783 / 988
矛盾を保つ視線
しおりを挟む
「お疲れ様。どうだった、面白い敵はいたか?」
「いや、居なかったっすね。ボスの盗賊だけはちょっと強かったと思うんすけど……ギアが上がってきたタイミングだったんで、何も考えずに倒しちゃったっす」
「それで良いんですよ、シュラ。そもそもあなたが満足するような屑集団がいれば、こことを通る前に私たちの耳に入っている筈です」
確かに、メリルの言う通りそんな強者が盗賊団に居たら、俺たちの耳に入ってるだろうな。
それからも目的の街に着くまで数回ほど盗賊団に襲われたが、どの盗賊団にもシュラが満足出来るような相手はいなかった。
「……シュラ、なにぶーたれてるんだ?」
「いや、盗賊なんかやってるくせに、根性ない奴が多いなって思って」
「なるほど? ……でも、ある程度根性がある奴なら、盗賊団なんかで楽して生きようって考えずに、真面目に仕事をして働くんじゃないか」
「……確かに!!」
納得いってくれてなによりだ。
とはいえ、盗賊なら根性はなくても度胸はありそうだけどな。
「シュラ、あなたが期待してる様な盗賊団があれば、先に兵士や騎士、ハンターたちが動いてますよ。特に……この街の近くで活動していれば」
それなりに移動し続け、ようやく未開拓の場所が多い森の最寄り街、カルパに到着。
「はは、確かにそうだろうな」
現在街中に入るために列に並んでるが……ちらほらと並ではない同業者の姿が見える。
調べた感じ、ここには国外のハンターにも人気らしい。
まぁ……個人的には国外のハンターが良い具合に開拓出来たら、面倒なことが起きそうだけど……領主としても、国際問題に発展したくないから、下手に遮れないんだろうな。
「いやぁ~~~、超ワクワクしてきたっす」
「おいおいシュラ、森に入るわけじゃないんだぞ」
「勿論それは解ってるっすよ。でも、なんかこう……ワクワクしてこないっすか?」
……俺の場合はワクワクよりも、ドキドキの方が大きいかな。
「ラガス坊ちゃまは、あなたが他の同業者と問題を起こさないかドキドキしてるのですよ。悪い意味で」
メリルさ~~~ん。そんなにストレートに言わなくても良いですよ~~~~。
「いやいや、俺だけじゃなくてメリルだってキレるときはキレるだろ。てか、俺から喧嘩を売ることはねぇし……つか、そういう時って大抵メリルの方が濃密で鋭い怒気を放ってるぜ」
「何を言ってるのですか。確かに怒りはしますが、そんな視線だけ人を殺せるような眼は向けていませんよ」
濃密で鋭い、か……この四人の中だと、メリルの怒った視線が一番その矛盾を達成してそうだな。
「はいはい、そんな事で喧嘩するなって」
「ラガス坊ちゃま、別にシュラに遠慮する必要はないのですよ」
「別にそんなつもりはないし…………なんなら、俺はやり始めたらメリルの方が恐ろしいと思ってるぞ」
「っ!!!!!?????」
おいおい、なんでそんな驚き心外満載な顔してるんだよ。
もしかして、自分の一番得意な武器を忘れてるのか?
