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笑ってる内は大丈夫
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「ッシャオラ!!!!!!」
「ガアアアアアッ!!!!!」
大斧を持っていたオーガに対し、シュラはアイテムバッグから大剣を取り出して応戦。
開幕初っ端から金属同士がぶつかり合う音が響き渡った。
『ルーフェイス、周囲の警戒を強めてもらっても良いか』
『うん、任せて!!!』
シュラに悪気がないことは解っている。
ただ、まだこの地下遺跡に生息するモンスターの特徴は解ってないが、今の音を耳にして他のモンスターが襲い掛かってくる可能性は十分にある。
「………………一応、考えなしで戦っているわけではないようですね」
「おっ、冷静だな。てっきりあいつが楽しそうな顔をしてるから、戦いが終わったら注意するのかと思ったけど」
基本的に楽しむのは厳禁。
そう注意されていたシュラだが、現在……大斧使いのオーガと戦ってるあいつはがっつり笑っていた。
「シュラとの付き合いの長さは、ラガス坊ちゃまと同じです。私も、今のあの男がわざと相手の動きを合わせて戦闘を楽しんでいるのか、それとも常に緊張感が絶えない戦いだからこそ笑みを零しているのか、それぐらいの差は解ります」
「ふふ、そうか。にしても……ちょっとびっくりだな」
まだ鬼火を使ってないとはいえ、あのオーガはまだシュラと渡り合っている。
以前、地上で遭遇した、寄生虫らしき生物に乗っ取られたオーガとは違う……筈。
なのに、約一分経過した今でも、目立た傷はない。
「未開拓地の……地下遺跡のモンスターだから、では少し納得出来ない強さ、タフさですね」
「そうなんだよな~~。見た感じ、体格は地上のオーガとそこまで変わらないんだけどな」
シュラはただ大剣だけで戦うんじゃなくて、時折大剣を手放して鋭い蹴りや拳を叩き込んでいる。
その際、オーガが苦い表情を浮かべているところを見ると、全く効いていないわけではない。
手放した大剣をどうにかしようとすれば、その動きが隙になると解ってるからか、あまり大剣をどうこうしようという動きは見せない。
だが、どちらにせよシュラが大剣という武器を取り戻すから、オーガが隙を見せないからといって、シュラが不利になってはいない。
「ねぇ、ラガス。あの、オーガ……もう、血が流れて、ない」
「ん? 確かに…………そう、だな」
高い回復力を持ってる? それとも再生力を持つタイプか?
「けど、あれだな。よ~~~く見ると、切傷自体は治ってないっぽいな」
「その様ですね。切傷を負った部分から血は流れていませんが、どうやら打撃を食らって生まれた青痣は消えていません」
……切傷の部分から、血は流れなくなっている。
けど、傷自体は癒えてない。
それに蹴りや拳で生まれた青痣は特に変化なし、か。
「あっ」
この戦いで一番の衝撃音が鳴り響いた。
互いに渾身の一撃をぶつけ合った結果、オーガの大斧が、シュラの大剣が弾き飛んだ。
「っと。さてさて、互いの武器が弾け飛んだとなったら…………ふふ、そうなるよな」
吹き飛んだシュラの大剣をキャッチして、直ぐに戦いに視線を戻す。
「シッ!!!! セヤッ!!!! ゥオラアアッ!!!!!」
「ッ!!!??? ガ、アアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!」
シュラが細かいコンビネーションで攻めるのに対して、オーガは暴れて暴れて、とにかく暴れる。
四肢に鬼火を纏ったシュラの打撃は痛いだけで済むものじゃない。
人体……ならぬモンスター体? がどうなってるのかは知らないけど、やっぱりアドレナリンみたいなものが分泌されてるのか?
