701 / 989
とにかく痛い
しおりを挟む
SIDE ラガス
脚力強化の付与弾だけではなく、二年ぐらい前の一件で貴族から貰った伸縮自在の脚力強化が付与された腕輪をルーフェイスに装備。
なるべく人にぶつからない様に、超全力で走ってもらってるんだが…………本気で速過ぎる。
ルーフェイスがとんでもないってのは十分に解ってた……いや、解ってたつもりになってただけ、かな。
狼竜の凄さを改めて感じることが出来た。
「ルーフェイス、お前凄過ぎるぜ」
『えへへ~、そんなことないよ~~~』
嬉しいのが丸分かりだぜ、相棒。
「すいません」
本当に十五分と掛からずに……もしかしたら十分かからずに王都へ到着。
要件が要件なので、列に並ばず戦闘に向かい、門兵に声をかける。
「おや、ラガス・リザードさんじゃないか」
「どうも。実は、緊急で王城に用事があるんです」
「ッ!? ……ハンターギルドではなく、王城に、かい?」
「はい、王城に要件があります」
「……分かった。通ってくれ」
「ありがとうございます!!!」
物分かりで良い門兵で助かる。
一応特別扱いであるため、周囲の人には見えない様に、こっそりとポケットに金貨を入れた。
中に入ってからは、当然ルーフェイスに跨って駆けるのはアウトであるため、超早歩きでぶつからない様に通行人を避け、王城まで一直線。
「ッ!? ラガス君じゃないか。どうしたんだ?」
「すいません、緊急です。それなりに権力がある騎士を数人、現場に連れて行きたいんです」
「ッ…………わ、解った。少し待ってくれ」
俺の必死な表情から事の重さを解ってくれたらしく、本当にたった数分で見覚えがある、騎士団内でそれなりに権力を持っている騎士が数人来てくれた。
「現場に向かう途中で説明します」
ルーフェイスが本来の姿になれば、俺以外に三人ぐらい背中に乗っても全く支障はない。
「率直に言いますと、キメラを制作できる売国奴の研究者がいます」
「な、なにッ!!!!! そ、それは本当なのか!!??」
「本当です。資料の証拠や、本人に尋問を行って吐かせました」
「そ、そうか」
絶対に少々ドン引いた顔をしてるだろうけど、この際そういうのは気にしてられない。
「自分たちが討伐したキメラは、Bランクモンスター並みの力を有しています。あれをコンスタントに造れるようになれば……非常に不味い事態に発展する可能性があります」
「むっ……君にそこまで言わせるか」
「はい。自分たちは直ぐにそのモンスターを倒せたわけではなく、並み以上のハンターが複数殺されています」
移動中に話せることは全て話し終わり、現場に到着。
「おかえりなさい、ラガス坊ちゃま」
「おぅ、ただいま」
「ラガス君、この白衣を着ている男が、売国奴か」
「えぇ、その通りです」
まだ麻痺弾の効果は効いてるみたいだな。
「こちらが書類になります」
「ありがとう、メリル君………………よくもまぁ、禁忌の術をここまで熱心に調べられるものだ」
「それに関しては、人として終わっている。そう済ませて、後はこちらの国とどう接していくかを考えるしかないかと」
「…………そうだな、ラガス君の言う通りではある。俺たちがそこまで頭を悩ます必要はないが……それでも、頭痛が止まらないよ」
気持ちは解る。
実際にやり取りをした記録はある。
記録は口ではなく、書類としてのやり取りが残っている。
とはいえ、このマッドサイエンティストと国が繋がってるのか、それとも一部の組織だけが繋がってるのか……そこまでは明確に探れないのが現状。
仮にこの一件で国に詰め寄ったとしても、おそらく自分たちの悪い部分を認めるつもりはなく、白を切るだろう。
それでもガルガント王国側が追求すれば……それこそ「それじゃ戦争でもするか? あぁああん?」て話に発展してしまう。
正直、この人たちと同じく頭を悩ます必要がない俺でも、頭が痛くなる一件だ。
脚力強化の付与弾だけではなく、二年ぐらい前の一件で貴族から貰った伸縮自在の脚力強化が付与された腕輪をルーフェイスに装備。
なるべく人にぶつからない様に、超全力で走ってもらってるんだが…………本気で速過ぎる。
ルーフェイスがとんでもないってのは十分に解ってた……いや、解ってたつもりになってただけ、かな。
狼竜の凄さを改めて感じることが出来た。
「ルーフェイス、お前凄過ぎるぜ」
『えへへ~、そんなことないよ~~~』
嬉しいのが丸分かりだぜ、相棒。
「すいません」
本当に十五分と掛からずに……もしかしたら十分かからずに王都へ到着。
要件が要件なので、列に並ばず戦闘に向かい、門兵に声をかける。
「おや、ラガス・リザードさんじゃないか」
「どうも。実は、緊急で王城に用事があるんです」
「ッ!? ……ハンターギルドではなく、王城に、かい?」
「はい、王城に要件があります」
「……分かった。通ってくれ」
「ありがとうございます!!!」
物分かりで良い門兵で助かる。
一応特別扱いであるため、周囲の人には見えない様に、こっそりとポケットに金貨を入れた。
中に入ってからは、当然ルーフェイスに跨って駆けるのはアウトであるため、超早歩きでぶつからない様に通行人を避け、王城まで一直線。
「ッ!? ラガス君じゃないか。どうしたんだ?」
「すいません、緊急です。それなりに権力がある騎士を数人、現場に連れて行きたいんです」
「ッ…………わ、解った。少し待ってくれ」
俺の必死な表情から事の重さを解ってくれたらしく、本当にたった数分で見覚えがある、騎士団内でそれなりに権力を持っている騎士が数人来てくれた。
「現場に向かう途中で説明します」
ルーフェイスが本来の姿になれば、俺以外に三人ぐらい背中に乗っても全く支障はない。
「率直に言いますと、キメラを制作できる売国奴の研究者がいます」
「な、なにッ!!!!! そ、それは本当なのか!!??」
「本当です。資料の証拠や、本人に尋問を行って吐かせました」
「そ、そうか」
絶対に少々ドン引いた顔をしてるだろうけど、この際そういうのは気にしてられない。
「自分たちが討伐したキメラは、Bランクモンスター並みの力を有しています。あれをコンスタントに造れるようになれば……非常に不味い事態に発展する可能性があります」
「むっ……君にそこまで言わせるか」
「はい。自分たちは直ぐにそのモンスターを倒せたわけではなく、並み以上のハンターが複数殺されています」
移動中に話せることは全て話し終わり、現場に到着。
「おかえりなさい、ラガス坊ちゃま」
「おぅ、ただいま」
「ラガス君、この白衣を着ている男が、売国奴か」
「えぇ、その通りです」
まだ麻痺弾の効果は効いてるみたいだな。
「こちらが書類になります」
「ありがとう、メリル君………………よくもまぁ、禁忌の術をここまで熱心に調べられるものだ」
「それに関しては、人として終わっている。そう済ませて、後はこちらの国とどう接していくかを考えるしかないかと」
「…………そうだな、ラガス君の言う通りではある。俺たちがそこまで頭を悩ます必要はないが……それでも、頭痛が止まらないよ」
気持ちは解る。
実際にやり取りをした記録はある。
記録は口ではなく、書類としてのやり取りが残っている。
とはいえ、このマッドサイエンティストと国が繋がってるのか、それとも一部の組織だけが繋がってるのか……そこまでは明確に探れないのが現状。
仮にこの一件で国に詰め寄ったとしても、おそらく自分たちの悪い部分を認めるつもりはなく、白を切るだろう。
それでもガルガント王国側が追求すれば……それこそ「それじゃ戦争でもするか? あぁああん?」て話に発展してしまう。
正直、この人たちと同じく頭を悩ます必要がない俺でも、頭が痛くなる一件だ。
35
お気に入りに追加
3,501
あなたにおすすめの小説
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。
まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。
だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥
たまにやりたくなる短編。
ちょっと連載作品
「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる