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予測できない

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「そんなコボルトがいたのかぁ~~~…………」

「俺たちがこの前遭遇したAランクの上位種コボルトとは、少し別のベクトルでヤバいと感じました」

「……だな。話を聞いた限り、他のモンスター達と比べて思考が一枚上手っつーか……とりあえず、俺たちハンターがあんまり相手をしたくない個体だな」

ん~~~~……言いたい事は、なんとなく解る。

モンスターを相手に、基本的に俺たちが優位に立てる部分は、思考力。
なのに、モンスターが俺たちと同等の思考力を身に付けてしまうと、相当厄介なのが容易に想像出来てしまう。

「俺らがこの前遭遇したAランククラスのキマイラや、リッチよりもある意味やべぇかもな」

「仮に群れを再編したとしても、平気で部下たちを盾にして逃げそうですもんね」

「リーダー個体で、偶にそういう屑がいるよな。まぁ、俺たちと違って野性の中で生きてるモンスターにとっちゃ、それが正解なのかもしれないけどな」

野性の世界だからこそ、あまり人間の世界みたいに情報が広まって動き辛く、生き辛くなるってことがないんだろうな。

「…………ティールから見て、そいつはAランクに成長しそうだったか」

「そう、ですね。最後は尻尾を巻いて逃げましたけど、セルシアとの戦いを観ていた限り、戦闘センスはありそうでした。短剣の扱いも上手かったですし、壁を駆けて戦う戦法も染み込んでいましたね」

「な~~るほどなぁ……つっても、その個体がどこに転移したかによるな」

そういえば、エスエールさんたちは俺たちより後に地下遺跡に戻って来たんだよな。
という事は、戻ってくる時にアサルカコボルトとはすれ違わなかったってことか。

なら、あの時……多分だけど、上の階層には跳んでない。
下の階層に降りたなら、あの個体がこれ以上強くなろうにも、丁度良い壁はいない?

「もしかしたら、どっか別空間な場所に転移した可能性もある」

「転移したら、殆どの場合無事に戻ってこれない部屋ですか?」

「そうそう、そこだ。俺も昔入っちまったことあったけど、速攻でパーティー全員で惜しまず帰還石使って地上に出たな」

昔のエスエールさんを知らないけど、それでも間違いなく強かったよな。
そんな人でも逃げ出す場所に、あのアサルカコボルトが転移したら……さすがに終わるか。

「とはいえ、そもそもそこにモンスターが転移したって例を聞いたことがないから、実際にモンスターが転移しても、ダンジョンの……目的? 的なあれで、自動的に元いた場所に戻されるかもな」

「あぁ、そうか。そういう結果にも、なりそうですね」

本当にどうなったのか分からないけど、仮にモンスターラッシュと戦わない部屋とかに跳ばされた場合、エスエールさんの考えとは違って戦うことになり、死んだらそれはそれでオッケー。

でも、仮にそれを乗り越えて……戻ってきたら…………うん、ちょっと考えたくないな。

あのアサルカコボルトが単純にAランクに成長したとしても、純粋な戦闘力はイレックスコボルトには劣るはず。
けど……強烈過ぎる試練を越えたら、イレックスコボルト並みか……もしくはそれ以上の戦闘力を手に入れるかもしれない。

あのイカれた上位種コボルト並みの戦闘力を持ちながら、あれだけの知能を持ってる個体とか……うん、ちょっと考えたくないな。

総合的に見れば……イレックスコボルトや、ハイ・ヴァンパイアよりも強くても全然おかしくない。

「……とりあえず、姿を見たらこっちから攻撃するんじゃなくて、狙ってきたところをカウンターで仕留めた方が良さそうだな」

「ですね。後は、遠距離攻撃を対処するメンバーも先に決めておいて……出来れば、一瞬でも動きを止められると上手く戦れそうかと」

そもそも仮にあの上位種が進化するとして、どんな名前の上位種になるのかまでは解らない。

それでも、コボルトという種だけは解っているため、料理を食べ続けながら本当に満腹になるまでエスエールさんと話し合いを続けた。
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