万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

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おかしくは……ない?

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「スケルトンナイトとアーチャーが二体ずつで、メイジが一体か……妥当と言えば妥当なんだろうな」

解っていた。
事前にダンジョンの情報を得ていたから、そこまで期待するような相手じゃないってのは解っていた。

でも……こいつらも光弾だけで終わりそうだな。

「ラガス、私も運動、しても良い?」

「ん? あぁ、勿論良いぞ」

「ありが、とう」

……この感じ、別に戦る気が溢れてるって感じじゃないな。
本当に軽く体を動かしたいだけなんだろうな……三十秒ってところか?

「何秒で終わると思う?」

「十秒ぐらいじゃないっすか? ほら、もう残ったのメイジだけっすよ」

複数のファイヤーボールを放つメイジを相手に、一切臆すことなく歩を進める。

あっ、最初に放ったファイヤーボールはブラフで、最後のファイヤーランスが本命か。
基本的にそういう考え方は出来るんだな……もしかして、過去にこのダンジョンで死んだ冒険者の遺体が元なのか?

「本当に十秒ほどで終わってしまいましたね」

「そりゃセルシア様が遊ぶような相手じゃないだろ」

それはそうだな。シュラの言う通りだ……んで、本当にところどうなんだろうな。
ギルドから貰った情報にはなかった。

「何をそんな難しい顔をしてるのですか?」

「ちょっと考えことだ」

魔核と宝箱を回収し、地上に戻った後も考え続ける。

「何か、重大なことに気付いたりしたのですか?」

「重大って言うか……ニ十層のボスとして現れたスケルトンの上位種たち、他の個体よりも戦い方が上手いと思ってな」

「…………そうでしたか?」

あっという間に終わってしまったから、そう思ってもおかしくない。

そんなに注意して観てなかったら尚更だ。

「個人的な感覚かもしれないな。でも、俺はそう思った。んでな……ボス部屋のスケルトン上位種は、元冒険者だったんじゃないかと思ったんだ」

「……そういえば、ボス部屋の奴らは全部身長がバラバラだったっすね」

「そうだろ。ボス部屋の中に入るまでに遭遇した個体は、基本的に全部同じだった……多分な」

「おかしいですね。それが本当なら、ギルドから得た情報にはありませんでしたよ」

そうなんだよ。
そこがおかしいって言うか、これに関しては探索してる冒険者の多くが気付いてると思うんだよな。

この情報を冒険者がギルドに伝えない筈はない。
でも……実際に、ギルドから買った情報にはなかった。

「……わざと、なんじゃない、かな」

「? セルシア、わざとってのはどういう事だ?」

「普通の、人たちは、多分……戸惑って、鈍る」

「…………そういう事か。うん、確かにそうだな……常識的に考えれば俺らの方がちょっとおかしいんだ」

そりゃそうか。
それを最初から知ってたら、自分たちにとってそんな事関係無いって解ってても、本能が震えて振るう刃が鈍ってもおかしくない。

「ラガス坊ちゃま、その言葉は少々いかがなものかと思うのですか」

「メリル、お前は今頭の中に、これから遭遇するスケルトン、もしくはグールなどのアンデットが元冒険者かもしれないという考えがある。その状態で……次今日と同じくスケルトンやグールに遭遇したら、どうする」

「どうすると言われましても……今まで通り、無駄な時間を使わない様にササっと倒します。シュラも同じでしょう?」

「基本的にはそうだな。Cランク以上に面白そうなモンスターな時間をかけて楽しむかもしれねぇけど」

……こういう世界の出身だからこそ、別にこの二人やセルシアはおかしくない、のか?

「例えば、このダンジョンに何年も潜っている冒険者なら、知り合いがダンジョン内で死んでてもおかしくないだろ」

「あぁ、なるほど。つまり、そういう場合の冒険者でなくとも、罪もない人を殺すかもしれない……そう考えてしまう人が出てしまう可能性があるという事ですね」

「最初からそれを知ってるのと、後からそれを知って乗り越えるのとでは、色々と事情が変わってくるだろ」

良かった良かった、やっぱメリルはそういう感覚の違いに気付いてくれるよな。
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