「そりゃないとは思ってるけど、完全にキレたら相手が人間であっても関係無しに毒を使うだろ」
「っ……そ、そんな事、ありませんよ」
「珍しくちょっと面白い顔になってるぞ」
毒を与えるだけじゃなくて、解毒も出来るのは知ってるけど……個人的に、ハンター同士のいざこざで毒を使ったら、結構アウトな気がするんだよな……別に父さんや母さんからそういう話を聞いたわけではないけども。
「まっ、そもそも腕の立つハンターやそのほかの戦闘者なら、ルーフェイスの強さに気付いて変な絡み方はしないだろ」
『どんな奴が来ても、僕が噛み千切って追い払うよ!!!!!』
……ルーフェイス、そのやる気は本当に嬉しいんだけども、噛み千切るのは止めてくれ。
追い払うどころか……大多数の人がその場で息絶えてしまうから。
「いや、居なかったっすね。ボスの盗賊だけはちょっと強かったと思うんすけど……ギアが上がってきたタイミングだったんで、何も考えずに倒しちゃったっす」
「それで良いんですよ、シュラ。そもそもあなたが満足するような屑集団がいれば、こことを通る前に私たちの耳に入っている筈です」
確かに、メリルの言う通りそんな強者が盗賊団に居たら、俺たちの耳に入ってるだろうな。
それからも目的の街に着くまで数回ほど盗賊団に襲われたが、どの盗賊団にもシュラが満足出来るような相手はいなかった。
「……シュラ、なにぶーたれてるんだ?」
「いや、盗賊なんかやってるくせに、根性ない奴が多いなって思って」
「なるほど? ……でも、ある程度根性がある奴なら、盗賊団なんかで楽して生きようって考えずに、真面目に仕事をして働くんじゃないか」
「……確かに!!」
納得いってくれてなによりだ。
とはいえ、盗賊なら根性はなくても度胸はありそうだけどな。
「シュラ、あなたが期待してる様な盗賊団があれば、先に兵士や騎士、ハンターたちが動いてますよ。特に……この街の近くで活動していれば」
それなりに移動し続け、ようやく未開拓の場所が多い森の最寄り街、カルパに到着。
「はは、確かにそうだろうな」
現在街中に入るために列に並んでるが……ちらほらと並ではない同業者の姿が見える。
調べた感じ、ここには国外のハンターにも人気らしい。
まぁ……個人的には国外のハンターが良い具合に開拓出来たら、面倒なことが起きそうだけど……領主としても、国際問題に発展したくないから、下手に遮れないんだろうな。
「いやぁ~~~、超ワクワクしてきたっす」
「おいおいシュラ、森に入るわけじゃないんだぞ」
「勿論それは解ってるっすよ。でも、なんかこう……ワクワクしてこないっすか?」
……俺の場合はワクワクよりも、ドキドキの方が大きいかな。
「ラガス坊ちゃまは、あなたが他の同業者と問題を起こさないかドキドキしてるのですよ。悪い意味で」
メリルさ~~~ん。そんなにストレートに言わなくても良いですよ~~~~。
「いやいや、俺だけじゃなくてメリルだってキレるときはキレるだろ。てか、俺から喧嘩を売ることはねぇし……つか、そういう時って大抵メリルの方が濃密で鋭い怒気を放ってるぜ」
「何を言ってるのですか。確かに怒りはしますが、そんな視線だけ人を殺せるような眼は向けていませんよ」
濃密で鋭い、か……この四人の中だと、メリルの怒った視線が一番その矛盾を達成してそうだな。
「はいはい、そんな事で喧嘩するなって」
「ラガス坊ちゃま、別にシュラに遠慮する必要はないのですよ」
「別にそんなつもりはないし…………なんなら、俺はやり始めたらメリルの方が恐ろしいと思ってるぞ」
「っ!!!!!?????」
おいおい、なんでそんな驚き心外満載な顔してるんだよ。
もしかして、自分の一番得意な武器を忘れてるのか?
「そりゃないとは思ってるけど、完全にキレたら相手が人間であっても関係無しに毒を使うだろ」
「っ……そ、そんな事、ありませんよ」
「珍しくちょっと面白い顔になってるぞ」
毒を与えるだけじゃなくて、解毒も出来るのは知ってるけど……個人的に、ハンター同士のいざこざで毒を使ったら、結構アウトな気がするんだよな……別に父さんや母さんからそういう話を聞いたわけではないけども。
「まっ、そもそも腕の立つハンターやそのほかの戦闘者なら、ルーフェイスの強さに気付いて変な絡み方はしないだろ」
『どんな奴が来ても、僕が噛み千切って追い払うよ!!!!!』
……ルーフェイス、そのやる気は本当に嬉しいんだけども、噛み千切るのは止めてくれ。
追い払うどころか……大多数の人がその場で息絶えてしまうから。
33
お気に入りに追加
3,499
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜
ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。
死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。


病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』
ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。
誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる