万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

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憧れない?

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「どうだ。貴族なんだからそれぐらい当然の役目だろって思うかもしれないけど、国を跨いだりしたら結構面倒な問題に発展するだろ」

「そ、そうです、ね……というか、ラガスさん……そんなにその面倒な令息? をボコボコにしたんですか?」

「まぁ……そうだな。キッチリ再度面倒な気が起きないぐらいボコボコにした。でも、俺らが帰るって分かったタイミングで無理矢理屋敷から出ようとして、屋敷内で魔法をぶっ放してたな」

「…………そういう話を聞くと、やっぱり貴族ってヤバいなって思っちゃいますね」

はは、そうだろうな……実際は令息じゃなくて王子なんだけどな。
さすがに本当の事を全部言ったらな……面倒な刺客を差し向けられるのは嫌だからな。

「だろうな。俺としては、そもそもの教育から変えないとその溝はどうこう出来ないと思ってる。けどな、悪い奴ばっかじゃないんだぞ」

名誉回復ってわけじゃないけど、こういう奴がいるってのも知っておいてほしい。

「俺の学友に、とある令嬢に本気で惚れ込んでいた奴が居たんだ。子供の頃に一目惚れしたらしくて、そのまま一応婚約って形になったんだ」

「……ちょっと含みがある言い方ですね。もしかして、無理矢理ですか?」

ん~~~~~……そこそこ鋭い!!!!

絶対にそうじゃないとは言えないな。

「親の爵位に関しては、男の親の方が上だった。ただな、そいつは長男じゃなかったから、相手の親の立場がどうたらこうたらって深く考え、悩む必要がなかった。寧ろ、婚約を申し込まれた令嬢の親は飛び跳ねて喜んだだろうな」

「ラガスさんがそこまで褒める? ってことは、その令息は婚約者になった令嬢の事を大切にしてたんですね」

「話を聞く限り、そこら辺の恋人と変わりないぞ。まぁ、学園に入学するまではデートとか出来ず、近況を手紙で報告し合うことが多かったらしいけどな」

文通? で合ってるよな。
前世ならそんな事をしてる若者はもう殆どいないだろうけど、文通でしか味わえない青い春ってのもありそうだな。

「同じ学園に入学してからは、デートに誘って王都をメインに動いていたらしい……人によって楽しい、楽しくないの差はあるだろうけど、真っ当な付き合いをしてたと思うぞ」

「……そういう事もしてなかった感じですか?」

「あいつの想い、覚悟的に絶対にしてない……というか出来なかっただろうな」

年頃の男子で、そういう事をしたくない奴はいないだろ……っていうのはブーメランになるな。

何はともあれ、本気で好きだったからこそ……自分に心を動かしてからじゃないと、手を出せなかっただろうな。
親の権力が相手の親より上だからって理由で迫ろうものなら、完全にあいつの理想とかけ離れる。

「向こう側に元々想い人がいてな。それを俺のダチも知ってたからこそ、下手に手を出さなかったんだよ」

「……もしかして、その想い人というのは平民、ですか?」

「本当に鋭いな。女の勘ってやつ?」

「そんなところです」

「恐ろしいな……まっ、その想い人も想い人で、全くその令嬢の事を諦めてなかったんだ」

そこから決闘、そして結末までを実名を出さずに伝えると……三人の内の二名、男二人が急に涙を流し始めた。

「お、おい。大丈夫か?」

「いや、あれっす……これは、あれです。男泣きってやつっす」

「お、同じく。その……ラガスさんの学友の心境を、イメージすると……すいません」

「それは別に構わないけど」

やっぱり、男の方はあいつの気持ちに、行動に共感出来るみたいだな。

「……女性の私としても、なんだか……素直に婚約者になった令嬢の方に対して、良かったとは思えませんね」

「おろ、そうなのか? 女性は今回みたいなストーリーが好みだと思っていたけど」

「…………まだ大人の女性と言えるほど経験は積んでませんけど、なんか……腑に落ちないというか、やっぱりその令嬢側を素直におめでとうとは言えませんね」

ふむ。そんな風に感じる人もいるんだな。
っと、そろそろ訓練再開だな。
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