上 下
761 / 975

利用するぐらいの気持ちで

しおりを挟む
「後、そもそもな話な……別に俺がどういった出身のハンターなのかとか、どうやって強くなったのか……どうでも良くないか?」

「ラガス坊ちゃま、もっと詳しく言わなければ彼らは理解出来ないかと」

おいこらアホ、頼むからナチュラルに毒を吐くな。
それにこれからちゃんと説明するに決まってるだろ。

「解ってるっての。ちゃんと最後まで説明するわ。んで、何を言いたいかっていうとな、俺がどこの誰であろうが、お前らの今後のキャリアとかに支障が出るわけじゃないやろ」

「そ、それは……」

「そうだろ。冷静に、落ち着いて考えてみたら解るだろ。俺やセルシアにいくら咬みついたところで、実際のところ意味無いだろ。今日これだけコテンパンに倒されたんやから、一日や数週間、数か月経ったところで無理なのも解るやろ」

「っ!!!!」

「俺らの覚悟をバカにするなって気持ちは解るが、お前たちが頑張ってる間にも、俺たちだってダンジョン探索を……ダンジョン内での実戦訓練を頑張ってるだよ……なっ、俺が何を言いたいのか何となく解ってきただろ」

まだ荒い部分は多いけど、それでもこいつらが自分の身体能力やアビリティにかまかけて訓練をサボってるタイプじゃないのは解る。

とはいえ、環境のお陰もあって俺たちの方が真剣に歩いて……走り出すのが早かった。
それはどう頑張っても変えられない事実なんだよ。

「お前らが俺たちに対して負の感情を持つのは仕方ないかもしれないけどさ、強くなるっていう目標が第一なら、そういった感情に心を燃やして時間を使ったところで、無駄なだけだろ」

「先に言っておくが、ラガスさんはBランクのモンスターなら余裕で一人で倒してしまうんだ。貴族云々を抜きにしてな、そもそも張り合おうってのがバカな話なんだよ」

……多分、これは煽ってないんだろうな。
シュラなりの助言? なんだろう。

「シュラの話を信じるか信じないかはお前たちに任せる。ただな……本当に強くなりたいなら、そういう感情を無視してこの機会を上手く利用しろ。やっぱり貴族はどうたらこうたらっていう感情を爆発させるのは、実際に被害を受けた時に爆発させてくれ」

「「「「「「「…………」」」」」」」

うん、まぁそんな事出来るわけねぇだろって顔になるだろうな。

俺たちが貴族の令息だから反抗的な態度を取れてたんだろうけど……まっ、そういうところもおいおい教えるとして、とりあえず落ち着いたんだよな?

「っし、んじゃあ…………最後に聞こうか。今より強くなりたい奴はこの場に残れ。やっぱり貴族出身の連中の言う事なんて聞いてられるか!! って奴は帰って良いぞ。別に帰ったからって、ギルドの方にどうこう伝えることはない。自由に残るか帰るかの二択を選んでくれ」

色々と解るように説明したものの、やっぱり世の中貴族という存在が生理的に無理って人もいるだろうし、もしかしたら半分ぐらい残れば良い方かもな。

………………………………ふふ、それぐらいが覚悟が決まってるんだったら、最初から要らない手間を掛けさせないでくれよ。

「全員残る……ってことで良いんだな」

「言い訳になりますけど、ちょっと暴走してたところがありました。あなたの……ラガスさんの言う通り、あなた方は、特に俺たちに何かをした訳ではない」

「そう、そういう認識でいこう。俺だって自分に害をなす相手が現れたら、大手のクランや同じ貴族、ちょっと大きな声では言えないけど、王族でもふざけんなこの野郎って感じで敵対する。皆にもそれなりの過去があって相手の中身を見る余裕なんてないかもしれないが、できれば……今日みたいに暴走する前に一つ深呼吸して、頭を落ち着かせてみてくれ」

それじゃ、全員の頭が冷えたみたいだし、ようやく始めるとしようか。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

称号は神を土下座させた男。

春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」 「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」 「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」 これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。 主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。 ※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。 ※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。 ※無断転載は厳に禁じます

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。

朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。 婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。 だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。 リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。 「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

処理中です...