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25誓いの言葉
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こんなにも、と璃久は思う。この先二度と、こんなにも自分を夢中にさせてやまないものは現れるまい。
泊まっていくかと辺境伯に提案されたアルブスを置いて二人で屋敷に戻ってくると、もう我慢ならんと玄関に入るなり縺れるようにキスをして、何とかルークの部屋まで来たところだ。以前、ルークの背中に出来た鞭の傷に塗ってやった軟膏を使ってルークの尻をじっくりと解していく。もう嫌だ、もう我慢できない早く早くとねだるルークを何度もキスで宥めて二回ほど絶頂させてから、漸く璃久はルークの尻の間に怒張をあてがった。
「痛かったら言って」
「り、璃久がいっぱい解してくれたから、平気」
あまり煽らないでほしいと思いながら、自身に手を添えてさきほどからひくつきが収まらない可愛らしい窄まりに先端をゆっくりと押し進めていく。
「ん……っ」
ベッドに仰向けにさせて両足を抱えて腰を前に押し出すようにすると、どろどろになるまで解したおかげで抵抗なく根本まで埋まっていった。
「ん、ん……入った……?」
「うん……。動いていいか?」
ルークの両足を正座した自分の腿に下ろし、腰を掴んでぐっと押す。すると「んっ」と声を跳ねさせてルークはコクコクと頷いた。
腰を前後に小刻みに動かしながら、ルークの白い胸にぽつりと主張する赤い粒に手を伸ばす。つまんで捏ねるようにすると、喉奥から鼻の方に向かって愚図るようなルークの声が抜けていって腰の辺りに集まった熱が更に膨張するのが分かった。
「あ、大きく、なっ」
「俺、ルークが気持ち良さそうだと興奮するみたいだ」
「やぁっ、胸さんざん弄ったのに」
「だって好きだろ?」
つねったり押しつぶしたりすると勝手に内壁が璃久を締め付けてくるのだから嫌々と首を振っても何も説得力がない。体勢を少し変えて既に真っ赤に熟れていた乳首を口に含む。するとまだほとんど動いていないのに、ルークは中を痙攣させて射精をせずに達してしまった。
「あぇっ……あ?」
「指で焦らし過ぎたかな。ごめんまだ付き合って」
「あっ、りくぅ……っ」
自分がどうして絶頂しているかも分からない顔のまま、璃久に向かってルークが手を伸ばしてくる。その手に誘われるまま体を伸ばし真っ赤な唇を食んで舌をねじ込み咥内もすみずみまで犯していく。
抽挿する動きを速めると、互いの腹の間で擦れたルークの色の薄いそれが小刻みに精を放つのが分かった。
「ずっと甘イキしてる?」
「やっ、言わないでっ」
「何で? 可愛いよルーク。気持ち良さそうだと、俺も嬉しい」
うー、と唸って赤くなった顔を隠そうとするので両手を掴まえてルークの頭上にまとめて縫い留めた。そうするとルークの腰が浮いて、真上から璃久のもので串刺しにするような角度に変わり、ルークの嬌声が一段高くなったのが分かった。高校生の時はこんな体勢でした事がなかったので気付けなかったが、ルークは奥でもよっぽど感じるらしく、一番奥の行き止まりを突くとたまらないという声を上げる。
「奥、好き?」
「きかな、でぇ……っ」
「意地悪しないで教えてよルーク」
「いじわるっ、なのは、璃久のほう……!」
涙目で睨まれて、あまりの可愛さにルークの頭を抱えるようにしてキスをすると、逃げ場をなくしたルークは璃久のキスに応える余裕もなく腹の奥を震えさせて快感を解放させる。ぎゅうといっそ痛いくらい絞られて、璃久はルークの中に欲望を吐き出した。暫く緩く腰を振って余韻を感じていると、萎えかけたはずのそれが自分の律動でまたすぐに育つのが分かった。
