上 下
834 / 975

無駄にしないように

しおりを挟む
「つかよ、ラガスさんはその魔弾と、他の得物を使って戦えるんだろ」

「そうだな。それが俺の武器とも言える」

「……頭パンクしね?」

ん~~~、言いたい事は解る。
ちょっと常識はおかしくなった気がしなくもないけど、前世の記憶が全て消えたわけではないからな。

「これを言っちゃあれかもしれないけど、慣れるしかない。俺は魔弾とはいっても、複数の魔弾を放ち、操りながら戦っていたこともあって、自然と同時に二つ……もしくはそれ以上の何かをしながら戦うことになれた」

「魔弾、ねぇ…………今からでも練習すべきか?」

「あんまり不用意なことは言えないな。雑魚狩りには使えるかもしれないけど、本気で戦わなければならない時に役立つとは、断言出来ない」

「……へっへ。そう言ってくれっと、なんか安心するぜ」

?? なんで安心するんだ?
俺今、確かに魔弾の技術を磨いても、あまり意味がない的なことを伝えたと思うんだけど。

「なんで安心するのか解らないって顔してますね、ラガス坊ちゃま」

「おうよ。良く解らん」

「レグディスさんたちは、ラガス坊ちゃまが自分たちの時間まで考えて発言してくれたことに対して、安心してるのですよ」

「メリルさんの言う通りだな。先輩たちをバカにするつもりじゃねぇけど、やたら自分の得物を推したがる人が少なくねぇからな」

それは……指導者として、いかがなものなんだ?

いや、そもそもその先輩たちが現役なら、別に指導者とは言えないか。
それでも、自分の武器をがっつり推すのは………………気に入った後輩とかなら、逆に自分が使って武器と同じ武器を使って欲しいと思ってしまうものなのか?

「ラガスさんは今、俺が今から魔弾の技術を磨いても、時間を無駄にするかも的なことを思ったんだろ」

「そうだな。元々そういうタイプじゃないって考えもあるけど」

レグディスが考え無しのバカ、猪突猛進タイプの前衛だと思っているわけではない。
寧ろ実際に手合わせして、考える頭は持ってる方だと思った。

けど、だからって細かい技術を組み合わせるタイプ、ではないと思うんだよな。

「……もう少し頭を鍛えるなら、二刀流とかやってみたら、あれかもな」

「に、二刀流か……二刀流か~~~~~~~」

「それはそれで今更感を感じるか」

「いや、あれだぜ。俺は素手で戦うタイプだけど、ぶっちゃけ二刀流に憧れてきな感覚はある」

ほ~~~ぅ、解ってるじゃないか。
どうやらレグディスだけではなく、フィーマやヴェルデも同じ感覚を持ってるらしい。

「けどさ、あれクソむずいって聞くぜ」

「人によるところはあるけど、そうだろうな。ただ、利き手に普通のロングソード、もう片方の手にはショートソードとかなら、刃の長さが違うから考えて戦うって感覚が身に付くんじゃないかと思ってな」

「そいつは……いや、でも…………捨てがたくはある、のか?」

「う~~~ん、全く理解出来ない考えではないけど、不安は残るというか……」

まっ、そりゃ不安は残るだろうな。
どちらにしろ難易度が高い技術であることに変わりはない。

そんで……この未開拓地で試すには、生息しているモンスターが油断ならない個体ばかり。
真面目に家に帰るまでが冒険って思うぐらい、油断出来ない場所だ。

「ラガスさん、私はその二刀流を試そうとは思いませんが、仮に試すとしたら何が重要になってくるのでしょうか」

「……………………ちょっと待ってくれ」

二刀流は出来る、出来るは出来るんだが、誰かに教えてもらうことなく複数の魔弾を扱う感覚を活かして、後は訓練訓練訓練って繰り返してものにしたからなぁ……直ぐにパッと出てこないな。

「………………がっつり極めろって勧めてるわけじゃない。感覚を養ってほしい? って感じだから、剣速があれば……うん、とりあえず腕力が一番かな」

我ながらゴミみたいなアドバイスだけど、多分間違ってはいない……筈。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった

ミズノみすぎ
ファンタジー
「黒騎士ゼクード・フォルス。君を竜狩り精鋭部隊【ドラゴンキラー隊】の隊長に任命する」  15歳の春。  念願のS級騎士になった俺は、いきなり国王様からそんな命令を下された。 「隊長とか面倒くさいんですけど」  S級騎士はモテるって聞いたからなったけど、隊長とかそんな重いポジションは…… 「部下は美女揃いだぞ?」 「やらせていただきます!」  こうして俺は仕方なく隊長となった。  渡された部隊名簿を見ると隊員は俺を含めた女騎士3人の計4人構成となっていた。  女騎士二人は17歳。  もう一人の女騎士は19歳(俺の担任の先生)。   「あの……みんな年上なんですが」 「だが美人揃いだぞ?」 「がんばります!」  とは言ったものの。  俺のような若輩者の部下にされて、彼女たちに文句はないのだろうか?  と思っていた翌日の朝。  実家の玄関を部下となる女騎士が叩いてきた! ★のマークがついた話数にはイラストや4コマなどが後書きに記載されています。 ※2023年11月25日に書籍が発売!  イラストレーターはiltusa先生です! ※コミカライズも進行中!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央
ファンタジー
 糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。  一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。  だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。  そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。  この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。 2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

処理中です...