「ラガス坊ちゃま」
「まだ早いって。あいつはあいつでちゃんと攻めてる。避けられる攻撃は避けてるし、問題無いだろ」
「……そうですね」
とはいえ、メリルが心配するのも少し解る。
あのシュラの打撃を受けて、青痣と火傷で済んでるんだ。
どういう耐久力してるんだよ、あのオーガ。
けど…………うん、変わらずシュラが笑ってるところを見ると、まだ手助けは必要なさそうだ。
「ガアアアアアッ!!!!!」
大斧を持っていたオーガに対し、シュラはアイテムバッグから大剣を取り出して応戦。
開幕初っ端から金属同士がぶつかり合う音が響き渡った。
『ルーフェイス、周囲の警戒を強めてもらっても良いか』
『うん、任せて!!!』
シュラに悪気がないことは解っている。
ただ、まだこの地下遺跡に生息するモンスターの特徴は解ってないが、今の音を耳にして他のモンスターが襲い掛かってくる可能性は十分にある。
「………………一応、考えなしで戦っているわけではないようですね」
「おっ、冷静だな。てっきりあいつが楽しそうな顔をしてるから、戦いが終わったら注意するのかと思ったけど」
基本的に楽しむのは厳禁。
そう注意されていたシュラだが、現在……大斧使いのオーガと戦ってるあいつはがっつり笑っていた。
「シュラとの付き合いの長さは、ラガス坊ちゃまと同じです。私も、今のあの男がわざと相手の動きを合わせて戦闘を楽しんでいるのか、それとも常に緊張感が絶えない戦いだからこそ笑みを零しているのか、それぐらいの差は解ります」
「ふふ、そうか。にしても……ちょっとびっくりだな」
まだ鬼火を使ってないとはいえ、あのオーガはまだシュラと渡り合っている。
以前、地上で遭遇した、寄生虫らしき生物に乗っ取られたオーガとは違う……筈。
なのに、約一分経過した今でも、目立た傷はない。
「未開拓地の……地下遺跡のモンスターだから、では少し納得出来ない強さ、タフさですね」
「そうなんだよな~~。見た感じ、体格は地上のオーガとそこまで変わらないんだけどな」
シュラはただ大剣だけで戦うんじゃなくて、時折大剣を手放して鋭い蹴りや拳を叩き込んでいる。
その際、オーガが苦い表情を浮かべているところを見ると、全く効いていないわけではない。
手放した大剣をどうにかしようとすれば、その動きが隙になると解ってるからか、あまり大剣をどうこうしようという動きは見せない。
だが、どちらにせよシュラが大剣という武器を取り戻すから、オーガが隙を見せないからといって、シュラが不利になってはいない。
「ねぇ、ラガス。あの、オーガ……もう、血が流れて、ない」
「ん? 確かに…………そう、だな」
高い回復力を持ってる? それとも再生力を持つタイプか?
「けど、あれだな。よ~~~く見ると、切傷自体は治ってないっぽいな」
「その様ですね。切傷を負った部分から血は流れていませんが、どうやら打撃を食らって生まれた青痣は消えていません」
……切傷の部分から、血は流れなくなっている。
けど、傷自体は癒えてない。
それに蹴りや拳で生まれた青痣は特に変化なし、か。
「あっ」
この戦いで一番の衝撃音が鳴り響いた。
互いに渾身の一撃をぶつけ合った結果、オーガの大斧が、シュラの大剣が弾き飛んだ。
「っと。さてさて、互いの武器が弾け飛んだとなったら…………ふふ、そうなるよな」
吹き飛んだシュラの大剣をキャッチして、直ぐに戦いに視線を戻す。
「シッ!!!! セヤッ!!!! ゥオラアアッ!!!!!」
「ッ!!!??? ガ、アアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!」
シュラが細かいコンビネーションで攻めるのに対して、オーガは暴れて暴れて、とにかく暴れる。
四肢に鬼火を纏ったシュラの打撃は痛いだけで済むものじゃない。
人体……ならぬモンスター体? がどうなってるのかは知らないけど、やっぱりアドレナリンみたいなものが分泌されてるのか?
「ラガス坊ちゃま」
「まだ早いって。あいつはあいつでちゃんと攻めてる。避けられる攻撃は避けてるし、問題無いだろ」
「……そうですね」
とはいえ、メリルが心配するのも少し解る。
あのシュラの打撃を受けて、青痣と火傷で済んでるんだ。
どういう耐久力してるんだよ、あのオーガ。
けど…………うん、変わらずシュラが笑ってるところを見ると、まだ手助けは必要なさそうだ。
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