学生時代

Me-ya

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7.いつか、君の声が

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-熱が引いて、すっかり元気を取り戻した僕を見て、母親は大きな溜息をひとつ。

『…高校生にもなって知恵熱を出すなんて…いつも頭を使ってないから、たまに頭を使うとそんな情けない事になるのよ…そんなんで本当に大学へ行けるの?…っていうか、大学へ行くつもり?…その前に受験、するつもり?』

…余計なお世話だ。

(結局、治夫からは見舞いどころか、連絡もなかった…)

…治夫だけじゃない。

寧音も何も言ってこない。

(どうしたんだろう…?)

胸の中がモヤモヤして、不安で胸がいっぱいになる。

治夫に会って僕を避けている理由を聞きたいような…聞くのが恐いような…治夫に会って顔を見たいような…見るのが恐いような…。

だから学校へ向かう僕の足も、自然と重くなり。

…やはりというか、いつも僕を治夫が笑顔で待ってくれていた場所にも、その姿は見えず…。

(…別に、期待していたわけじゃないけどさっ)

微かな期待を裏切られて、悔し紛れに心の中で呟いた。

その時。

「…ねぇ、ねぇ」

後ろから肩を叩かれ、声をかけられる。

振り向くと、見覚えのある女性が2人。

(確か、治夫と同じ特進クラスの…)

顔は覚えているけど、名前が出てこない。

必死で名前を思い出そうとしている僕に、2人は顔を近づけ、目を光らせて。

「「佐藤君と神田さん、別れたの!?」」

見事にハモり、聞いてくる。

その、あまりにも興味津々な2人の顔に僕は少々、ムッとしてしまう。

でも、それよりいまだに2人が付き合っているなんてデマが流れている事が許せない。

「…別れたって、何?…元々、2人は最初から付き合ってないし…」

その噂は治夫が記憶喪失になったスキに寧音が広めた嘘だし。

この機会に訂正しとかないと…。

「「…やっぱり~!!」」

僕の言葉を聞くなり2人、またも見事にハモりお互いの手を叩き合い、飛び跳ねて喜んでいる。

その2人の反応に驚く僕。

(…やっぱりって……)

「………知っていたの?」

(治夫は皆にバレないようにと隠していたみたいだけど…そうだよな~、治夫が好きな人は僕だし、見る人が見たらわかる……)

「「だって、佐藤君、この前、カあンけナみと腕組んで歩いていたし」」

………………………………………………………ん?

何だって?

誰と治夫が腕組んで歩いてたって?

2人とも双子かってくらい(句読点まで一緒)息ぴったりに口を揃えて話しているのに、肝心なところが聞こえなかったぞ?

そう思ったのは僕だけじゃなかったらしい。

2人ともお互いの顔を不思議そうに見詰めている。

「…カンナでしょ?」

「何、言ってんの?あけみでしょ」

……………………………………………………。

……………………………………………………。

……………………………………………………。

一瞬の沈黙の後、2人、ぐりんって凄い勢いで僕の方を見ると、同時に口を開く。

「「………どういう事!?」」

またしても2人、綺麗にハモり。

-2人、付き合っているのか…?との考えが僕の頭を過ったが。

そんな事より、大事な事。

…………………………ええ~!?

カンナって誰!?

あけみってどういう事!?

僕じゃないの!?
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