909 / 989
パンク寸前?
しおりを挟む
「この、オーガ……本当に、堅かった、ね」
「中々斬り応えがあったって感じか?」
「うん…………こういう、相手と、戦れて、良かったと、思う」
「そうか、そりゃ良かった」
まぁ、楽な相手じゃなかっただろうな。
紫電崩牙を使うなら別だろうけど、ただ堅いだけじゃなくて、堅い上に速い。
それを考えれば、切断し切れなかった、貫ききれなかった時……ワンテンポ動作が遅れれば、捕まってしまう可能性がある。
「メデューサもそうですが、このオーガもなんだかんだで初見殺しになりそうですね」
「なんでだ? 身体能力が普通のオーガよりもヤバいって感じだろ」
「事前に話を聞いていても、対策出来るかどうかは別でしょう。シュラ、あなたは他のハンターたちよりも強い。そこまで言えば、解るでしょう」
「お、おぉう…………一応、な」
メリルにしては、珍しくシュラをストレートに褒めたな。
確かにメリルの言う通り、シュラの強さがあるからこそ、筋肉密度が半端ではないオーガに対して嬉々とした表情を浮かべながら挑める。
「タンクの人とか、対応が大変そうだな。トロール、サイクロプス……オーガジェネラルとかとの戦闘経験があれば大丈夫か?」
「オークジェネラルとの戦闘経験があるなら、なんとかなるかもしれませんね」
あれこれ喋りながら解体を終え、今回は三度目の探索ということもあり、割とスムーズに探索が進んでいく。
「この階、ですね」
以前、俺とセルシアが転移トラップで飛んでしまった階層まで到着。
「オッケー……あっち側が、まだ探索出来てないみたいだな」
エスエールさんたちが探索した場所の地図の写しを貰っているため、正直……このまま降りることは出来るが、それでもまだ解ってない場所は調べておきたい。
「……ラガスさん。もしこの地下遺跡が完全にダンジョン化したら、階層の広さとか色々と変わるんすかね」
「そうだな…………完全にダンジョン化したってなると、ボス部屋が必ず現れる筈だから、色々と変わるかもしれないな」
「そうっすよね。そうなったら、今作ってる地図って……意味無くなったりしないっすか」
「はぁ~~~~~~~……シュラ。あなた、探索期限が限られてるなら、さっさと下に下に降りたいと考えてるでしょう」
「うっ!!!」
ふふ、はっはっは!!! シュラらしい考えではあるな。
ぶっちゃけ、その気持ちは解らなくもない。
「シュラ。私たちはハンターとして活動してるのよ。仮にいずれ変形してしまうとしても、こういったマッピングも仕事の内なのよ。少なくとも、今すぐ完全にダンジョン化するとは限らないのよ」
「け、けどよぉ……」
「シュラ……仮に階層の通路が変化するかもしれないけど、完全に別物に変わるとは限らない。信用し過ぎるのも良くないかもしれないけど、変わってからも役立つ可能性はゼロじゃないんだ」
「…………そうっすね。ちょっと我儘が過ぎたっす」
いつ、ダンジョン化するか解らない……ぶっちゃけその通りではある。
仮に俺たちやエスエールさんたちの探索が切っ掛けで刺激を受け、ダンジョン化が加速しても……どうやって人工ダンジョン? を造ったのか、そこが解らないから予想も立てられない。
っていうか……まてよ………………今、ダンジョン化してる途中なら…………そもそも地下遺跡っていう、場所自体変化したりする、のか?
