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知ったこっちゃないのだ

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「マジか……やべぇな」

カルパを拠点とする大手クラン、探求者のトップである虎人族のエスエールさんに有望な若手たちと一定期間の間、共に行動してくれないかと頼まれ……その後は適当に森の入って探索をした翌日、早朝のうちに例のリストが届いた。

そのリストにはBランクモンスターの素材や魔核ズラリと……そしてAランクモンスターの素材や魔核も並んでいる。

「……面倒な依頼だと思いましたが、これを見ると……やる価値ありと思えますね」

「そう、だよな」

リストに記されている素材や魔核が全て貰えるわけじゃない。
区切られてはいるが、それでもAランクモンスターの素材や魔核が最低でも四つは手に入る。

「これ、マジっすか」

「向こうに嘘を付くメリットがあると思うか?」

「それはまぁ、そうなんすけど……普通、ここまでするっすか?」

「ルーキーの軽い育成とかなら、金貨何十枚……白金貨でも渡されたら、十分な報酬って部類ではある、な……」

「そうっすよね。それを考えると…………確かに見た目通り豪快? で割と良い人っぽいっすけど、これあの人……エスエールさんが勝手に決めただけで、探求者の経営管理? とかしてる人の許可をちゃんと取ってるのかって心配に思って」

結構似た感じで豪快なタイプのシュラにしては鋭い意見だな。

とりあえず一セットの合計金額を適当ではあるけど、ざっと…………白金貨十枚ぐらいの価値はあるか?
今のところAランクモンスターの素材や魔核はハイ・ヴァンパイアの物しかないから、本当に有難いというか嬉しいんだけど……うん、ちょっと不安になってきた。

「心配いらないかと思いますよ」

「なんでだ?」

「この筆跡、マーク……どれもエスエールさん自ら記した物でしょう。これがエスエールさんの独断であり、クランの経営管理をしている方が知らなかったとしても、それこそこちらが知る訳ないというものでしょう」

「……確かに。うん、それもそうだな」

メリルの言う通りだな。

やっぱり駄目かも、難しいかもとか言われたら……怒れば大丈夫か?
向こうもセルシアの実家が公爵家だってのは解ってるだろうし……うっし、これ以上は気にしない。

「セルシア、何かこれが欲しいなって感じの素材とかあるか?」

「ん~~~~~……………………私は、紫電崩牙が、あるから、特に……ない、かな?」

おろ、そうか。
別に武器の素材としてだけじゃなく、マジックアイテムの素材として見ても良いと思うんだが……まっ、無理強いは出来ないな。

「オッケー。んじゃ、とりあえず今日は悩むか」

昨日は特に刺青コボルトの時みたいにそれなりに疲れたりしなかったら、今日も探索に向かって良いかもと思ったけど、どれを報酬にするかじっくり選ばせてもらおうじゃないか!!!

「属性ドラゴンの名前も記されてますね」

「だな……ん~~~、これはちょっと迷うな」

「保留ですか?」

「一旦な。物凄く個人的な感情だけど、こう……ドラゴンの素材とか、自分で倒して手に入れたいというか……解かる?」

「……二割ほどだけ解ります」

二割か…………少し解ってくれただけ良しとするか。

「だから、俺的には一旦保留」

「俺は解りますよ、ラガスさん!!!」

「おっ、マジかラスト。やっぱりドラゴンの素材は人伝に渡されるよりも、実際に倒して手に入れたいよな」

良かった良かった。
ちょっとガキっぽい感覚かなって思ったけど、歳上のラストが解ってくれるとホッとするな。

「…………では、こちらのセットなどはどうでしょうか?」

「っ…………こっちはあれだな。素材や魔核以外に、鉱石もあるんだな」

「リーダーはラガス坊ちゃまですからね。決定権はラガス坊ちゃまにあります」

「俺も特にこれが!!!! ってのはないっす。今後戦うモンスター選びとかならあれっすけど」

ラストは本当にラストらしいな。
それじゃ、遠慮なく私情で選ばせてらうか。

って思ってから、結局どれにするか決まったのは数時間後だった。
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