「う、うそ、早い」
「ルークがあんまり可愛くて」
「手でするよ。口でもいいよ?」
「ルークの中がいい」
「むり、むっ、ああっ!」
本当に無理だったら殴ってでも止めろと言ったので、殴られない限りは、そして璃久が元気な分だけ今晩は可愛がる事に最初から決めていた。
ルークは喉が掠れるくらい璃久に一晩中愛されて、最後はやり過ぎて少し怒られてしまったが、それでも嫌だったとは言わないのである。ぐったりしてしまったルークに服を着せ、自分も適当に着替えて浴室に抱き抱えていく。アルブスが居ないので、今日は自分たちで湯を沸かさなくてはいけなかった。
結局寒さに耐えかねて、バスタブの底に少し溜まったくらいのお湯で節約しながら体を洗う事にした。
洗わせてほしいと頼むと、もうルークは断らなかった。出来るだけたくさん泡立てて、頭から順に隅々まで泡をつけていく。
「ね、ちょっと、恥ずかしいかも……」
鼠径部を擦っていると気持ちよくなってしまうのかルークは股を閉じようとしては璃久に膝を割られる。そこにはあの『悪魔の印』がまだ残っている。敢えて言わないが、ここが一番璃久の洗いたい場所だ。
「お願い、させて」
「ん……」
頬に垂れた雫を舐め取りながら言うと短く返事をして大人しくなる。
洗い残しが無いようどこもかしこも全部、不可能だと分かっていてもルークが受けてきた恥辱ごと泡に包まれ流れて欲しいと思いながら丁寧にルークの体を洗った。
僕にもさせてと言われたが寒さが限界だったので自分の方はさっさと済ませて狭いバスタブにルークを後ろから抱えて無理矢理二人で収まった。
「次は僕にさせてね?」
「こだわるなぁ。いいけど、別に」
自分の股の上にルークの尻が当たっているという事を意識してしまうと、またルークに触りたいという爛れた欲求が溢れてくる。しかしもう完全に空になった璃久のペニスは残念ながら勃ちそうにない。惜しいなぁと思いながらルークの胸をまさぐっていると、吐息混じりに「璃久?」と怒られる。
「もうちょっと、触りたい」
「やだぁ……っ」
そういえばルークは射精こそしていたもののあまり前は触らなかった事に気付いて、胸と同時にふにゃりと湯の中で揺れているそこに指を絡める。小さいうちは璃久の手の中に収まってしまうほどだが、ぐにぐにとしつこく揉んでいると緩く芯を持ち、璃久の手からこぼれ始める。
「や……璃久……!」
「本当に嫌?」
後ろから耳たぶを食んで口の中で転がしながら訊くと、ルークは黙り込むのだ。
「なぁ嫌がるのってわざと?」
「え、違っ」
「じゃあルークは気持ち良いと嫌って言うの? 瑠夏ってそんなだったっけ?」
わざと瑠夏の名前を出すと、パシャンと水を跳ねさせながらルークが体の向きを変え、怒ったような顔で「他の男の名前出さないで」と言いながら唇に吸い付いてくる。
これは、ちょっと良いかも知れない。
「んっ、でも、ここ好きでしょ?」
ルークに甘く唇を吸われながら両手で乳首を転がしてやるとくっと胸を凹ませ震わせた。それは一応反撃のつもりなのか、胸を弄られながらも璃久の首に腕を回し、恍惚としてキスを続けてくる。
下唇を食んで引っ張られると、璃久はルークの乳首を指でつまんで引っ張った。舌がにゅるりと歯を割ってくると、指の腹で潰しながらほじるようにしてやる。
「もうっ、璃久!」
「はい、ルークの負け。あと瑠夏はここが好きだった」
浅い水面から顔を出していたルークの陰茎を掴み、括れに指を引っかける。大体の男は多分、ここが好きだろう。だからわざとルークを嫉妬させようとしているのはルークにも当然バレている。
「だめ、もう瑠夏の事言うの無し」
「分かったごめん。可愛くて。じゃあルークの好きな所、教えて?」
ほら、と言ってルークに手を差し出す。最初は璃久の行動の意味が分からないようだったが、ルークの手に手を掴ませて「お好きな所へどうぞ」とおどけると、ルークが眉を吊り上げ頬を赤らめる。
「変態!」
「ルークには言われたくない。約束したろ、秘密は全部話す、隠し事はなしって」
「それ今持ち出すのずるいでしょ」
「ほら」
ルークのペニスは勃起を保っているので、そのままの状態が辛いのは璃久にもよく分かる。観念したルークは璃久の手を恥ずかしそうにペニスに導いて、湯面から出た先端の割れ目に添わせた。
「へぇ、ここ俺は触られると痛いけど、ルークは好きなんだ?」
恥ずかしさを堪えられないのか首だけで頷く。
「で、もう一本俺の手は余ってるんだけど」
信じられないと叫び出しそうなほどルークは瑠璃色の目を見開いたが、璃久の目を見て悟ったらしい。こうなった璃久を引き下がらせるのは面倒だし、そういう璃久を甘やかすのがルークは好きなのだ。
ペニスの尖端をくるくると手のひらで弄られて小さく鳴き声を上げならも、璃久の右手を少し迷って自分の股の間に回させた。
「中?」
うんうん、と湯で濡れた金髪が揺れる。
璃久の出したものは一度全部掻きだしてしまったので、そこは綺麗になってしまった。湯の中なので多少は楽に指が進むがあまり無理は出来そうにない。入り口の辺りの少しぽこっとしたしこりを中指だけで押したりしてやると、ペニスを弄っているおかげで十分に気持ちよさそうな声を上げ始める。
「ん……ぅっ……あ、璃久」
「ん?」
「好きっ」
「それ、どっちが? セックスが? それとも俺が?」
「ど、どっちも、璃久とするのが好き」
思わず笑ってしまいながら璃久も答える。
「俺も好き。ルークが俺を感じてくれるの、たまんない」
入り口がきつく収縮して鈴口が震えて薄い精液を吐き出した。さすがにいじめすぎたようで璃久の胸にぐったりと凭れ掛かってくる。
「……璃久も変わったよね。こんなに意地悪じゃなかった」
「意地悪っていうか、色々言葉にしなかったの後悔したから、今、実行してるっていうか」
璃久を見上げるルークの顔に、少しだけ切ないような色が混ざる。
ルークは再び璃久の体の上で体勢を変えて、璃久の胸に背中を凭れさせた。
ふと、随分湯の温度が下がっている事に気付く。
「風邪ひきそう」
同じ事を感じたようで、そう言ってルークが鼻を啜る。せめて少しでも温めてやろうと肩を覆うように腕を回す。
「一緒にひこうか」
「何それ。そこは看病してくれるんじゃないの?」
「それで一緒に死ぬ」
「え?」
ぎょっとしてルークがこちらを振り返る。その驚いたルークの頤にキスをする。
「俺ってこのまま人間と同じように歳取るのか?」
「そうだね。僕たち吸血鬼も本当なら人間と同じように歳を取るんだけど」
璃久の意識は必然、ルークの太腿に残った『悪魔の印』に向かう。見た目通り焼き印と同じ方法でつけられたおぞましいデザインのそれは、吸血鬼たちの老いを縛るものでもあった。
「魔術の元だった指輪は壊したし、魔女に魔術の縁を切ってもらえたから、このまま璃久と一緒に老けていくかも」
「そっか。じゃあ白髪のじじいになるまで長生きしてから、さ」
そういう事かと璃久の言いたい事に気付いたルークが察した顔をして、璃久に唇を重ねてくる。
「長生きして、今度こそ一緒に璃久と死ぬ」
「うん」
下からルークの手を掬って指を絡め、溶けて形がなくなりそうになるまでキスをして。
「好きだよ。今もこれからもずっと」
溢れて来たものを言葉にする。
