万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

文字の大きさ
上 下
718 / 981

ちゃんと言っただろ

しおりを挟む
「正直、無茶苦茶物足りなかったすね」

十階層のボスを倒し終えた後、俺たちは一旦地上に戻り、夕食を食べていた。

あんな場所で飯を食べてたからか、特に高くもない酒場の料理が何故か上手く感じるな。

「シュラ、私たちが探索していたのは一階層から十階層ですよ。あたなが満足出来るようなモンスターが現れるわけないでしょう」

「つってもよ……いくらなんでも歯応えなさ過ぎじゃなかったか?」

「メリルの言う通りだぞ、シュラ。一階層から十階層の間でお前が満足出来るようなモンスターが出現してら、他のハンターたちがおちおち探索してられないだろ」

「あぁ~~~…………それもそうっすね」

一階層から十階層の間にBランクモンスターなんて出現してたら、マジでルーキーたちは入れなくなるだろ。

そりゃ死ぬことにビビってたらハンターなんてやってられないだろうけどさ。

「やっぱ、三十階層ぐらいまで降りないとつまらないままっすか?」

「シュラ……一応、私たちはダンジョン探索を行っているんですよ。警戒しなければならない存在はモンスターだけではなく、トラップなどもあります」

「そういえばそうだったな。でも、モンスターに限ればラガスさんだけでなんとかなるんだろ?」

「三十層までどうなるかは知らないけど、少なくとも十階層まではどうにかなったな」

正直なところ、今のところ戦う価値を見出せないって考えには賛同だ。

けど、一回の探索で五日もかけずに十階層まで降りれたことを考えれば、退屈しない階層に到着するのもそう遠くない。

「おい、随分と嘗めた会話してんな」

……あちゃ~~、ちょっと大きい声で話し過ぎたか。

「おいメリル、そんな睨むなよ。ただ思ったことを話してただけだろ」

「どちらにせよ、その会話が原因で面倒な方々が絡んで来たんですよ」

メリルさ~~ん? 怒ってるからか、失言に気付いてない感じですか。

「ッ!!!! そのクソガキだけじゃなくて、全員ダンジョンを嘗め腐ってるみてぇだな」

……ダメだ。
これに関しては「いやいや、全くそんなことありませんよ。初めてのダンジョン探索だったんで、超緊張しましたよ」なんて今更言えない。

けど……丁度良いケースになるか?

「お兄さん、今からあなたの首に刃を突き立てるんで、しっかり対応してくださいね」

「あぁん? てめぇ、何言ってんっ!!??」

「言葉通りですよ。あたなの首に刃を突き立てるって言ったんですよ」

同じ言葉を繰り返し伝えながら、口にした言葉通り……鋼鉄の剛剣を抜剣して首に刃を突き立てた。

「て、てめぇ!! いきなり何しやがんだ!!!!」

絡んで来た大男の仲間が叫ぶが、知った事ではない。
俺は先にこれからお前の首に刃を突き立てるって伝えた。

「いや、俺ちゃんと言ったじゃないですか。これからあなたの首に刃を突き立てるって……ちゃんと口で伝えたのに、なんでそんな怒ってるんですか?」

「ラガスさんの言う通りだな。わざわざ言う必要もないのに、丁寧にこれから威嚇しますよって伝えたってのに、全く反応出来てねぇな……ベテラン気取りのルーキーか?」

「シュラ、私たちと同じとはいえ、あまりルーキーを虐めてはいけませんよ。強さは全く同じではないのですから、弱い者虐めになってしまいます」

「おっと、確かにそれはそうだな。強い奴と戦うのは好きだが、別に弱い者虐めをしたい訳じゃねぇ」

二人とも本当に俺の意図を理解してくれるのが早いな。

「全く、反応出来ない、なんて……今、まで、良く生きて、これた、ね」

「「「「ッ!!!!」」」」

おっと、これはこれは……ついにセルシアさんも煽りを覚えた。
いや……これは覚えてしまったと言うべきか?

「セルシアの言う通りだ。これがダンジョンだったら自分がどう殺されたかも分からずに即死だ。おっと、ここはダンジョンじゃないなんてつまらない戯言は吐かないで下さいよ、先輩。俺の動きに全く反応出来なかった時点で、もう吠えるだけ無駄だって解りますよね」

これで退かなかったら……首は切らないけど、腕が指一本斬り捨てるか?
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜

言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。 しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。 それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。 「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」 破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。 気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。 「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。 「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」 学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス! "悪役令嬢"、ここに爆誕!

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します

けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」  五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。  他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。 だが、彼らは知らなかった――。 ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。 そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。 「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」 逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。 「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」 ブチギレるお兄様。 貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!? 「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!? 果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか? 「私の未来は、私が決めます!」 皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...