878 / 950
良い匂いはすれど
しおりを挟む
SIDE ラガス
「うん、良い戦いっぷりだったな」
相手の体勢を崩し、最後は背後から渾身の一撃を頭部に叩きこんでノックアウト……理想的な流れで終わらせたな。
「……そうですね。シュラにしては、珍しく頭を使って戦ったかと」
「はっはっは!! 確かにそうかもしれないけど、ちゃんとメリルの言いつけを守ったってことだろ」
あのオーガの中身がどうなってるのかは知らないけど、本当に強かった。
今更シュラが普通のCランクモンスターを相手に苦戦することはなく、未開拓地に生息してるCランクモンスターであっても、楽しもうとせず戦えば一分程度……もしくは一分掛からない程度の時間で討伐出来る。
「あの、オーガ……多分、Bランク?」
「シュラの奴が鬼火まで使ったのを考えれば、実質それぐらいの戦闘力があってもおかしくはなさそうだな」
「見たところ、先日私たちが戦ったオーガの様な、異常性はありませんでした」
「だな。でも、身体能力……特に防御力は結構びっくりするレベルだ。まぁ、それも解体して見れば解る話だ」
シュラに労いの言葉を掛け、早速解体開始。
すると、割と直ぐに何故あそこまでシュラの攻撃に耐えられる防御力を有していたのか解った。
「このオーガ……筋肉が分厚い。いや、密度が高いのか?」
「通常の個体よりも、筋肉の質が高いと?」
「質……と言うよりも、量が違うって感じかもしれないな」
そもそも、同じサイズのオーガと比べて、シュラがソロで討伐した個体はかなり重かった。
筋肉が異様に発達した個体か。
もしかして、この地下遺跡に生息するオーガは、これが標準サイズなのか?
だとしたら……とりあえず、シュラやセルシアにとっては嬉し過ぎる遊び場か。
「いやぁ~~、マジでガチガチに堅かったっすよ。それに、他のオーガと比べて大斧を受け止めた時の衝撃? も、他の個体と比べて結構重かったっす」
「筋肉の密度が高くなれば、イコール筋肉量が増えてる……ことになるのか? それなら、純粋なパワーも上がってていてもおかしくはないな」
「……筋肉量が増えれば、その分重さが増えてパワーはともかく、スピードは落ちそうに思えますが」
「体のサイズが大きければ、そうなるかもしれない。後は、体格に見合わない筋肉量を持ってたりすれば、スピードは落ちそうだが……見た目は変わらず筋肉量だけ増えていれば、スピードが損なわれることはなく、寧ろスピードアップに繋がるのかもしれないな」
「なる……ほど」
とはいえ、本当にそうなのかは、いまいち解らないけどな。
もっと専門的な知識を持ってれば上手く説明出来るんだろうけど、元がただの学生だからな。
「しっかし、まだ探索を始めて一日も経ってないっすけど、結構面白いモンスターがうようよいるっすね」
「地下遺跡だから、って考えは安直すぎるかな?」
「手付かずの未開拓遺跡だからではないでしょうか」
「手付かずって聞くと、お宝の匂いがするけど、初っ端からポイズンセンチネルとかDランク、Cランクのゴーレムとか普通じゃないオーガとかと遭遇するってなると、初見殺し? って感じだな」
事前にダンジョンに似てるようで、似てない部分があるってのは聞いてたけど、明らかにルーキーたちや実力がそこまで高くないハンターたちがお宝の匂いに釣られて挑めば、全滅待ったなしだろうな。
「それは……楽しく、ない?」
「普通のハンターたちからすれば、勘弁してほしいだろうな。俺たちの場合は全員強いから、そこまでビビる必要はないけど」
多分だけど、ブロンズランクのハンターたちでも、あまり進んで探索したくないレベルの遺跡じゃないかな。
「ラガス坊ちゃま。油断は禁物ですよ」
「解ってるよ、メリル。でも、あまり臆病になり過ぎるのも良くないだろ」
この後も度々モンスターに遭遇したが、ローテーションしながら全て討伐に成功。
昼間に考えた内容が合ってるかどうかは解らないけど、ひとまず部屋らしき場所で野営することにした。
「うん、良い戦いっぷりだったな」
相手の体勢を崩し、最後は背後から渾身の一撃を頭部に叩きこんでノックアウト……理想的な流れで終わらせたな。
「……そうですね。シュラにしては、珍しく頭を使って戦ったかと」
「はっはっは!! 確かにそうかもしれないけど、ちゃんとメリルの言いつけを守ったってことだろ」
あのオーガの中身がどうなってるのかは知らないけど、本当に強かった。
今更シュラが普通のCランクモンスターを相手に苦戦することはなく、未開拓地に生息してるCランクモンスターであっても、楽しもうとせず戦えば一分程度……もしくは一分掛からない程度の時間で討伐出来る。
「あの、オーガ……多分、Bランク?」
「シュラの奴が鬼火まで使ったのを考えれば、実質それぐらいの戦闘力があってもおかしくはなさそうだな」
「見たところ、先日私たちが戦ったオーガの様な、異常性はありませんでした」
「だな。でも、身体能力……特に防御力は結構びっくりするレベルだ。まぁ、それも解体して見れば解る話だ」
シュラに労いの言葉を掛け、早速解体開始。
すると、割と直ぐに何故あそこまでシュラの攻撃に耐えられる防御力を有していたのか解った。
「このオーガ……筋肉が分厚い。いや、密度が高いのか?」
「通常の個体よりも、筋肉の質が高いと?」
「質……と言うよりも、量が違うって感じかもしれないな」
そもそも、同じサイズのオーガと比べて、シュラがソロで討伐した個体はかなり重かった。
筋肉が異様に発達した個体か。
もしかして、この地下遺跡に生息するオーガは、これが標準サイズなのか?
だとしたら……とりあえず、シュラやセルシアにとっては嬉し過ぎる遊び場か。
「いやぁ~~、マジでガチガチに堅かったっすよ。それに、他のオーガと比べて大斧を受け止めた時の衝撃? も、他の個体と比べて結構重かったっす」
「筋肉の密度が高くなれば、イコール筋肉量が増えてる……ことになるのか? それなら、純粋なパワーも上がってていてもおかしくはないな」
「……筋肉量が増えれば、その分重さが増えてパワーはともかく、スピードは落ちそうに思えますが」
「体のサイズが大きければ、そうなるかもしれない。後は、体格に見合わない筋肉量を持ってたりすれば、スピードは落ちそうだが……見た目は変わらず筋肉量だけ増えていれば、スピードが損なわれることはなく、寧ろスピードアップに繋がるのかもしれないな」
「なる……ほど」
とはいえ、本当にそうなのかは、いまいち解らないけどな。
もっと専門的な知識を持ってれば上手く説明出来るんだろうけど、元がただの学生だからな。
「しっかし、まだ探索を始めて一日も経ってないっすけど、結構面白いモンスターがうようよいるっすね」
「地下遺跡だから、って考えは安直すぎるかな?」
「手付かずの未開拓遺跡だからではないでしょうか」
「手付かずって聞くと、お宝の匂いがするけど、初っ端からポイズンセンチネルとかDランク、Cランクのゴーレムとか普通じゃないオーガとかと遭遇するってなると、初見殺し? って感じだな」
事前にダンジョンに似てるようで、似てない部分があるってのは聞いてたけど、明らかにルーキーたちや実力がそこまで高くないハンターたちがお宝の匂いに釣られて挑めば、全滅待ったなしだろうな。
「それは……楽しく、ない?」
「普通のハンターたちからすれば、勘弁してほしいだろうな。俺たちの場合は全員強いから、そこまでビビる必要はないけど」
多分だけど、ブロンズランクのハンターたちでも、あまり進んで探索したくないレベルの遺跡じゃないかな。
「ラガス坊ちゃま。油断は禁物ですよ」
「解ってるよ、メリル。でも、あまり臆病になり過ぎるのも良くないだろ」
この後も度々モンスターに遭遇したが、ローテーションしながら全て討伐に成功。
昼間に考えた内容が合ってるかどうかは解らないけど、ひとまず部屋らしき場所で野営することにした。
179
お気に入りに追加
3,491
あなたにおすすめの小説
私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
ドアマットヒロインはごめん被るので、元凶を蹴落とすことにした
月白ヤトヒコ
ファンタジー
お母様が亡くなった。
それから程なくして――――
お父様が屋敷に見知らぬ母子を連れて来た。
「はじめまして! あなたが、あたしのおねえちゃんになるの?」
にっこりとわたくしを見やるその瞳と髪は、お父様とそっくりな色をしている。
「わ~、おねえちゃんキレイなブローチしてるのね! いいなぁ」
そう、新しい妹? が、言った瞬間・・・
頭の中を、凄まじい情報が巡った。
これ、なんでも奪って行く異母妹と家族に虐げられるドアマット主人公の話じゃね?