「……ラガス、考え、事?」
「い、いや。なんでもないよ、セルシア」
うん、止めとこう。
シュラのやっぱりマッピングなんてしなくても良いんじゃないかって思いが爆発するとかじゃなくて、もう……これ以上頭を悩ます話題を共有したり、先輩たちに伝えない方が良い筈だ。
エスエールさんたちがどこまでギルドに伝えてるのか知らないけど、お偉いさんたちは……多分パンク寸前じゃないかな。
とりあえず、これに関しては誰にも話さないでおこう。
「ラガス坊ちゃま……これは」
「普通じゃない、ことが起きてそうだな」
あれから数日後、順調に進んでいた俺たちは複数のコボルトの死体に遭遇。
その数……十体以上。
殺され、死体が完全放置されてることに、俺たちは違和感を感じにはいられなかった。
「中々斬り応えがあったって感じか?」
「うん…………こういう、相手と、戦れて、良かったと、思う」
「そうか、そりゃ良かった」
まぁ、楽な相手じゃなかっただろうな。
紫電崩牙を使うなら別だろうけど、ただ堅いだけじゃなくて、堅い上に速い。
それを考えれば、切断し切れなかった、貫ききれなかった時……ワンテンポ動作が遅れれば、捕まってしまう可能性がある。
「メデューサもそうですが、このオーガもなんだかんだで初見殺しになりそうですね」
「なんでだ? 身体能力が普通のオーガよりもヤバいって感じだろ」
「事前に話を聞いていても、対策出来るかどうかは別でしょう。シュラ、あなたは他のハンターたちよりも強い。そこまで言えば、解るでしょう」
「お、おぉう…………一応、な」
メリルにしては、珍しくシュラをストレートに褒めたな。
確かにメリルの言う通り、シュラの強さがあるからこそ、筋肉密度が半端ではないオーガに対して嬉々とした表情を浮かべながら挑める。
「タンクの人とか、対応が大変そうだな。トロール、サイクロプス……オーガジェネラルとかとの戦闘経験があれば大丈夫か?」
「オークジェネラルとの戦闘経験があるなら、なんとかなるかもしれませんね」
あれこれ喋りながら解体を終え、今回は三度目の探索ということもあり、割とスムーズに探索が進んでいく。
「この階、ですね」
以前、俺とセルシアが転移トラップで飛んでしまった階層まで到着。
「オッケー……あっち側が、まだ探索出来てないみたいだな」
エスエールさんたちが探索した場所の地図の写しを貰っているため、正直……このまま降りることは出来るが、それでもまだ解ってない場所は調べておきたい。
「……ラガスさん。もしこの地下遺跡が完全にダンジョン化したら、階層の広さとか色々と変わるんすかね」
「そうだな…………完全にダンジョン化したってなると、ボス部屋が必ず現れる筈だから、色々と変わるかもしれないな」
「そうっすよね。そうなったら、今作ってる地図って……意味無くなったりしないっすか」
「はぁ~~~~~~~……シュラ。あなた、探索期限が限られてるなら、さっさと下に下に降りたいと考えてるでしょう」
「うっ!!!」
ふふ、はっはっは!!! シュラらしい考えではあるな。
ぶっちゃけ、その気持ちは解らなくもない。
「シュラ。私たちはハンターとして活動してるのよ。仮にいずれ変形してしまうとしても、こういったマッピングも仕事の内なのよ。少なくとも、今すぐ完全にダンジョン化するとは限らないのよ」
「け、けどよぉ……」
「シュラ……仮に階層の通路が変化するかもしれないけど、完全に別物に変わるとは限らない。信用し過ぎるのも良くないかもしれないけど、変わってからも役立つ可能性はゼロじゃないんだ」
「…………そうっすね。ちょっと我儘が過ぎたっす」
いつ、ダンジョン化するか解らない……ぶっちゃけその通りではある。
仮に俺たちやエスエールさんたちの探索が切っ掛けで刺激を受け、ダンジョン化が加速しても……どうやって人工ダンジョン? を造ったのか、そこが解らないから予想も立てられない。
っていうか……まてよ………………今、ダンジョン化してる途中なら…………そもそも地下遺跡っていう、場所自体変化したりする、のか?
「……ラガス、考え、事?」
「い、いや。なんでもないよ、セルシア」
うん、止めとこう。
シュラのやっぱりマッピングなんてしなくても良いんじゃないかって思いが爆発するとかじゃなくて、もう……これ以上頭を悩ます話題を共有したり、先輩たちに伝えない方が良い筈だ。
エスエールさんたちがどこまでギルドに伝えてるのか知らないけど、お偉いさんたちは……多分パンク寸前じゃないかな。
とりあえず、これに関しては誰にも話さないでおこう。
「ラガス坊ちゃま……これは」
「普通じゃない、ことが起きてそうだな」
あれから数日後、順調に進んでいた俺たちは複数のコボルトの死体に遭遇。
その数……十体以上。
殺され、死体が完全放置されてることに、俺たちは違和感を感じにはいられなかった。
159
お気に入りに追加
3,501
あなたにおすすめの小説
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。
まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。
だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥
たまにやりたくなる短編。
ちょっと連載作品
「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる