766 / 965
確実に仕留める為に
しおりを挟む
「……なんか、強くなるってムズいっすね」
「そりゃ簡単に強くなれたら苦労しないからな。試せるうちに試せってことだな」
前世は大人になる前に死んだからそこまで解らないけど、仕事以外の事をする元気……気力が殆ど湧かなくなるって言ってたような、言ってなかったような。
いや、俺も含めてこいつらは既に働いてる訳だから……嫌でも頑張らなきゃいけないって事だな。
「ラガスさんは、細かい訓練内容のあれこれとか感覚を頼りに動いた方が良いとか、そういうのを抜きにしたらどんな訓練を一番にやった方が良いと思ってますか」
「そりゃお前……魔力操作じゃないか? 魔法使いやヒーラーじゃなくても魔力は使うし、使いどころを見極めることが出来たら無駄な魔力を使わず戦えるだろ」
そうだな。どんな職業であっても、魔力操作の訓練だけは毎日行っておいた方が良いかもな。
なんて事を色々と話しながら呑んで食って……翌日にはまた訓練を始める。
若干二日酔いの連中も居たが、無理矢理元気を出してもらって訓練を行う。
「どうした、動きが雑になってきてるぞ。疲れてきてからが訓練だ」
「は、はい!!!!!」
うんうん、やっぱり気合というか根性は皆一級品だよな。
三人共そこは文句なしだ。
「ッ!! ま、参りました」
「昨日よりは良くなってる。ただ……そうだな。良い一撃を返せたと思ったとしても、油断せず追撃をぶち込んだ方が良い。俺が訓練相手だからじゃなく、モンスターの中には生命力がずば抜けてる奴もいる」
「か、確実に仕留めるように、ですね」
「そういう事だ。それじゃ、十分ぐらい休憩だ。それが終わったら、次の訓練に移る」
丸っきりルーキーって訳じゃないから、メリルやシュラの訓練を受けてるメンバーの中でも、対応力が頭一つ抜けてる奴はいるな。
「そういえば、ラガスさんってマジのドラゴンと戦ったことってありますか?」
「ん? マジのドラゴンっていうと……Bランクか、それ以上のドラゴンってことか」
「はい、そうです」
「えっと……………………あっ、一回だけあったな」
「ま、マジっすか!!!」
数年ぐらい前ですっかり忘れてたけど、あれも……うん、ドラゴンだよな。
「大体三年ぐらい前か? ちょっと……まぁ、貴族絡みと言うか、色々あって雪が良く降る地域に行ったんだよ。その時にスノードラゴンと戦ったな。一人で倒したわけじゃないけどな」
「つ、強かったすか!?」
「それなりに強かったよ。やっぱりドラゴンだなって迫力があった」
それなりって言うのはちょっと失礼かもしれないけど、一緒に戦た面子が面子だから仕方ないよな。
「でも、まだAランクのドラゴンとは戦ったことがないんですね」
「そりゃあ、一応この前まで学生だったからな。行動範囲には限界があったんだよ」
……おいおい、お前ら。
そういえばそうだったって顔しないでくれよ。
なんかちょっと傷付くじゃん。
「で、でも学生の時でもよく雪が降る地域に行けたんですよね」
「依頼が入ったからな。注文通りの魔靴を作るには、そっちに行かないと欲しい素材が手に入らなかったんだ」
「魔靴…………そ、そういえば……ラガスさんって、錬金術師の側面も、あったんですね」
「おぅ、そうだぞ。別に店を持ってるとかじゃないけどな」
けど、そうだな……ここ最近、休みの日は手に入れた素材で魔靴を造ったりしてばっかりだから、纏めて露店で売るのもありか?
「ッ……ぼ、僕でもしっかりお金を貯めたら、買わせてもらえますか!」
「全然良いぞ」
「え、えっと……本当に、良いんですか?」
「良いって言ってるだろ。別に貴族相手にしか売らないとか決めてないしな。一応出来上がったランクによって、それ相応の代金は貰うけど」
な、なんか……凄く感動してるな?
