万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

文字の大きさ
上 下
811 / 988

そう考えるだけはある

しおりを挟む
「……来たみたいですね」

「だな…………エスエールさんが有望株って言うだけの力はありそうだな」

入り口から現れた虎人族のレグディス、鬼人族のフィーマ。
人族のヴェルデにエルフのファールナ、だったか?

面構えも良い感じ……かな?
ちょっと俺に対する怪しむ視線とかが零れてるけど、そうなる理由は解らなくもないから、今は一旦置いておこうかな。

「あんた達がラガスとその仲間、で合ってるか」

「そうですね。俺がこのパーティーのリーダー、ラガス。んで、こっちの鬼人族がシュラ。メイドがメリルで、こっちが俺のパートナーのセルシア。従魔のルーフェイスに関しては外で待ってもらってる」

こっちが一応四人、そちらも数は四人と同じだけど……負ける気一切なし! って雰囲気は全く崩れないな。

「ってな訳だから、早速模擬戦でもしましょうか」

「っ……初めてあって、いきなりか?」

「そっちの方が良いでしょ。レグディスさんたちもそれがお望みでしょうし」

「……ふっ。話は解る連中みてぇだな」

……俺らに対して嫉妬とか、見下ろそうとする視線を向けてくる心情は理解出来るけど、こう……こう、俺の方が上だけどな、みたいな言葉を堂々と発することが恥ずかしい、とは思わないのか?

いや、俺も覚えてないだけでちょいちょい使ってるか??

「それでは……誰からやります?」

「ラガスさん、まずは俺から一手も良いか?」

「それじゃ、こっちはまずシュラが戦るとして、そちらは?」

「あんたが出るなら、こっちはうちが出ようか」

同じ鬼人族のフィーマさんか。

確かに、フィーマさんからすれば一番負けたくない相手、なのかもな。

「では、最初の模擬戦はシュラとフィーマさんで行うとして、審判は……なくても良いですよね。判定はどちらかが負けを認めるか、もしくは気絶するか。これでいきましょう」

「おぅ、それで良いんじゃねぇの」

二人を残して俺たちはそこそこ離れる。

「女だからって、パワーじゃ負けないよ」

「俺も同じ鬼人族だ。弱ぇなんて思っちゃいない」

シュラの言う通り、俺も弱いとは思ってない。
身に付けている筋肉が、見せかけの筋肉じゃないのは視るだけで解る。

「んじゃ、適当に始めてくれ~~~」

審判がいないので、開始の合図もない。

後、真剣が駄目というルールもない。
終わった後にそこで云々かんぬん言われても面倒だからな。

「……あんた、武器を使わないタイプなのかい」

「いや、そういう訳ではない。ただ、体術でも戦えるってだけだ」

「ふ~~~~ん……乗ってやるよ」

あら、得物の大剣を離しちゃったな。

「シュラは…………横綱相撲、というのをやろうとしてるのでしょうか」

「? それなら同じ得物の大剣を使うと思うけどな。けど、単純に肉体の強さ、差を見せ付けようとしてるのであれば、確かに横綱相撲をしようとしてると言えるかもしれないな」

会話から察するのに、身体能力の差の中でも、パワーの差を見せ付けるつもりか?

「……っしゃあああああああ!!!!」

身体強化系のアビリティを使用した、気合の乗った良い拳だな。

「っ……ラガスさんに疑いの目を向けたくなる。それぐらいの強さは持ってるみたいだな」

「ぐっ!!!!」

「ぬぅあああああ!!!!!」

「なっ!!!???」

わぉ……放たれた右ストレートを片手で抑えて握って、そのまま上にぶん投げた。

「っ!! ……やるじゃないか」

「そういうのは模擬戦が終わってからで良い。さっきのが本気ではないだろ。惜しまず、全力で来い」

「余裕だね…………ぶっ潰す!!!!!!」

当たり前だけど、速攻で模擬戦だってこと忘れてるな。

シュラが速攻で挑発すれば、当然っちゃ当然なんだろうけど。

「……メリルは、全く心配してないみたいだな」

「パワーに関しては、私が絶対に敵わない分野です。相手も鬼人族の方であれば、その勝負から逃げることはないでしょう」

「つまり、シュラが負ける可能性は皆無だと」

「その通りです」

……やっぱ、メリルってなんだかんだでシュラの事認めてるよな……主人として、なんだかほっこりする。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。

下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。 豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。 小説家になろう様でも投稿しています。

異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央
ファンタジー
 糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。  一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。  だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。  そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。  この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。 2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

処理中です...