もう伝え忘れて後悔するような事のないように。手を繋ぎ、同じ道を歩き、同じ最後を迎えよう。
死さえも二人を分かつ事など出来ないのだから。
泊まっていくかと辺境伯に提案されたアルブスを置いて二人で屋敷に戻ってくると、もう我慢ならんと玄関に入るなり縺れるようにキスをして、何とかルークの部屋まで来たところだ。以前、ルークの背中に出来た鞭の傷に塗ってやった軟膏を使ってルークの尻をじっくりと解していく。もう嫌だ、もう我慢できない早く早くとねだるルークを何度もキスで宥めて二回ほど絶頂させてから、漸く璃久はルークの尻の間に怒張をあてがった。
「痛かったら言って」
「り、璃久がいっぱい解してくれたから、平気」
あまり煽らないでほしいと思いながら、自身に手を添えてさきほどからひくつきが収まらない可愛らしい窄まりに先端をゆっくりと押し進めていく。
「ん……っ」
ベッドに仰向けにさせて両足を抱えて腰を前に押し出すようにすると、どろどろになるまで解したおかげで抵抗なく根本まで埋まっていった。
「ん、ん……入った……?」
「うん……。動いていいか?」
ルークの両足を正座した自分の腿に下ろし、腰を掴んでぐっと押す。すると「んっ」と声を跳ねさせてルークはコクコクと頷いた。
腰を前後に小刻みに動かしながら、ルークの白い胸にぽつりと主張する赤い粒に手を伸ばす。つまんで捏ねるようにすると、喉奥から鼻の方に向かって愚図るようなルークの声が抜けていって腰の辺りに集まった熱が更に膨張するのが分かった。
「あ、大きく、なっ」
「俺、ルークが気持ち良さそうだと興奮するみたいだ」
「やぁっ、胸さんざん弄ったのに」
「だって好きだろ?」
つねったり押しつぶしたりすると勝手に内壁が璃久を締め付けてくるのだから嫌々と首を振っても何も説得力がない。体勢を少し変えて既に真っ赤に熟れていた乳首を口に含む。するとまだほとんど動いていないのに、ルークは中を痙攣させて射精をせずに達してしまった。
「あぇっ……あ?」
「指で焦らし過ぎたかな。ごめんまだ付き合って」
「あっ、りくぅ……っ」
自分がどうして絶頂しているかも分からない顔のまま、璃久に向かってルークが手を伸ばしてくる。その手に誘われるまま体を伸ばし真っ赤な唇を食んで舌をねじ込み咥内もすみずみまで犯していく。
抽挿する動きを速めると、互いの腹の間で擦れたルークの色の薄いそれが小刻みに精を放つのが分かった。
「ずっと甘イキしてる?」
「やっ、言わないでっ」
「何で? 可愛いよルーク。気持ち良さそうだと、俺も嬉しい」
うー、と唸って赤くなった顔を隠そうとするので両手を掴まえてルークの頭上にまとめて縫い留めた。そうするとルークの腰が浮いて、真上から璃久のもので串刺しにするような角度に変わり、ルークの嬌声が一段高くなったのが分かった。高校生の時はこんな体勢でした事がなかったので気付けなかったが、ルークは奥でもよっぽど感じるらしく、一番奥の行き止まりを突くとたまらないという声を上げる。
「奥、好き?」
「きかな、でぇ……っ」
「意地悪しないで教えてよルーク」
「いじわるっ、なのは、璃久のほう……!」
涙目で睨まれて、あまりの可愛さにルークの頭を抱えるようにしてキスをすると、逃げ場をなくしたルークは璃久のキスに応える余裕もなく腹の奥を震えさせて快感を解放させる。ぎゅうといっそ痛いくらい絞られて、璃久はルークの中に欲望を吐き出した。暫く緩く腰を振って余韻を感じていると、萎えかけたはずのそれが自分の律動でまたすぐに育つのが分かった。
「う、うそ、早い」
「ルークがあんまり可愛くて」
「手でするよ。口でもいいよ?」
「ルークの中がいい」
