万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

文字の大きさ
上 下
746 / 989

既に崩れている

しおりを挟む
(やっぱり、レッサーヴァンパイアなんかより、楽しい!!!!)

従えられてたレッサーヴァンパイアを爪撃で瞬殺した後、ルーフェイスはヴァンパイアとの戦闘を楽しんでいた。

「チっ!!! 狼如きが……あまり調子に乗るなよ!!!!!」

ヴァンパイアは総じて細身であるものの、その細腕を見た目通りだと信じてしまうと……中々に痛い目に合う。

つまり、総合的な身体能力も高く、現在ルーフェイスと戦闘中のヴァンパイアに限ってはレイピアと氷魔法を使用する。
加えて、ヴァンパイアには対象に咬みつき、一定以上の血を吸う事で自身の眷属にすることが出来る。
その対象は形が近い人だけではなく、血を持つモンスターも同じ。

ただ……ルーフェイスと激闘を演じるヴァンパイアは既に氷を纏わせたレイピアによる刺突を……自身の最高の一撃を放ったにもかかわらず、容易に爪撃によって弾かれてしまった。

眷属化するには、まず対象に咬みつかなければな話にならない。
まだ毛皮の固さも分かっていないのに、その毛皮に攻撃を当てることすら出来ない。

ルーフェイスはシュラの様に無邪気であっても脳筋ではない為、わざわざ敵の攻撃をガードして己のタフネスを見せ付けてやる!!!! なんて事は考えず、避けられる攻撃は避けて弾ける攻撃は弾く。

(うんうん、超楽しい!!!!)

ルーフェイスにはヴァンパイアが放つ攻撃を即座に躱すか弾くかを決定できる判断速度と、確実に躱すか弾ける行動速度がある。

故に……ルーフェイスはめちゃくちゃ油断しながら楽しんでいた。

「ッ!!! 何も……何を笑っているのだ、この駄狼がぁあああアアアアアッ!!!!!!」

ルーフェイスは魔力こそ纏っているが、強化系のアビリティは一切使用していない。

明らかにヴァンパイアという強さと技術、残忍さまでもを兼ね備えたモンスターを相手に舐めプをしていた。

ヴァンパイアは生物としての特性故に、切り傷程度であれば十数秒……ものによっては数秒程度で回復してしまう。
その再生によって体力は削られるが、モンスターであるため、そこはあまり問題にはならない。

ただ……ルーフェイスから放たれるプレッシャーによってゴリゴリにメンタルが削られていく。
敵に向かって吠えるだけのメンタルがある?
それは己のプライドを保ち、守るための虚勢。
ダンジョンさんのヴァンパイアだからこそまだ引くことはないが……既に本能では目の前の巨狼に勝てないことを悟っていた。

(あっ、そういえばもうそろそろ時間かな。それじゃ、倒しちゃおっと!)

体内時計で約三分が経過。

これ以上はラガスたちを待たせることになると思い、加速。

「ッ!!!!」

「ワフ」

「ぎっ!!!!???? こ、の……駄狼、が……」

一度目の加速にはギリギリ反応することが出来たものの、二度目の加速には反応出来ず……急激に視界が揺れたことで、ヴァンパイアは自分の首が切断されたことに気付いた。

特性として再生を持っているヴァンパイアであっても、さすがに首を切断されては生き延びることは出来ない。

(えっと、この頭と体を……いや、レッサーヴァンパイアの死体も持って帰らないとだよね)

ルーフェイスは器用に自身が倒したモンスターの死体を軽く噛み、一瞬でティールの元へ持っていく。

「ぅおっ!? お帰り、ルーフェイ、ス……のあっ!?」

戻っては残りを取りに行ってまた戻り、再び死体をティールの元へ運ぶという作業を数回繰り返し、ルーフェイスの仕事は終った。

「レッサーヴァンパイアと、それを従えるヴァンパイアでしたか」

「はっはっは!!! 本当にこの戦場は退屈しねぇな」

「……うん、ヴァンパイアの脳は潰れてないな。お手柄だぜ、ルーフェイス!」

「ワフゥ~~~~~」

ここ数十年で、ヴァンパイアの脳を素材とすることで、眷属化された人間を元に戻す薬を高名な錬金術師が開発したため、特に需要が高い…………とは言い難いものの、墓場を有するオルト―では非常に高額な値段で取引されている。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません 

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。 まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。 だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥ たまにやりたくなる短編。 ちょっと連載作品 「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

私のお父様とパパ様

ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。 婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。 大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。 ※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。 追記(2021/10/7) お茶会の後を追加します。 更に追記(2022/3/9) 連載として再開します。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...