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負けない濃さ

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「っし、行くぞ」

自ら転移トラップを踏んでからは特に大きなイベントなどはなく、この前みたいに屑バカが迷惑を押し付けてくることもなく、順調にボス部屋の前に到着出来た。

まぁ、例に漏れずボス部屋の前に並んでる同業者たちには色んな視線を向けられたけどな。

でもやっぱりここまで潜れるだけの力があるからか……とりあえずルーフェイスにはビビってくれた。
従魔が問題を起こせば、それは主人の問題へと発展するのは当然だけど、正当防衛が成立することは良くある。

向こうが下手に絡んできて、ルーフェイスが威嚇したところで、こっちがとやかく言われることはない。
それを同業者たちもしっかり理解してくれていたようで、特に問題は起こらずに休めた。

「ん~~~~……あれだな。転移トラップで飛ばされた部屋でバカ多い数のモンスターと戦ったからか、かなりしょぼく見えるな」

「油断するのは良くありませんが、正直なところ同感ですね」

目の前にはリビングデットジェネラルと、リビングデットナイトとランサーがが五体。
アーチャーが三体と、リッチが二体。

構成としては……パーフェクトなんだろうな。

「オオオォオオオオオオオッ!!!」

ジェネラルのアビリティだろうな。
部下たちの士気が上がって闇の魔力を纏って強化…………あのジェネラル、普通のジェネラルと比べて総魔力量が多そうだな。

「まっ、とりあえず陣形はいつもと同じで、好きな様に戦おう」

「「「了解」」」

「ワゥ!」

ルーフェイスは先日のお一人バトルで非常に満足してくれてるからか、俺やメリルと同じく、後方での支援に徹してくれるようだな。

「意外と強いじゃねぇか」

「悪く、ない」

……どうやら総魔力だけじゃなく、部下の同系統のモンスターを強化するアビリティのレベルも、他のジェネラルと比べて優れてるみたいだな。

あの二人がその気になれば数で向こうが勝ってても、一撃が数撃で倒せる。

「……ラガス坊ちゃま、二人を援護しますか?」

「いや、まだ早いだろ。これは訓練だろ……心配性な部分が出てるぞ、メリル」

「そうですね。うっかり忘れていました」

今のところ、俺たちはアーチャーメイジとの遠距離攻撃合戦を行ってる。

リッチの攻撃魔法とか、回転させてる魔弾じゃないと、がっつり相殺するのはむずいかもな……でも、これでこそ良い特訓相手って感じがするな。

「ラガス坊ちゃま、顔が緩んでますよ」

「だってさ……本当に丁度良い訓練相手に思えてさ」

「予想していたよりも訓点に適した相手だということは認めます」

メリルも同じ感想だったか。

ぶっちゃけ、転移トラップ先で戦ったような超多数との激闘と同じぐらい濃い戦いは出来ないんじゃないかって思ってたからな~~~。

でも、こりゃ本当にあの戦いと負けないぐらい濃い戦いになりそうだな。

「っ……通常のジェネラルよりも魔力量が多く、眷属召喚のアビリティまで持っているなんて……中々に最悪な敵ですね」

「だな。事前に情報を得ていなかったら、ジェネラルとの間に大きな壁……もしくは山? を感じるだろうな」

つっても、俺はあんまり二人のこと心配してない。

「それで、メリルさん……そろそろ二人の援護でもしますか?」

「……いつもの仕返しですか」

「自由に受け取ってくれ」

「はぁ~~~~。正直、今二人の顔は見えませんが、百パーセント……二人が笑っている様に見えます」

「はっはっは!!! 俺も同じ意見だ」

普段の二人も十分頼もしいんだけど、今の二人の背中は……更に頼もしく見える。

まっ、二人からすれば頑丈でそれなりの攻撃力が高いおもちゃが増えたって感覚か?
アンデットだから……部類的には一度死んでる? そんな存在だから感情は無いと思うけど、仮にあるなら……そろそろ言葉で言い表せない不気味さを感じ始めるところか?
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