上 下
820 / 950

観戦に集中

しおりを挟む
「なぁなぁ、良いだろ! ラガスさん!!!!」

「ん? あぁ……まっ、良いぞ」

「ぃよっしゃッ!!!!!」

あのリザードマン、この前戦った刺青コボルトの中でも、遺跡の最奥にいた三人衆の一人、同じくムキムキ巨人の刺青コボルトよりは小さいが……筋肉がえげつない。

「ジャァアアアアアアアアッ!!!!」

「ッ!!! ハッハ!!!! 最高だぜこんちくしょう!!!!!!」

ん~~~……シュラがここまで良い笑みを浮かべてるという事は、多分あの巨人刺青コボルトよりもパワーは上、か?

「シャァァアアアア!!!!」

「うるさいっての」

「シャッ!!??」

今はシュラと、明らかにステロイドを打ってるであろうリザードマンの戦いを観ていたい。

なので振り下ろされたロングソード躱し、懐に入ってかなり力を込めて心臓を叩いた。

「っ!!!!???? シャ、ァ……」

「危ない危ない。思いっきり返り血を浴びるとこだった」

直ぐに一旦死体を回収し、再度シュラとステロイドリザードマンのバトル観戦に移る。

「随分と、あっさり終わらせましたね」

「そっちもな」

「そこまで経験を積んでいる様なタイプではなかったので、割とあっさり終わりました。ただ……向こうは中々終わりそうにありませんね」

「あぁいうモンスターは、シュラの大好物だからな。最低でも、後数分ぐらいは続くんじゃないか?」

因みに、セルシアの方も一人で二体のリザードマンを相手にしているんだが……多分、俺やメリルと違って、速攻で終わらせる気はないだろうな。

あんまり戦闘経験はないにしても、それでもCランクモンスターってのを考えれば、丁度良い実戦訓練相手か。

「ッシャオラッ!!!!!」

「っ!? ジャァァアアアアッ!!!!」

ん~~~、なんとも激しい打撃音だな。

ちゃんとあのゴリゴリにステロイドを打ってる体は本物で、防御力も並ではない。
鬼火を纏っていないとはいえ、もう何発もシュラの拳を食らってるのに、まだ普通に動いている。

「ラガスさん!!! こいつ最高っすよ!!!!!!」

「そうか。んじゃ、最後まで油断せず戦ってくれ」

「勿論っす!!!!!!!」

ステロイドリザードマンの攻撃も、全く当たってない訳ではない。
シュラは避けられない攻撃はしっかりとガードしてるが、それでも……もう数撃食らえば、骨にヒビはいくだろうな。

「……あのリザードマン、他のリザードマンと違ってかなりやりますね」

「そうだな。肉体的に他の個体よりも強いからってだけじゃなくて、野性の勘的な部分も他の個体より優れてる」

「ただ殴る、蹴るだけではなく……自由に戦っています」

「まるで人間の様に、っということか?」

「はい。柔軟性がある戦い方と言いましょうか。加えて、あのリザードマン…………成長速度が異常かと」

「…………みたいだな」

既にシュラがステロイドリザードマンと戦い始めてから、数分が経過していた。
残りの二体のリザードマンと戯れていたセルシアも戦いを終わらせていた。

多分……シュラの計算では、さすがにそろそろ終わらせに入っても良いと思っていた筈。
にもかかわらず、あのステロイドリザードマン……シュラとの戦いに順応し始めた。

「あの、リザードマン、凄い、ね」

「あぁ、そうだな……戦ってみたかったか?」

「うん。ちょっと、戦ってみたかった、かな。でも、あのリザードマンは、剣を、持ってない。だから、私が、望む戦いには、ならなかったと、思う……多分」

そうだな。
あのリザードマンはロングソードや大剣を持っていない。
もしやと思って狼竜眼で視てみたが、やっぱり名前はリザードマンのままだが、アビリティ欄に剣技がない代わりに体技があった。

おそらく、生まれながらのファイタータイプのリザードマンなんだろうな。
まだ名前がリザードマンのままっていうのを考えると、ここで遭遇したのは幸運だったな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません

みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。 未来を変えるために行動をする 1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない

猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。 まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。 ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。 財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。 なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。 ※このお話は、日常系のギャグです。 ※小説家になろう様にも掲載しています。 ※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。 異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

処理中です...