「むり、むっ、ああっ!」
本当に無理だったら殴ってでも止めろと言ったので、殴られない限りは、そして璃久が元気な分だけ今晩は可愛がる事に最初から決めていた。
ルークは喉が掠れるくらい璃久に一晩中愛されて、最後はやり過ぎて少し怒られてしまったが、それでも嫌だったとは言わないのである。ぐったりしてしまったルークに服を着せ、自分も適当に着替えて浴室に抱き抱えていく。アルブスが居ないので、今日は自分たちで湯を沸かさなくてはいけなかった。
結局寒さに耐えかねて、バスタブの底に少し溜まったくらいのお湯で節約しながら体を洗う事にした。
洗わせてほしいと頼むと、もうルークは断らなかった。出来るだけたくさん泡立てて、頭から順に隅々まで泡をつけていく。
「ね、ちょっと、恥ずかしいかも……」
鼠径部を擦っていると気持ちよくなってしまうのかルークは股を閉じようとしては璃久に膝を割られる。そこにはあの『悪魔の印』がまだ残っている。敢えて言わないが、ここが一番璃久の洗いたい場所だ。
「お願い、させて」
「ん……」
頬に垂れた雫を舐め取りながら言うと短く返事をして大人しくなる。
洗い残しが無いようどこもかしこも全部、不可能だと分かっていてもルークが受けてきた恥辱ごと泡に包まれ流れて欲しいと思いながら丁寧にルークの体を洗った。
僕にもさせてと言われたが寒さが限界だったので自分の方はさっさと済ませて狭いバスタブにルークを後ろから抱えて無理矢理二人で収まった。
「次は僕にさせてね?」
「こだわるなぁ。いいけど、別に」
自分の股の上にルークの尻が当たっているという事を意識してしまうと、またルークに触りたいという爛れた欲求が溢れてくる。しかしもう完全に空になった璃久のペニスは残念ながら勃ちそうにない。惜しいなぁと思いながらルークの胸をまさぐっていると、吐息混じりに「璃久?」と怒られる。
「もうちょっと、触りたい」
「やだぁ……っ」
そういえばルークは射精こそしていたもののあまり前は触らなかった事に気付いて、胸と同時にふにゃりと湯の中で揺れているそこに指を絡める。小さいうちは璃久の手の中に収まってしまうほどだが、ぐにぐにとしつこく揉んでいると緩く芯を持ち、璃久の手からこぼれ始める。
「や……璃久……!」
「本当に嫌?」
後ろから耳たぶを食んで口の中で転がしながら訊くと、ルークは黙り込むのだ。
「なぁ嫌がるのってわざと?」
「え、違っ」
「じゃあルークは気持ち良いと嫌って言うの? 瑠夏ってそんなだったっけ?」
わざと瑠夏の名前を出すと、パシャンと水を跳ねさせながらルークが体の向きを変え、怒ったような顔で「他の男の名前出さないで」と言いながら唇に吸い付いてくる。
これは、ちょっと良いかも知れない。
「んっ、でも、ここ好きでしょ?」
ルークに甘く唇を吸われながら両手で乳首を転がしてやるとくっと胸を凹ませ震わせた。それは一応反撃のつもりなのか、胸を弄られながらも璃久の首に腕を回し、恍惚としてキスを続けてくる。
下唇を食んで引っ張られると、璃久はルークの乳首を指でつまんで引っ張った。舌がにゅるりと歯を割ってくると、指の腹で潰しながらほじるようにしてやる。
「もうっ、璃久!」
「はい、ルークの負け。あと瑠夏はここが好きだった」
浅い水面から顔を出していたルークの陰茎を掴み、括れに指を引っかける。大体の男は多分、ここが好きだろう。だからわざとルークを嫉妬させようとしているのはルークにも当然バレている。
「だめ、もう瑠夏の事言うの無し」
「分かったごめん。可愛くて。じゃあルークの好きな所、教えて?」
