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縛りプレイ②
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翌日ウジは、午前中に採用をもらったというバイト先に出掛けていった。徒歩十分もかからないところに昔からある個人経営のレストランだ。ランチタイムの営業からで、夜になると酒が出る。味は美味いが少々お高いレストランなので京介も若い頃に数回行った限りだ。
昼前に制服らしきものと雇用契約書を持ってウジが帰宅。昼は食べてきたと言うなり浴室に直行し「入ってこないでね」と意味深な言葉を残して扉を閉めた。
NOと言われたらやりたくなる。こういうのをカリギュラ効果と呼ぶらしい。それと、昨日聞いたウジの特殊な能力はざっくり大きく纏めて言うならギフテッドという事になるんだろう。京介のような後天的に魔力を得た人間も、研究が進む前はギフテッドと言われていた時期もある。実際には事故や災害の被害者だったのだが。
そういう意味では、ウジはギフテッドであり魔力持ちという事になる。どえらい物を先天的にも後天的にも与えられてしまったウジのこれまでの人生は、果たしてどういうものだったのだろう。〈魔力溜まり〉の発生に巻き込まれた人間というのは多かれ少なかれ特異な経験をしているものだ。特にウジの場合は家族からの無関心ぶりや、高校卒業した四月からの生活の堕落ぶりを思うにろくなものではなかった事を予想させる。年齢も、ウジは本当に二十歳だった事を思うとこれまでの二十年に触れるのは、京介の決めたラインを明らかに踏み越える行為だ。
「京介ー。来てー」
「あー? んだよ、入るなって言ったり来てって言ったり」
ふと、ゲイには生涯無縁の実の息子とはこんなものかという思いが頭を過る。さすがに育ち過ぎか。いいとこ歳の離れた弟だろう。弟とセックスはしないが。いや息子とももちろんしない。その手の癖は京介には無い。
「ウジ、開けるぞ」
「はい」
はい? と違和感を覚えるのとその景色が視界に飛び込んでくるのはほとんど同時だった。五センチはあろうかという幅広の真っ赤なリボンテープを服の上から体にぐるぐるに巻き付けたウジが立っていた。
「何してんだ?」
「あっ、う……っ」
一、ニ、三秒ほど京介と見つめ合ってから、ウジの顔が首元からかあっと赤く染まっていく。色が白いおかげで紅潮すると髪の隙間から覗く耳まで染まっているのがよく分かる。
「お、俺、お金無いから」
その一言で「あっ」と閃くものが京介の中にもあった。ぐちゃっと絡んだ赤いリボンテープの意味を悟り、ムズムズとしたものが京介の身の内に生まれてはその感覚に悶える。
「今日は、好きにしていい、のやつ」
「何だよ……好きにしていいのやつって……」
釣られて自分まで照れで赤くなりそうな気配を察知し、京介はウジの腹に何重にも巻かれたリボンの端に手をかける。プレゼントと言えば箱に掛かったラッピングのリボンを想像したのだろう。真っ赤なリボンテープなんて如何にもだ。だがその如何にもに、京介は照れ臭いやら可笑しいやら愛しいやら、様々な感情を起こされているのは確かだ。
「プレゼント、開封?」
「ん、開封。中に何が入ってるか確かめないとな」
「京介のえっち」
それはお前の方だろと囁き耳元にキスを落とす。んっ、と上がったくすぐったそうな控えめな声に、一気にそういうムードが高まるのを感じる。
手先は器用だと思っていたが、自分の体にリボンを巻くというのが初めての経験で上手くいかなかったのだろう。首と胸と腰とあちこちに適当に巻いて最後に腹の前で結ばれたリボンを一旦全部解き、首に一周だけ巻き直して絞まらないように隙間を十分にあけてから結び目をつくる。不思議そうにしている視線の気配を半分無視しながら、首から垂れる二本のリボンの端で今度はウジの両手首を纏めて縛った。最後はもちろんリボン結びにして。
「これじゃ服脱げないよ?」
首と手首を赤い紐で繋がれて、ウジがくんっとリボンを引っ張った。
「俺なぁ、着衣、好きなんだよな」
これから別の物で塞いでしまう口に一度だけ深くねっとり舌を絡ませ接吻する。それだけでとろんとした表情を見せるウジに彼の着ているシャツの裾を噛ませ腹を露わにさせた。
臍の下で綻び始めた赤い蕾。彼岸花に微かな苛立ちを覚えて誤魔化すようにウジを洗面台の方へ向けさせた。
鏡に反転した色白黒髪の華奢な青年の首に、赤いリボンと赤い花。官能的でありながら不思議と詩的にも見える光景を見て、京介を襲うのは背徳感と強い興奮。ウジと過ごすうちに京介の性的な嗜好はすっかり変えられてしまった。今や京介は、その細身についた僅かな肉が柔らかく、若い肌は瑞々しく、興奮で次第に朱を散らしていく事を知っている。これから先のウジの肢体を想像するだけで、京介の正しく息子は期待に膨らんでいた。
鏡越しに視姦するようにじっとりと粘っこい視線をウジに向け、ウジの呼吸に合わせてシャツから見え隠れする赤い粒に爪を引っ掛ける。
「んっ!」
反応がいい。いつに無いシチュエーションにウジも興奮している。
「お前Sっ気もあるけど、実はいじめられる方が好きだよな」
「ふうっ!」
「違うって? それとも同意したのか?」
口から裾を離そうとするのをすかさず止めて、先程よりもう少ししっかりとシャツを噛ませる。くぐもった僅かに苦しそうな声に、加減を間違えそうだ。
五分咲きの彼岸花をちくちく胸を刺す痛みと共に指でなぞり上げ、臍をくるりと一周した後ズボンの中に手を差し込む。既に京介のモノと同じ状態にあるそれを素通りし、目指すは股の奥の窄まり。
「ふ……っ」
ぬち、とした粘着質な感触に、京介が脂下がる。
「まさに据え膳じゃねぇか」
既に十分に解された孔に指を一気に二本入れ、玉を押し上げながら同時に浅い所を愛撫してやる。もう片方の手で胸を弄るのも同時だ。
ウジは目を潤ませ涎でシャツをぐっしょりさせながらふうふうと息を吐いて震えている。好きにしていい、と言うからにはこの際存分に京介好みのセックスを披露してやるつもりだ。
昼前に制服らしきものと雇用契約書を持ってウジが帰宅。昼は食べてきたと言うなり浴室に直行し「入ってこないでね」と意味深な言葉を残して扉を閉めた。
NOと言われたらやりたくなる。こういうのをカリギュラ効果と呼ぶらしい。それと、昨日聞いたウジの特殊な能力はざっくり大きく纏めて言うならギフテッドという事になるんだろう。京介のような後天的に魔力を得た人間も、研究が進む前はギフテッドと言われていた時期もある。実際には事故や災害の被害者だったのだが。
そういう意味では、ウジはギフテッドであり魔力持ちという事になる。どえらい物を先天的にも後天的にも与えられてしまったウジのこれまでの人生は、果たしてどういうものだったのだろう。〈魔力溜まり〉の発生に巻き込まれた人間というのは多かれ少なかれ特異な経験をしているものだ。特にウジの場合は家族からの無関心ぶりや、高校卒業した四月からの生活の堕落ぶりを思うにろくなものではなかった事を予想させる。年齢も、ウジは本当に二十歳だった事を思うとこれまでの二十年に触れるのは、京介の決めたラインを明らかに踏み越える行為だ。
「京介ー。来てー」
「あー? んだよ、入るなって言ったり来てって言ったり」
ふと、ゲイには生涯無縁の実の息子とはこんなものかという思いが頭を過る。さすがに育ち過ぎか。いいとこ歳の離れた弟だろう。弟とセックスはしないが。いや息子とももちろんしない。その手の癖は京介には無い。
「ウジ、開けるぞ」
「はい」
はい? と違和感を覚えるのとその景色が視界に飛び込んでくるのはほとんど同時だった。五センチはあろうかという幅広の真っ赤なリボンテープを服の上から体にぐるぐるに巻き付けたウジが立っていた。
「何してんだ?」
「あっ、う……っ」
一、ニ、三秒ほど京介と見つめ合ってから、ウジの顔が首元からかあっと赤く染まっていく。色が白いおかげで紅潮すると髪の隙間から覗く耳まで染まっているのがよく分かる。
「お、俺、お金無いから」
その一言で「あっ」と閃くものが京介の中にもあった。ぐちゃっと絡んだ赤いリボンテープの意味を悟り、ムズムズとしたものが京介の身の内に生まれてはその感覚に悶える。
「今日は、好きにしていい、のやつ」
「何だよ……好きにしていいのやつって……」
釣られて自分まで照れで赤くなりそうな気配を察知し、京介はウジの腹に何重にも巻かれたリボンの端に手をかける。プレゼントと言えば箱に掛かったラッピングのリボンを想像したのだろう。真っ赤なリボンテープなんて如何にもだ。だがその如何にもに、京介は照れ臭いやら可笑しいやら愛しいやら、様々な感情を起こされているのは確かだ。
「プレゼント、開封?」
「ん、開封。中に何が入ってるか確かめないとな」
「京介のえっち」
それはお前の方だろと囁き耳元にキスを落とす。んっ、と上がったくすぐったそうな控えめな声に、一気にそういうムードが高まるのを感じる。
手先は器用だと思っていたが、自分の体にリボンを巻くというのが初めての経験で上手くいかなかったのだろう。首と胸と腰とあちこちに適当に巻いて最後に腹の前で結ばれたリボンを一旦全部解き、首に一周だけ巻き直して絞まらないように隙間を十分にあけてから結び目をつくる。不思議そうにしている視線の気配を半分無視しながら、首から垂れる二本のリボンの端で今度はウジの両手首を纏めて縛った。最後はもちろんリボン結びにして。
「これじゃ服脱げないよ?」
首と手首を赤い紐で繋がれて、ウジがくんっとリボンを引っ張った。
「俺なぁ、着衣、好きなんだよな」
これから別の物で塞いでしまう口に一度だけ深くねっとり舌を絡ませ接吻する。それだけでとろんとした表情を見せるウジに彼の着ているシャツの裾を噛ませ腹を露わにさせた。
臍の下で綻び始めた赤い蕾。彼岸花に微かな苛立ちを覚えて誤魔化すようにウジを洗面台の方へ向けさせた。
鏡に反転した色白黒髪の華奢な青年の首に、赤いリボンと赤い花。官能的でありながら不思議と詩的にも見える光景を見て、京介を襲うのは背徳感と強い興奮。ウジと過ごすうちに京介の性的な嗜好はすっかり変えられてしまった。今や京介は、その細身についた僅かな肉が柔らかく、若い肌は瑞々しく、興奮で次第に朱を散らしていく事を知っている。これから先のウジの肢体を想像するだけで、京介の正しく息子は期待に膨らんでいた。
鏡越しに視姦するようにじっとりと粘っこい視線をウジに向け、ウジの呼吸に合わせてシャツから見え隠れする赤い粒に爪を引っ掛ける。
「んっ!」
反応がいい。いつに無いシチュエーションにウジも興奮している。
「お前Sっ気もあるけど、実はいじめられる方が好きだよな」
「ふうっ!」
「違うって? それとも同意したのか?」
口から裾を離そうとするのをすかさず止めて、先程よりもう少ししっかりとシャツを噛ませる。くぐもった僅かに苦しそうな声に、加減を間違えそうだ。
五分咲きの彼岸花をちくちく胸を刺す痛みと共に指でなぞり上げ、臍をくるりと一周した後ズボンの中に手を差し込む。既に京介のモノと同じ状態にあるそれを素通りし、目指すは股の奥の窄まり。
「ふ……っ」
ぬち、とした粘着質な感触に、京介が脂下がる。
「まさに据え膳じゃねぇか」
既に十分に解された孔に指を一気に二本入れ、玉を押し上げながら同時に浅い所を愛撫してやる。もう片方の手で胸を弄るのも同時だ。
ウジは目を潤ませ涎でシャツをぐっしょりさせながらふうふうと息を吐いて震えている。好きにしていい、と言うからにはこの際存分に京介好みのセックスを披露してやるつもりだ。
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