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賭けの結果は……
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SIDE ラガス
「っ! ラガスさん、あれは!!」
「あぁ、見覚えのある光景だな」
メリルの毒を食らい、動きが鈍り始めたケルベロスだったが、メリルから大袈裟に距離を取った瞬間、全身を燃え上がらせた。
この前、イレックスコボルトが取った行動と似てる。
あの時もメリルが毒を傷口から与えた直後に、全身を……燃やした?
ただ、あの時とは……状況が違う気がする。
「ラガス……あれって、さ」
「セルシアも同じ事を思ったか」
「うん。あれって、多分……賭け、だよね」
「多分な」
これまでも、ケルベロスは前足や後ろ足に炎を纏うことはあった。
だから、炎を全身に纏うこと自体は出来てもおかしくない。
でも、纏うんじゃなくて、全身を……体の中を燃やすとなると、話しが変わってくる筈だ。
「あぁ~~~~……なる、ほど。ようやっとお二人の考えが解ったす。あれ、多分……賭けに失敗したんじゃないっすかね」
全身を中から燃やし、おそらくメリルから食らった毒を熱消毒した結果、ケルベロスの体から焦げ臭い匂いが漂ってきた。
それを考えると、シュラの言う通り、賭けに失敗した気がしなくもないけど……。
「「「ルルルゥアアアアアアアアアッ!!!!!!」」」
「なっ!!?? ラガスさん、あいつ」
「みたいだな」
ケルベロスは先程までと変わらない速さで……いや、毒が回り始めた状態よりは良い動きで再びメリルを襲い始めた。
俺たち人間にアドレナリンとかがあるみたいに、モンスターにもそういう細胞があってもおかしくない。
ちょっと都合の良さは感じるけど、多分俺たちと戦ってきたモンスターも同じようなことを思ってただろうな。
「ねぇ、ラガス。助けに、行っても、良い?」
セルシアだけではなく、シュラも得物に手を掛けてた。
確かに、元通りの動きじゃないにしても、毒が回ってた時よりも良い動きをしてるっていうのを考えれば、その気持ちは理解出来る。
メリルはメリルで体力や精神力をすり減らしてるのを考えれば、まだメリルの方に余裕があるとは言えない。
「……二人とも落ち着けって。まだ、メリルには使ってない武器があるだろ」
「使ってない、武器……………………あっ!!」
「思い出したか? それがあるって考えると、寧ろめりるのほうが有利にすら思えてこないか?」
「すっかり忘れてたっす。そうっすね……今の状況を考えると、メリルの方が有利って言えなくもないっすね」
「だろ。あっ、今使ったな」
ケルベロスの爪撃を躱した直後、メリルは手招きして煽った。
まんまと煽りに乗ったケルベロスは、メリルが生産した粘着性の糸で脚を止め、ケルベロスはそのまま転倒。
その隙に三体の首に切傷を加えた。
「……頭を、突き刺さなかったん、だね」
「雁字搦めにして、身動きを取れなくした訳じゃないからな。三回頭部に刃を突き刺す前に、一体ぐらいはブレスを放ってきそうと思ったんだろ」
突き刺すのと、首を切断するのではなく切り裂くだけなら、切り裂く方が早く終わる。
アドレナリン? ドバドバ状態で、いつぶっ倒れるか解らない状況なら、絶対煽りに乗るって確証した上で、あのタイミングで煽ったんだろうな。
「「「ーーッ!! ッ……っ、ッ!!!!!」」」
「もう良いでしょう」
おそらく、首から流してはいけない量の血を流した。
それを確認したであろうメリルはこれ以上ケルベロスを苦しめないように? 三つの頭に双剣を突き刺し、戦いを終わらせた。
「ふぅーーーーーー……お待たせしました、ラガス坊ちゃま。ただいまケルベロスの討伐を終えました」
「うん、お疲れ様、メリル。解体は俺たちがやるから、今は休んででくれ」
「…………では、お言葉に甘えさせていただきます」
ルーフェイスに見張りを頼み、三人でケルベロスの死体を解体。
メリルほど得意ではない二人だが、だからこそ丁寧に仕事してくれたのか、思ってた以上に時間を掛けず解体を終えることが出来た。
「っ! ラガスさん、あれは!!」
「あぁ、見覚えのある光景だな」
メリルの毒を食らい、動きが鈍り始めたケルベロスだったが、メリルから大袈裟に距離を取った瞬間、全身を燃え上がらせた。
この前、イレックスコボルトが取った行動と似てる。
あの時もメリルが毒を傷口から与えた直後に、全身を……燃やした?
ただ、あの時とは……状況が違う気がする。
「ラガス……あれって、さ」
「セルシアも同じ事を思ったか」
「うん。あれって、多分……賭け、だよね」
「多分な」
これまでも、ケルベロスは前足や後ろ足に炎を纏うことはあった。
だから、炎を全身に纏うこと自体は出来てもおかしくない。
でも、纏うんじゃなくて、全身を……体の中を燃やすとなると、話しが変わってくる筈だ。
「あぁ~~~~……なる、ほど。ようやっとお二人の考えが解ったす。あれ、多分……賭けに失敗したんじゃないっすかね」
全身を中から燃やし、おそらくメリルから食らった毒を熱消毒した結果、ケルベロスの体から焦げ臭い匂いが漂ってきた。
それを考えると、シュラの言う通り、賭けに失敗した気がしなくもないけど……。
「「「ルルルゥアアアアアアアアアッ!!!!!!」」」
「なっ!!?? ラガスさん、あいつ」
「みたいだな」
ケルベロスは先程までと変わらない速さで……いや、毒が回り始めた状態よりは良い動きで再びメリルを襲い始めた。
俺たち人間にアドレナリンとかがあるみたいに、モンスターにもそういう細胞があってもおかしくない。
ちょっと都合の良さは感じるけど、多分俺たちと戦ってきたモンスターも同じようなことを思ってただろうな。
「ねぇ、ラガス。助けに、行っても、良い?」
セルシアだけではなく、シュラも得物に手を掛けてた。
確かに、元通りの動きじゃないにしても、毒が回ってた時よりも良い動きをしてるっていうのを考えれば、その気持ちは理解出来る。
メリルはメリルで体力や精神力をすり減らしてるのを考えれば、まだメリルの方に余裕があるとは言えない。
「……二人とも落ち着けって。まだ、メリルには使ってない武器があるだろ」
「使ってない、武器……………………あっ!!」
「思い出したか? それがあるって考えると、寧ろめりるのほうが有利にすら思えてこないか?」
「すっかり忘れてたっす。そうっすね……今の状況を考えると、メリルの方が有利って言えなくもないっすね」
「だろ。あっ、今使ったな」
ケルベロスの爪撃を躱した直後、メリルは手招きして煽った。
まんまと煽りに乗ったケルベロスは、メリルが生産した粘着性の糸で脚を止め、ケルベロスはそのまま転倒。
その隙に三体の首に切傷を加えた。
「……頭を、突き刺さなかったん、だね」
「雁字搦めにして、身動きを取れなくした訳じゃないからな。三回頭部に刃を突き刺す前に、一体ぐらいはブレスを放ってきそうと思ったんだろ」
突き刺すのと、首を切断するのではなく切り裂くだけなら、切り裂く方が早く終わる。
アドレナリン? ドバドバ状態で、いつぶっ倒れるか解らない状況なら、絶対煽りに乗るって確証した上で、あのタイミングで煽ったんだろうな。
「「「ーーッ!! ッ……っ、ッ!!!!!」」」
「もう良いでしょう」
おそらく、首から流してはいけない量の血を流した。
それを確認したであろうメリルはこれ以上ケルベロスを苦しめないように? 三つの頭に双剣を突き刺し、戦いを終わらせた。
「ふぅーーーーーー……お待たせしました、ラガス坊ちゃま。ただいまケルベロスの討伐を終えました」
「うん、お疲れ様、メリル。解体は俺たちがやるから、今は休んででくれ」
「…………では、お言葉に甘えさせていただきます」
ルーフェイスに見張りを頼み、三人でケルベロスの死体を解体。
メリルほど得意ではない二人だが、だからこそ丁寧に仕事してくれたのか、思ってた以上に時間を掛けず解体を終えることが出来た。
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