ほら、と言ってルークに手を差し出す。最初は璃久の行動の意味が分からないようだったが、ルークの手に手を掴ませて「お好きな所へどうぞ」とおどけると、ルークが眉を吊り上げ頬を赤らめる。
「変態!」
「ルークには言われたくない。約束したろ、秘密は全部話す、隠し事はなしって」
「それ今持ち出すのずるいでしょ」
「ほら」
ルークのペニスは勃起を保っているので、そのままの状態が辛いのは璃久にもよく分かる。観念したルークは璃久の手を恥ずかしそうにペニスに導いて、湯面から出た先端の割れ目に添わせた。
「へぇ、ここ俺は触られると痛いけど、ルークは好きなんだ?」
恥ずかしさを堪えられないのか首だけで頷く。
「で、もう一本俺の手は余ってるんだけど」
信じられないと叫び出しそうなほどルークは瑠璃色の目を見開いたが、璃久の目を見て悟ったらしい。こうなった璃久を引き下がらせるのは面倒だし、そういう璃久を甘やかすのがルークは好きなのだ。
ペニスの尖端をくるくると手のひらで弄られて小さく鳴き声を上げならも、璃久の右手を少し迷って自分の股の間に回させた。
「中?」
うんうん、と湯で濡れた金髪が揺れる。
璃久の出したものは一度全部掻きだしてしまったので、そこは綺麗になってしまった。湯の中なので多少は楽に指が進むがあまり無理は出来そうにない。入り口の辺りの少しぽこっとしたしこりを中指だけで押したりしてやると、ペニスを弄っているおかげで十分に気持ちよさそうな声を上げ始める。
「ん……ぅっ……あ、璃久」
「ん?」
「好きっ」
「それ、どっちが? セックスが? それとも俺が?」
「ど、どっちも、璃久とするのが好き」
思わず笑ってしまいながら璃久も答える。
「俺も好き。ルークが俺を感じてくれるの、たまんない」
入り口がきつく収縮して鈴口が震えて薄い精液を吐き出した。さすがにいじめすぎたようで璃久の胸にぐったりと凭れ掛かってくる。
「……璃久も変わったよね。こんなに意地悪じゃなかった」
「意地悪っていうか、色々言葉にしなかったの後悔したから、今、実行してるっていうか」
璃久を見上げるルークの顔に、少しだけ切ないような色が混ざる。
ルークは再び璃久の体の上で体勢を変えて、璃久の胸に背中を凭れさせた。
ふと、随分湯の温度が下がっている事に気付く。
「風邪ひきそう」
同じ事を感じたようで、そう言ってルークが鼻を啜る。せめて少しでも温めてやろうと肩を覆うように腕を回す。
「一緒にひこうか」
「何それ。そこは看病してくれるんじゃないの?」
「それで一緒に死ぬ」
「え?」
ぎょっとしてルークがこちらを振り返る。その驚いたルークの頤にキスをする。
「俺ってこのまま人間と同じように歳取るのか?」
「そうだね。僕たち吸血鬼も本当なら人間と同じように歳を取るんだけど」
璃久の意識は必然、ルークの太腿に残った『悪魔の印』に向かう。見た目通り焼き印と同じ方法でつけられたおぞましいデザインのそれは、吸血鬼たちの老いを縛るものでもあった。
「魔術の元だった指輪は壊したし、魔女に魔術の縁を切ってもらえたから、このまま璃久と一緒に老けていくかも」
「そっか。じゃあ白髪のじじいになるまで長生きしてから、さ」
そういう事かと璃久の言いたい事に気付いたルークが察した顔をして、璃久に唇を重ねてくる。
「長生きして、今度こそ一緒に璃久と死ぬ」
「うん」
下からルークの手を掬って指を絡め、溶けて形がなくなりそうになるまでキスをして。
「好きだよ。今もこれからもずっと」
溢れて来たものを言葉にする。
もう伝え忘れて後悔するような事のないように。手を繋ぎ、同じ道を歩き、同じ最後を迎えよう。
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