは違う。
僕が抱かれている姿をこんな…興味津々で見詰めている女性に見せるなんて…。
いくら眞司の命令でも…。
「…い…嫌だ…」
初めて眞司の言葉に反抗したからか…足が…声が…震える。
「…はあ?」
僕が眞司の指示に反抗すると思っていなかったからか…僕の声が細かったからなのか…眞司が聞き返してきた。
僕は震える足を踏ん張り、両手を握り締め…眞司を見詰めて口を開いた。
「…嫌だ!!」
ー瞬間。
左頬に強い衝撃が走り、僕の躰は吹っ飛んでしまい壁に肩をしたたかにぶつけた衝撃で一瞬、息が止まった。
「………う………」
「…ペットの分際で俺に反抗するとはいい度胸だな。躾け直してやる」
その言葉で僕は自分が眞司に殴られた事を知り、左頬を押さえたまま呆然とする。
今まで眞司に殴られた事は数え切れない程あったが、これ程強く殴られた事はなかった。
それ程、眞司は本気だという事だ。
(…に…逃げなきゃ…)
眞司に対してそんな事を思ったのは初めてだった。
今まで何をされても、眞司から逃げるなんて考えた事はなかったのに…。
でも、これは嫌だ…。
それは僕の、ほんの僅かな…僅かばかりのプライドだった。
僕の腕を掴もうと伸びてきた眞司の手を払い退けた。
眞司が吃驚している顔が見えたが、それどころじゃない。
僕は部屋から逃げようと緊張と恐怖で震える足をなんとか動かして、ドアをめがけて走った。
がー。
眞司に襟首を掴まれて引き戻される。
「…嫌だ!!」
ベッドの上に放られて、僕の服を脱がそうとしてくる手に抵抗する為両手、両足を振り回し暴れながら叫ぶ。
ベッドに仰向けに倒れた僕の上を跨ぐ眞司の右手が振り上げられてー。
バシッ!!
僕の左頬に衝撃が走る。
バシッ!!
今度は右頬に。
そして僕の耳元に顔を近付けて囁いた。
「…いつもと同じようにすればいいんだよ。少し我慢すりゃすぐ済むさ」
(…眞司は本気だ…)
…でも、僕もこれだけは譲れない。
こんな…面白半分で見ているような女性に見られるのは我慢できない。
「…嫌だ!!」
僕は手足をめちゃくちゃに振り回して暴れた。
でも、体格的にも体力的にも、僕が眞司にかなうはずがなく…
眞司に叩かれ、殴られて…僕は意識を失った…。
眞司の言葉に僕は戸惑い、その場に立ちつくす。
先程まで浮かれていた気分が一気に萎んでしまう。
眞司に連れて行かれたホテルの一室で僕達を待っていたのは、2人の男女だった。
女性はスラリとスタイルがよくて髪の長い小顔の…美人…というか、可愛い感じで凄くニコニコしていて…その笑顔が何かを期待しているようで…不気味…男性は…えらく背が高くて体格がいいな…こっちは女性と正反対で凄い仏頂面だし…というのが2人を見た第一印象。
「…だから…この女性が男性同士がヤッているところを見てみたいって言っているから、この男性とシテ見せてやって」
…女性に僕が抱かれている姿を見せる……。
…その言葉の意味を理解すると同時に…血の気が引いた。
…今まで何人もの人に抱かれてきた…だから…他人に抱かれている姿を見られた事だって勿論あるし、その姿を眞司が裏動画で流してお金を稼いでいた事も知っている。
でも…それとこれとは違う。
僕が抱かれている姿をこんな…興味津々で見詰めている女性に見せるなんて…。
いくら眞司の命令でも…。
「…い…嫌だ…」
初めて眞司の言葉に反抗したからか…足が…声が…震える。
「…はあ?」
僕が眞司の指示に反抗すると思っていなかったからか…僕の声が細かったからなのか…眞司が聞き返してきた。
僕は震える足を踏ん張り、両手を握り締め…眞司を見詰めて口を開いた。
「…嫌だ!!」
ー瞬間。
左頬に強い衝撃が走り、僕の躰は吹っ飛んでしまい壁に肩をしたたかにぶつけた衝撃で一瞬、息が止まった。
「………う………」
「…ペットの分際で俺に反抗するとはいい度胸だな。躾け直してやる」
その言葉で僕は自分が眞司に殴られた事を知り、左頬を押さえたまま呆然とする。
今まで眞司に殴られた事は数え切れない程あったが、これ程強く殴られた事はなかった。
それ程、眞司は本気だという事だ。
(…に…逃げなきゃ…)
眞司に対してそんな事を思ったのは初めてだった。
今まで何をされても、眞司から逃げるなんて考えた事はなかったのに…。
でも、これは嫌だ…。
それは僕の、ほんの僅かな…僅かばかりのプライドだった。
僕の腕を掴もうと伸びてきた眞司の手を払い退けた。
眞司が吃驚している顔が見えたが、それどころじゃない。
僕は部屋から逃げようと緊張と恐怖で震える足をなんとか動かして、ドアをめがけて走った。
がー。
眞司に襟首を掴まれて引き戻される。
「…嫌だ!!」
ベッドの上に放られて、僕の服を脱がそうとしてくる手に抵抗する為両手、両足を振り回し暴れながら叫ぶ。
ベッドに仰向けに倒れた僕の上を跨ぐ眞司の右手が振り上げられてー。
バシッ!!
僕の左頬に衝撃が走る。
バシッ!!
今度は右頬に。
そして僕の耳元に顔を近付けて囁いた。
「…いつもと同じようにすればいいんだよ。少し我慢すりゃすぐ済むさ」
(…眞司は本気だ…)
…でも、僕もこれだけは譲れない。
こんな…面白半分で見ているような女性に見られるのは我慢できない。
「…嫌だ!!」
僕は手足をめちゃくちゃに振り回して暴れた。
でも、体格的にも体力的にも、僕が眞司にかなうはずがなく…
眞司に叩かれ、殴られて…僕は意識を失った…。
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