ドアマットヒロイン……物語の主人公としての、奪われる人生の、最初の一手。
だから、わたしは・・・よし、とりあえず馬鹿なことを言い出したこのアホをぶん殴っておこう。
ドアマットヒロインはごめん被るので、これからビシバシ躾けてやるか。
ついでに、「政略に使うための駒として娘を必要とし、そのついでに母親を、娘の世話係としてただで扱き使える女として連れて来たものかと」
そう言って、ヒロインのクズ親父と異母妹の母親との間に亀裂を入れることにする。
フハハハハハハハ! これで、異母妹の母親とこの男が仲良くわたしを虐げることはないだろう。ドアマットフラグを一つ折ってやったわっ!
うん? ドアマットヒロインを拾って溺愛するヒーローはどうなったかって?
そんなの知らん。
設定はふわっと。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
パーティー会場で婚約破棄するなんて、物語の中だけだと思います
みこと
ファンタジー
「マルティーナ!貴様はルシア・エレーロ男爵令嬢に悪質な虐めをしていたな。そのような者は俺の妃として相応しくない。よって貴様との婚約の破棄そして、ルシアとの婚約をここに宣言する!!」
ここ、魔術学院の創立記念パーティーの最中、壇上から声高らかに宣言したのは、ベルナルド・アルガンデ。ここ、アルガンデ王国の王太子だ。
何故かふわふわピンク髪の女性がベルナルド王太子にぶら下がって、大きな胸を押し付けている。
私、マルティーナはフローレス侯爵家の次女。残念ながらこのベルナルド王太子の婚約者である。
パーティー会場で婚約破棄って、物語の中だけだと思っていたらこのザマです。
設定はゆるいです。色々とご容赦お願い致しますm(*_ _)m
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
殿下から婚約破棄されたけど痛くも痒くもなかった令嬢の話
ルジェ*
ファンタジー
婚約者である第二王子レオナルドの卒業記念パーティーで突然婚約破棄を突きつけられたレティシア・デ・シルエラ。同様に婚約破棄を告げられるレオナルドの側近達の婚約者達。皆唖然とする中、レオナルドは彼の隣に立つ平民ながらも稀有な魔法属性を持つセシリア・ビオレータにその場でプロポーズしてしまうが───
「は?ふざけんなよ。」
これは不運な彼女達が、レオナルド達に逆転勝利するお話。
********
「冒険がしたいので殿下とは結婚しません!」の元になった物です。メモの中で眠っていたのを見つけたのでこれも投稿します。R15は保険です。プロトタイプなので深掘りとか全くなくゆるゆる設定で雑に進んで行きます。ほぼ書きたいところだけ書いたような状態です。細かいことは気にしない方は宜しければ覗いてみてやってください!
*2023/11/22 ファンタジー1位…⁉︎皆様ありがとうございます!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる