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どこまでいっても理解出来ない

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「……私の気のせいでなければ、セルシア様と戦うルーキーたちの眼が厳しいですね」

「そりゃ多分、公爵家のご令嬢だからじゃないか? 温室で育ってきた貴族のガキになんか負けてたまるか!!! みたいな?」

「貴族には貴族なりの苦労があるのですが……それを伝えたところで、だから何なんだと言い返されるのがオチでしょうね」

「はっはっは!!! そうなる光景が目に浮かぶな。まっ、そこに関してはそもそもの土俵が違うから、永遠に理解出来ない問題だろうな」

平民からすれば、そもそも貴族は偉そうで自分勝手な存在ってイメージが強い。

そうじゃない貴族が領主の街では違うのかもしれないが、どの街にも日々の生活で困ってる人はいるだろうから……貴族なんて結局無慈悲な存在と思われる可能性もありそうだ。

まぁ、貴族も全知全能の神ではないから、領地の隅々まで手が届くわけではないしな……うん、受け入れられない平民は同じ冒険者という職に就いていたとしても本気で受け入れられないだろうな。

「つっても、どれだけ貴族に対して憎い感情とかがあったとしても……現段階では気持ちの差で埋まることはないな」

全員の全力を引き出し終え、最後にささっと片付けて終了。

倒し方はやや違うものの、結果は一緒。
為す術もなく倒されたってところだな……とりあえず、これで面倒なプライドは折れてくれただろう。

「これで全員、俺たちに五対一という模擬戦で負けた訳だけど……まだ何か文句あったりしないよね? てか、文句はハンターギルドの方に言ってもらわないと困るんだけどさ」

「っ……」

ありゃ、まだ何か言いたげな顔をしてる奴が何人かいるな。

「もしかして、五対一で倒せなくても十対一なら倒せるとか変なこと考えてないよな? そういうのは将来堕落するような大人の考えだから、今すぐ捨てた方が良い」

「「「「っ!!!」」」」

適当に考えた内容ではあるけど、ぶっちゃけ間違ってないと思う。
てか、そういうのって堕落した大人の考えだけじゃなくて、虐めっ子の思考にも似てるよな。

そう考えると、尚更そういう考えが浮かぶようになってほしくないね。

「……お前らが、そんなに強いのは……親のお陰だろうが」

一人のルーキーが小さく……覇気はないものの、そんな反抗的な言葉を呟いた。

「ふ、ふふふ」

「だっはっは!!!!」

おい、そこ二人。
そんな大胆に笑うなっての。
笑いたくなる気持ちは解らんくもないけど。

「ラガス坊ちゃまを例にしてはなりませんが、ラガス坊ちゃまは旦那様と奥様に強くなれる最高の環境を用意されていた訳ではありません」

「いや、寧ろある意味で最高の環境ではあったんじゃねぇか? お二人ともラガスさんの無茶を止めなかったわけなんだしよ」

「……そうとも言えるかもしれませんね」

「「「「「「「「「「???」」」」」」」」」」

おいおい二人とも、お前たちだけでしか解らない話で盛り上がるんじゃない。

ルーキーたちがマジで訳解からず、キョトンとした表情を浮かべてるだろ。

「お前らなぁ~~、説明するならちゃんとこいつらに解るように説明しろよ」

「申し訳ありませんでした。確かに両親が優れた戦闘力を持っている場合、その子供も同じ様に成長する可能性は高いです。しかし、まず大前提としてラガス坊ちゃまのご両親はあなた達と同じ、元ハンター……平民です」

「「「「「「「っ!!!!????」」」」」」」

「興味がないのであれば、死合ないのも無理はありませんね。そして、ラガス坊ちゃまは幼い頃からモンスターと戦っています。勿論、旦那様と奥様はまだ早いのでは、それでもあの子なら……と、色々葛藤していたようです」

「が、ガキの頃からって……そ、それでも強い騎士とかが傍に居たんだろ!!!!」

「途中まではいましたが、ある程度成長したあたりからは私とシュラ、ルーフェイスも入れて四人で行動してました。というか、そうなってからも……そうなるまでも、ラガス坊ちゃまは自身の戦闘では私たちや護衛の兵士の力を借りたことなど全くありませんよ」

今思うと、結構心配かけてたよな……これからも心配かけてしまうだろうけど。
さて……あともう一押しいるみたいだな。
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