948 / 970
黄昏てる兄
しおりを挟む
「ラガス、本当にお前の奢りで良いのか?」
「えぇ。勿論ですよ」
結構満腹になるまで食べてしまったので、結構良い金額まで達してしまったけど、そこまで手痛い金額という訳でもない。
寧ろ二人分だけなので……これまでエスエールさんに奢ってもらっていた金額に比べれば、安い安い。
「太っ腹な後輩だぜ。んじゃあ、例のコボルトに関しちゃあ、俺の方でも気を付けろよって情報を回しとくな」
「よろしくお願いします」
俺たちのやらかしと言えばやらかしなので、本当にそうしても貰えると助かる。
「ん? あれは……」
宿に戻ろうと思ったら、アリクを見かけた。
「よぅ、アリク」
「ラガスか……ん? 一人なのか?」
「そうだよ。っていうか、アリクも一人じゃん。なんで一人なんだ?」
「……まぁ、ちょっとな」
「ふ~~~ん? ……なぁ、どうせならバーにでもいかないか」
「なんだ、結構呑むようになったのか?」
「どうせならって話だよ」
なんとなくアリクの表情が気になったので、バーに誘って何か悩んでるのか聞こうと思った。
「乾杯」
「おぅ、乾杯…………ふぅーーーー」
「ん~~、重いね~~」
ウィスキーをロックで呑んでるから、当然と言えば当然の重さ。
正直……まだ百パーセント美味いと言える程、味は解らない。
「それで、何を悩んでたんだ?」
「ふふ、やっぱり顔に出てたか」
「悩みそのものが顔に出てたって訳じゃないかな。ただ、アリクにしては珍しく黄昏ながら散歩してたからさ。もしかしなくても、何か悩みながら散歩してるんじゃないかと思ってな」
「そうかよ…………なんつーか、学園にいる時もそうだったけど、ハンターとして活動するようになってから、更に生きるのは難しいなって感じてよ」
生きるのが、難しい?
……パーティーの雰囲気から見るに、生活に困ってるようには思えない。
アリク自身、最後に会ってから順調に成長してる。
間違いなく、同世代の中では頭二つ三つ抜けた実力を持ってるだろうから……そっちの面でも苦労してないと思うんだけどな。
「アリクにしては、結構珍しいこと考えてるな」
「ガラじゃねぇのは解ってるよ。ただ、なぁ…………俺は、もうちょい仲良くなりてぇんだけどなぁ」
「…………えっ。もしかしてパーティー内恋愛?」
「違ぇよ。そういうので悩んでる訳じゃないんだって……ほら、ラガスもあれだろ。ハンターとして活動を始めてから、割と同性の奴らに絡まれただろ」
「そうだね」
ここではエスエールさんたちと関わるようになったのもあって、がっつり絡んでくる様な奴はいなくなったかな。
まぁ、他の街に移れば、どうせまた絡まれるようになるだろうけど。
「でもよ、そこら辺が打ち解けられれば、それなりに仲良くなれるもんだろ」
「ん~~~~~……絡まれた後に打ち解けられれば、仲良くなれるだろうね」
レグティスたちとは仲良くなったし、ちょっと流れが違うかもしれないけど……うん、一回衝突したからといって、その後仲良くなれないと断言は出来ない。
「だろ……」
「……その感じだと、あんまり仲良くなれなかったんだな」
「うっ…………はぁ~~~~~、そうなんだよ。俺は別にあいつらとなんともないのによ」
あいつらとなんともない? あいつらっていうのは……クレア姉さん達のことだよな。
…………あっ!!!!!! う、わぁーーーー…………マジか。
いや、割とそうなんじゃないかって予想はしてたけど……ドンピシャでそうなってたのか。
「もしかしなくても、ハーレムパーティーのハーレム王って思われてるのか?」
「そうだよ……はぁ~~。~~~~~~!! ふぅ……マスター、同じのをもう一杯頼む」
「かしこまりました」
ロックとはいえ、残ってたウィスキーを一気で…………それだけ、やり場のない思いが溜まってるってことなんだな。
「えぇ。勿論ですよ」
結構満腹になるまで食べてしまったので、結構良い金額まで達してしまったけど、そこまで手痛い金額という訳でもない。
寧ろ二人分だけなので……これまでエスエールさんに奢ってもらっていた金額に比べれば、安い安い。
「太っ腹な後輩だぜ。んじゃあ、例のコボルトに関しちゃあ、俺の方でも気を付けろよって情報を回しとくな」
「よろしくお願いします」
俺たちのやらかしと言えばやらかしなので、本当にそうしても貰えると助かる。
「ん? あれは……」
宿に戻ろうと思ったら、アリクを見かけた。
「よぅ、アリク」
「ラガスか……ん? 一人なのか?」
「そうだよ。っていうか、アリクも一人じゃん。なんで一人なんだ?」
「……まぁ、ちょっとな」
「ふ~~~ん? ……なぁ、どうせならバーにでもいかないか」
「なんだ、結構呑むようになったのか?」
「どうせならって話だよ」
なんとなくアリクの表情が気になったので、バーに誘って何か悩んでるのか聞こうと思った。
「乾杯」
「おぅ、乾杯…………ふぅーーーー」
「ん~~、重いね~~」
ウィスキーをロックで呑んでるから、当然と言えば当然の重さ。
正直……まだ百パーセント美味いと言える程、味は解らない。
「それで、何を悩んでたんだ?」
「ふふ、やっぱり顔に出てたか」
「悩みそのものが顔に出てたって訳じゃないかな。ただ、アリクにしては珍しく黄昏ながら散歩してたからさ。もしかしなくても、何か悩みながら散歩してるんじゃないかと思ってな」
「そうかよ…………なんつーか、学園にいる時もそうだったけど、ハンターとして活動するようになってから、更に生きるのは難しいなって感じてよ」
生きるのが、難しい?
……パーティーの雰囲気から見るに、生活に困ってるようには思えない。
アリク自身、最後に会ってから順調に成長してる。
間違いなく、同世代の中では頭二つ三つ抜けた実力を持ってるだろうから……そっちの面でも苦労してないと思うんだけどな。
「アリクにしては、結構珍しいこと考えてるな」
「ガラじゃねぇのは解ってるよ。ただ、なぁ…………俺は、もうちょい仲良くなりてぇんだけどなぁ」
「…………えっ。もしかしてパーティー内恋愛?」
「違ぇよ。そういうので悩んでる訳じゃないんだって……ほら、ラガスもあれだろ。ハンターとして活動を始めてから、割と同性の奴らに絡まれただろ」
「そうだね」
ここではエスエールさんたちと関わるようになったのもあって、がっつり絡んでくる様な奴はいなくなったかな。
まぁ、他の街に移れば、どうせまた絡まれるようになるだろうけど。
「でもよ、そこら辺が打ち解けられれば、それなりに仲良くなれるもんだろ」
「ん~~~~~……絡まれた後に打ち解けられれば、仲良くなれるだろうね」
レグティスたちとは仲良くなったし、ちょっと流れが違うかもしれないけど……うん、一回衝突したからといって、その後仲良くなれないと断言は出来ない。
「だろ……」
「……その感じだと、あんまり仲良くなれなかったんだな」
「うっ…………はぁ~~~~~、そうなんだよ。俺は別にあいつらとなんともないのによ」
あいつらとなんともない? あいつらっていうのは……クレア姉さん達のことだよな。
…………あっ!!!!!! う、わぁーーーー…………マジか。
いや、割とそうなんじゃないかって予想はしてたけど……ドンピシャでそうなってたのか。
「もしかしなくても、ハーレムパーティーのハーレム王って思われてるのか?」
「そうだよ……はぁ~~。~~~~~~!! ふぅ……マスター、同じのをもう一杯頼む」
「かしこまりました」
ロックとはいえ、残ってたウィスキーを一気で…………それだけ、やり場のない思いが溜まってるってことなんだな。
135
お気に入りに追加
3,493
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
下げ渡された婚約者
相生紗季
ファンタジー
マグナリード王家第三王子のアルフレッドは、優秀な兄と姉のおかげで、政務に干渉することなく気ままに過ごしていた。
しかしある日、第一王子である兄が言った。
「ルイーザとの婚約を破棄する」
愛する人を見つけた兄は、政治のために決められた許嫁との婚約を破棄したいらしい。
「あのルイーザが受け入れたのか?」
「代わりの婿を用意するならという条件付きで」
「代わり?」
「お前だ、アルフレッド!」
おさがりの婚約者なんて聞いてない!
しかもルイーザは誰もが畏れる冷酷な侯爵令嬢。
アルフレッドが怯えながらもルイーザのもとへと訪ねると、彼女は氷のような瞳から――涙をこぼした。
「あいつは、僕たちのことなんかどうでもいいんだ」
「ふたりで見返そう――あいつから王位を奪うんだ」
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
だって私、悪役令嬢なんですもの(笑)
みなせ
ファンタジー
転生先は、ゲーム由来の異世界。
ヒロインの意地悪な姉役だったわ。
でも、私、お約束のチートを手に入れましたの。
ヒロインの邪魔をせず、
とっとと舞台から退場……の筈だったのに……
なかなか家から離れられないし、
せっかくのチートを使いたいのに、
使う暇も無い。
これどうしたらいいのかしら?
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる