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(やっぱり、レッサーヴァンパイアなんかより、楽しい!!!!)
従えられてたレッサーヴァンパイアを爪撃で瞬殺した後、ルーフェイスはヴァンパイアとの戦闘を楽しんでいた。
「チっ!!! 狼如きが……あまり調子に乗るなよ!!!!!」
ヴァンパイアは総じて細身であるものの、その細腕を見た目通りだと信じてしまうと……中々に痛い目に合う。
つまり、総合的な身体能力も高く、現在ルーフェイスと戦闘中のヴァンパイアに限ってはレイピアと氷魔法を使用する。
加えて、ヴァンパイアには対象に咬みつき、一定以上の血を吸う事で自身の眷属にすることが出来る。
その対象は形が近い人だけではなく、血を持つモンスターも同じ。
ただ……ルーフェイスと激闘を演じるヴァンパイアは既に氷を纏わせたレイピアによる刺突を……自身の最高の一撃を放ったにもかかわらず、容易に爪撃によって弾かれてしまった。
眷属化するには、まず対象に咬みつかなければな話にならない。
まだ毛皮の固さも分かっていないのに、その毛皮に攻撃を当てることすら出来ない。
ルーフェイスはシュラの様に無邪気であっても脳筋ではない為、わざわざ敵の攻撃をガードして己のタフネスを見せ付けてやる!!!! なんて事は考えず、避けられる攻撃は避けて弾ける攻撃は弾く。
(うんうん、超楽しい!!!!)
ルーフェイスにはヴァンパイアが放つ攻撃を即座に躱すか弾くかを決定できる判断速度と、確実に躱すか弾ける行動速度がある。
故に……ルーフェイスはめちゃくちゃ油断しながら楽しんでいた。
「ッ!!! 何も……何を笑っているのだ、この駄狼がぁあああアアアアアッ!!!!!!」
ルーフェイスは魔力こそ纏っているが、強化系のアビリティは一切使用していない。
明らかにヴァンパイアという強さと技術、残忍さまでもを兼ね備えたモンスターを相手に舐めプをしていた。
ヴァンパイアは生物としての特性故に、切り傷程度であれば十数秒……ものによっては数秒程度で回復してしまう。
その再生によって体力は削られるが、モンスターであるため、そこはあまり問題にはならない。
ただ……ルーフェイスから放たれるプレッシャーによってゴリゴリにメンタルが削られていく。
敵に向かって吠えるだけのメンタルがある?
それは己のプライドを保ち、守るための虚勢。
ダンジョンさんのヴァンパイアだからこそまだ引くことはないが……既に本能では目の前の巨狼に勝てないことを悟っていた。
(あっ、そういえばもうそろそろ時間かな。それじゃ、倒しちゃおっと!)
体内時計で約三分が経過。
これ以上はラガスたちを待たせることになると思い、加速。
「ッ!!!!」
「ワフ」
「ぎっ!!!!???? こ、の……駄狼、が……」
一度目の加速にはギリギリ反応することが出来たものの、二度目の加速には反応出来ず……急激に視界が揺れたことで、ヴァンパイアは自分の首が切断されたことに気付いた。
特性として再生を持っているヴァンパイアであっても、さすがに首を切断されては生き延びることは出来ない。
(えっと、この頭と体を……いや、レッサーヴァンパイアの死体も持って帰らないとだよね)
ルーフェイスは器用に自身が倒したモンスターの死体を軽く噛み、一瞬でティールの元へ持っていく。
「ぅおっ!? お帰り、ルーフェイ、ス……のあっ!?」
戻っては残りを取りに行ってまた戻り、再び死体をティールの元へ運ぶという作業を数回繰り返し、ルーフェイスの仕事は終った。
「レッサーヴァンパイアと、それを従えるヴァンパイアでしたか」
「はっはっは!!! 本当にこの戦場は退屈しねぇな」
「……うん、ヴァンパイアの脳は潰れてないな。お手柄だぜ、ルーフェイス!」
「ワフゥ~~~~~」
ここ数十年で、ヴァンパイアの脳を素材とすることで、眷属化された人間を元に戻す薬を高名な錬金術師が開発したため、特に需要が高い…………とは言い難いものの、墓場を有するオルト―では非常に高額な値段で取引されている。
従えられてたレッサーヴァンパイアを爪撃で瞬殺した後、ルーフェイスはヴァンパイアとの戦闘を楽しんでいた。
「チっ!!! 狼如きが……あまり調子に乗るなよ!!!!!」
ヴァンパイアは総じて細身であるものの、その細腕を見た目通りだと信じてしまうと……中々に痛い目に合う。
つまり、総合的な身体能力も高く、現在ルーフェイスと戦闘中のヴァンパイアに限ってはレイピアと氷魔法を使用する。
加えて、ヴァンパイアには対象に咬みつき、一定以上の血を吸う事で自身の眷属にすることが出来る。
その対象は形が近い人だけではなく、血を持つモンスターも同じ。
ただ……ルーフェイスと激闘を演じるヴァンパイアは既に氷を纏わせたレイピアによる刺突を……自身の最高の一撃を放ったにもかかわらず、容易に爪撃によって弾かれてしまった。
眷属化するには、まず対象に咬みつかなければな話にならない。
まだ毛皮の固さも分かっていないのに、その毛皮に攻撃を当てることすら出来ない。
ルーフェイスはシュラの様に無邪気であっても脳筋ではない為、わざわざ敵の攻撃をガードして己のタフネスを見せ付けてやる!!!! なんて事は考えず、避けられる攻撃は避けて弾ける攻撃は弾く。
(うんうん、超楽しい!!!!)
ルーフェイスにはヴァンパイアが放つ攻撃を即座に躱すか弾くかを決定できる判断速度と、確実に躱すか弾ける行動速度がある。
故に……ルーフェイスはめちゃくちゃ油断しながら楽しんでいた。
「ッ!!! 何も……何を笑っているのだ、この駄狼がぁあああアアアアアッ!!!!!!」
ルーフェイスは魔力こそ纏っているが、強化系のアビリティは一切使用していない。
明らかにヴァンパイアという強さと技術、残忍さまでもを兼ね備えたモンスターを相手に舐めプをしていた。
ヴァンパイアは生物としての特性故に、切り傷程度であれば十数秒……ものによっては数秒程度で回復してしまう。
その再生によって体力は削られるが、モンスターであるため、そこはあまり問題にはならない。
ただ……ルーフェイスから放たれるプレッシャーによってゴリゴリにメンタルが削られていく。
敵に向かって吠えるだけのメンタルがある?
それは己のプライドを保ち、守るための虚勢。
ダンジョンさんのヴァンパイアだからこそまだ引くことはないが……既に本能では目の前の巨狼に勝てないことを悟っていた。
(あっ、そういえばもうそろそろ時間かな。それじゃ、倒しちゃおっと!)
体内時計で約三分が経過。
これ以上はラガスたちを待たせることになると思い、加速。
「ッ!!!!」
「ワフ」
「ぎっ!!!!???? こ、の……駄狼、が……」
一度目の加速にはギリギリ反応することが出来たものの、二度目の加速には反応出来ず……急激に視界が揺れたことで、ヴァンパイアは自分の首が切断されたことに気付いた。
特性として再生を持っているヴァンパイアであっても、さすがに首を切断されては生き延びることは出来ない。
(えっと、この頭と体を……いや、レッサーヴァンパイアの死体も持って帰らないとだよね)
ルーフェイスは器用に自身が倒したモンスターの死体を軽く噛み、一瞬でティールの元へ持っていく。
「ぅおっ!? お帰り、ルーフェイ、ス……のあっ!?」
戻っては残りを取りに行ってまた戻り、再び死体をティールの元へ運ぶという作業を数回繰り返し、ルーフェイスの仕事は終った。
「レッサーヴァンパイアと、それを従えるヴァンパイアでしたか」
「はっはっは!!! 本当にこの戦場は退屈しねぇな」
「……うん、ヴァンパイアの脳は潰れてないな。お手柄だぜ、ルーフェイス!」
「ワフゥ~~~~~」
ここ数十年で、ヴァンパイアの脳を素材とすることで、眷属化された人間を元に戻す薬を高名な錬金術師が開発したため、特に需要が高い…………とは言い難いものの、墓場を有するオルト―では非常に高額な値段で取引されている。
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