隠してきた訳じゃないけど、冒険者の中でも欲しい連中はそれなりにいるっぽいな。
なんて楽観視してたら、翌日から直ぐに客が来た。
「そりゃ簡単に強くなれたら苦労しないからな。試せるうちに試せってことだな」
前世は大人になる前に死んだからそこまで解らないけど、仕事以外の事をする元気……気力が殆ど湧かなくなるって言ってたような、言ってなかったような。
いや、俺も含めてこいつらは既に働いてる訳だから……嫌でも頑張らなきゃいけないって事だな。
「ラガスさんは、細かい訓練内容のあれこれとか感覚を頼りに動いた方が良いとか、そういうのを抜きにしたらどんな訓練を一番にやった方が良いと思ってますか」
「そりゃお前……魔力操作じゃないか? 魔法使いやヒーラーじゃなくても魔力は使うし、使いどころを見極めることが出来たら無駄な魔力を使わず戦えるだろ」
そうだな。どんな職業であっても、魔力操作の訓練だけは毎日行っておいた方が良いかもな。
なんて事を色々と話しながら呑んで食って……翌日にはまた訓練を始める。
若干二日酔いの連中も居たが、無理矢理元気を出してもらって訓練を行う。
「どうした、動きが雑になってきてるぞ。疲れてきてからが訓練だ」
「は、はい!!!!!」
うんうん、やっぱり気合というか根性は皆一級品だよな。
三人共そこは文句なしだ。
「ッ!! ま、参りました」
「昨日よりは良くなってる。ただ……そうだな。良い一撃を返せたと思ったとしても、油断せず追撃をぶち込んだ方が良い。俺が訓練相手だからじゃなく、モンスターの中には生命力がずば抜けてる奴もいる」
「か、確実に仕留めるように、ですね」
「そういう事だ。それじゃ、十分ぐらい休憩だ。それが終わったら、次の訓練に移る」
丸っきりルーキーって訳じゃないから、メリルやシュラの訓練を受けてるメンバーの中でも、対応力が頭一つ抜けてる奴はいるな。
「そういえば、ラガスさんってマジのドラゴンと戦ったことってありますか?」
「ん? マジのドラゴンっていうと……Bランクか、それ以上のドラゴンってことか」
「はい、そうです」
「えっと……………………あっ、一回だけあったな」
「ま、マジっすか!!!」
数年ぐらい前ですっかり忘れてたけど、あれも……うん、ドラゴンだよな。
「大体三年ぐらい前か? ちょっと……まぁ、貴族絡みと言うか、色々あって雪が良く降る地域に行ったんだよ。その時にスノードラゴンと戦ったな。一人で倒したわけじゃないけどな」
「つ、強かったすか!?」
「それなりに強かったよ。やっぱりドラゴンだなって迫力があった」
それなりって言うのはちょっと失礼かもしれないけど、一緒に戦た面子が面子だから仕方ないよな。
「でも、まだAランクのドラゴンとは戦ったことがないんですね」
「そりゃあ、一応この前まで学生だったからな。行動範囲には限界があったんだよ」
……おいおい、お前ら。
そういえばそうだったって顔しないでくれよ。
なんかちょっと傷付くじゃん。
「で、でも学生の時でもよく雪が降る地域に行けたんですよね」
「依頼が入ったからな。注文通りの魔靴を作るには、そっちに行かないと欲しい素材が手に入らなかったんだ」
「魔靴…………そ、そういえば……ラガスさんって、錬金術師の側面も、あったんですね」
「おぅ、そうだぞ。別に店を持ってるとかじゃないけどな」
けど、そうだな……ここ最近、休みの日は手に入れた素材で魔靴を造ったりしてばっかりだから、纏めて露店で売るのもありか?
「ッ……ぼ、僕でもしっかりお金を貯めたら、買わせてもらえますか!」
「全然良いぞ」
「え、えっと……本当に、良いんですか?」
「良いって言ってるだろ。別に貴族相手にしか売らないとか決めてないしな。一応出来上がったランクによって、それ相応の代金は貰うけど」
な、なんか……凄く感動してるな?
隠してきた訳じゃないけど、冒険者の中でも欲しい連中はそれなりにいるっぽいな。
なんて楽観視してたら、翌日から直ぐに客が来た。
34
お気に入りに追加
3,491
あなたにおすすめの小説
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる