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どちらにしても困る
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「いよいよ今日っすね、ラガスさん!!!!」
「そうだな、シュラ……解ってるとは思うが、俺たちの仕事はルーキーたちを殴ることじゃないからな」
「勿論解ってるっすよ!!!!」
……物凄い、殴る気満々な顔で言われてもなぁ……正真正銘の馬鹿ではないんだし、ちゃんと加減はしてくれるか。
「ラガス坊ちゃま、やはり指導の一環として毒を使うのはよろしくないでしょうか。勿論、致死性のない毒です」
「……アホたれが。駄目に決まってるだろ」
何だかんだであれだよな、メリルの方がこういう時は考え方というか、やり方がぶっ飛んでるよな。
「ラガス、雷は、止めた方が、良い?」
「うん、そうだな。雷は止めとこう。普通にシュラと同じでセルシアも拳骨で十分だから」
セルシアも身体能力は高いから、拳骨が十分な武器ではあるんだよ。
世の中見た目じゃないってのは……多分ルーキーたちも解ってるとは思うけど、やっぱり先入観ってのはあるだろうから、もしセルシアの拳骨を食らう奴がいれば、その痛さに心底驚くだろうな。
「あっ、ラガスさん。セルシアさん、シュラさん、メリルさん。おはようございます。既にルーキーたちは集まっていますので、お部屋にご案内しますね」
「ありがとうございます」
ん~~~、五十層での……紅蓮の牙との一件が広まったのか?
なんとなくではあるが、ギルド内に居るハンターたちの視線に、侮りが要素が随分と減った気がするな。
「ところで、紅蓮の牙と全面戦争寸前まで発展したとお聞きしましたが、本当ですか?」
「へっ? いやいやいや、そんな事してませんよ。ただ、ちょっと面倒な絡まれ方をしたんで、ちゃんと自分たちはここまで自分たちの実力で来たんだぞ、って示しただけですよ」
おいおいおい……いったい誰がそんな嘘を言いふらしたんだ?
確かにちょこっと衝突はしたけど、その場で事は収まったんだ。
それに後日、紅蓮の牙のトップも含めて、きっちりと謝罪は受け取った。
というか……結果だけ見れば、こっちがよっとやり過ぎたまであるか?
「そうだったんですね。あそこのトップ層は、ちょっと古い考え方と言うか、実力はあるんですけどそれなりに実力があるルーキーからはちょっと煙たがられてましたからね……それでも、これまでの功績に惹かれて加入する者は多いですが」
「……という事は、今日から自分たちの指導を受けるルーキーたちも、今後紅蓮の牙に加入するかもしれないってことですね」
「紅蓮の牙の力が増すのは良い事ですが、そうなると他のクランから不満が……しかし他のクランが大きく成長すると……といった感じで、どちらにしろ自分たちギルド職員としては、悩ましい結果になりますね」
他のクランが紅蓮の牙並みに大きくなれば、ダンジョン内で紅蓮の牙と他のクランが争い合うかもしれないからか……やっぱり組織ってのは面倒だな。
「こちらの部屋に、ルーキーたちが待機しています」
「どうも……っし、変に緊張せずに入るか」
とは言いつつも、やっぱりちょっと緊張するな。
「こんにちは~~~っと」
事前に聞いてた通り、十人のルーキーたち……六人は人族ではないルーキーか。
「初めまして」
「う~~~~~っす」
「どう、も」
「ワフ~~~~」
「えぇ~~~、俺たちがこれからお前たちに戦闘のあれこれ、ダンジョン内でのあれこれを教えるティールと、俺の仲間たちだ」
……真っ当な自己紹介だと思うんだが、彼らの視線が基本的に冷たい。
まっ、見た感じ……二十を越えてる人はいなさそうだし、十八とかまでなら反抗期真っ只中でもおかしくないか。
「それじゃ、そっちの自己紹介がてら、俺たちと戦おうか。何人か、なんでてめぇらみたいなガキが指導係なんだよって目をしてるし、そういった感じの自己紹介の方が良いだろ」
おっ!!!! 急に顔が元気になったな。
んじゃ、外に出てちゃっちゃと始めようか。
「そうだな、シュラ……解ってるとは思うが、俺たちの仕事はルーキーたちを殴ることじゃないからな」
「勿論解ってるっすよ!!!!」
……物凄い、殴る気満々な顔で言われてもなぁ……正真正銘の馬鹿ではないんだし、ちゃんと加減はしてくれるか。
「ラガス坊ちゃま、やはり指導の一環として毒を使うのはよろしくないでしょうか。勿論、致死性のない毒です」
「……アホたれが。駄目に決まってるだろ」
何だかんだであれだよな、メリルの方がこういう時は考え方というか、やり方がぶっ飛んでるよな。
「ラガス、雷は、止めた方が、良い?」
「うん、そうだな。雷は止めとこう。普通にシュラと同じでセルシアも拳骨で十分だから」
セルシアも身体能力は高いから、拳骨が十分な武器ではあるんだよ。
世の中見た目じゃないってのは……多分ルーキーたちも解ってるとは思うけど、やっぱり先入観ってのはあるだろうから、もしセルシアの拳骨を食らう奴がいれば、その痛さに心底驚くだろうな。
「あっ、ラガスさん。セルシアさん、シュラさん、メリルさん。おはようございます。既にルーキーたちは集まっていますので、お部屋にご案内しますね」
「ありがとうございます」
ん~~~、五十層での……紅蓮の牙との一件が広まったのか?
なんとなくではあるが、ギルド内に居るハンターたちの視線に、侮りが要素が随分と減った気がするな。
「ところで、紅蓮の牙と全面戦争寸前まで発展したとお聞きしましたが、本当ですか?」
「へっ? いやいやいや、そんな事してませんよ。ただ、ちょっと面倒な絡まれ方をしたんで、ちゃんと自分たちはここまで自分たちの実力で来たんだぞ、って示しただけですよ」
おいおいおい……いったい誰がそんな嘘を言いふらしたんだ?
確かにちょこっと衝突はしたけど、その場で事は収まったんだ。
それに後日、紅蓮の牙のトップも含めて、きっちりと謝罪は受け取った。
というか……結果だけ見れば、こっちがよっとやり過ぎたまであるか?
「そうだったんですね。あそこのトップ層は、ちょっと古い考え方と言うか、実力はあるんですけどそれなりに実力があるルーキーからはちょっと煙たがられてましたからね……それでも、これまでの功績に惹かれて加入する者は多いですが」
「……という事は、今日から自分たちの指導を受けるルーキーたちも、今後紅蓮の牙に加入するかもしれないってことですね」
「紅蓮の牙の力が増すのは良い事ですが、そうなると他のクランから不満が……しかし他のクランが大きく成長すると……といった感じで、どちらにしろ自分たちギルド職員としては、悩ましい結果になりますね」
他のクランが紅蓮の牙並みに大きくなれば、ダンジョン内で紅蓮の牙と他のクランが争い合うかもしれないからか……やっぱり組織ってのは面倒だな。
「こちらの部屋に、ルーキーたちが待機しています」
「どうも……っし、変に緊張せずに入るか」
とは言いつつも、やっぱりちょっと緊張するな。
「こんにちは~~~っと」
事前に聞いてた通り、十人のルーキーたち……六人は人族ではないルーキーか。
「初めまして」
「う~~~~~っす」
「どう、も」
「ワフ~~~~」
「えぇ~~~、俺たちがこれからお前たちに戦闘のあれこれ、ダンジョン内でのあれこれを教えるティールと、俺の仲間たちだ」
……真っ当な自己紹介だと思うんだが、彼らの視線が基本的に冷たい。
まっ、見た感じ……二十を越えてる人はいなさそうだし、十八とかまでなら反抗期真っ只中でもおかしくないか。
「それじゃ、そっちの自己紹介がてら、俺たちと戦おうか。何人か、なんでてめぇらみたいなガキが指導係なんだよって目をしてるし、そういった感じの自己紹介の方が良いだろ」
おっ!!!! 急に顔が元気になったな。
んじゃ、外に出てちゃっちゃと始めようか。
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