698 / 989
確かにキメラはいるが
しおりを挟む
「……本当にここで一戦始めるわけないでしょう。全く」
「んだよ、つまんねぇな」
「そういう問題ではありません。本当にあなたは……とりあえず、今はこのタコについて考えるべきですね」
「メリルの言う通りだな」
陸地で移動するタコのモンスター……それ自体は、探せばいるのかもしれない。
てか、モンスターっていう摩訶不思議な存在のことを考えれば、そういった常識を打ち破るようなモンスターが存在してもおかしくないだろう。
ただ……ここまで色々と混ざったタコは、まず自然界のモンスターじゃないだろうな。
「誰かが、造った、っていう、こと?」
「キメラって言うモンスター自体は存在するが……これはどう見ても、その派生にあたるモンスターではないと思う」
「私も同意見です。とはいえ、私が扱っていた毒が通じたところを見ると、完全なゴーレムの類ではなさそうかと」
「そうなるだろうな」
ゴーレム系のモンスターは厄介なことに、毒液や毒霧などが殆ど効かない。
まっ、その分スピードに欠けるから戦り辛い相手ではないんだけどもな。
「誰かが造ったタコモンスターがベースのキメラ、ねぇ……頭が中々イカれた錬金術師なら、造れなくはないんすよね」
「頭がイカれてる人ほど、異常に優れた才を持って、尚且つ執念が凄いらしいからな」
別にそんな人物に会ったことはない。
会ったことはないけど、異世界だからこそ前世よりそういった人種がそこそこ多い気がするんだよな。
「……そも、そも。禁止、だったはず……と、思う」
「ん? そうだったけ」
「完全なゴーレムであればともかく、考える意思を持つモンスター擬き、キメラなどは基本的に禁忌の領域に近い内容ですね」
俺が造ったコンバットドールとかは全然大丈夫だけど、目の前のタコキメラとかは完全にアウトってことか……そもそもなんで、このタコキメラがホープレス周辺に現れたのかも謎だけどな。
「……とりあえず、こいつの死体は解体せずに確保しておくとして、これは国とか騎士団の方に報告した方が良い案件、か?」
「俺らで解決しちゃダメなんすか?」
「近畿の領域に足を踏み入れ、制作したキメラがハンターたちに危害を与えていたとなれば、大きな問題であることに変わりません」
「ふ~~~~ん……けどよ、ここ数か月の間でタコキメラがどこからか出現したって情報は聞かなかったよな」
シュラの言う通り、タコキメラがホープレス周辺に現れ、ハンターたちを襲う様になってから一か月も経ってない。
「そうですね。あのタコキメラの目撃情報が上がったのは、本当にここ最近の話です」
「そうなるとよ……どう考えても、ホープレスの街中……もしくは周辺のどこかからか、タコキメラが放出されたことになるよな」
「……そう考えるのが、自然ですね」
「てことはよ、あんまり国や騎士団に報告して任せてたら、タコキメラを造って放出した本人は、何処かに逃げちまうんじゃねぇか」
……シュラにしては、超まともな発言だな。
別にいつもふざけてるって言ってる訳じゃないんだが……一理どころから、十理ある流れだ。
「つまり、今これから私たちだけでタコキメラを放出した人物を探し出し、捉えるのが一番ベストな選択と」
「って事だ!! 珍しく良いこと言ってね?」
「色々と自覚してるんですね……逃げられるぐらいなら、私たちで少し無理しても捉えた方が良いという意見には賛成ですね」
「っしゃ!!!!」
はいはい、解ってる解ってる。
解ってるからそんなにキラキラした目でこっち見なくても大丈夫だから。
「けどなぁ……そういう話になると、完全にルーフェイスの力に頼ることになるんだよな」
チラッと相棒の方に顔を向けると、人の言葉を完全に理解出来る狼竜は嬉しそうに吠えた。
そんな相棒の姿に苦笑いし、先程しまったタコキメラを取り出した。
「んだよ、つまんねぇな」
「そういう問題ではありません。本当にあなたは……とりあえず、今はこのタコについて考えるべきですね」
「メリルの言う通りだな」
陸地で移動するタコのモンスター……それ自体は、探せばいるのかもしれない。
てか、モンスターっていう摩訶不思議な存在のことを考えれば、そういった常識を打ち破るようなモンスターが存在してもおかしくないだろう。
ただ……ここまで色々と混ざったタコは、まず自然界のモンスターじゃないだろうな。
「誰かが、造った、っていう、こと?」
「キメラって言うモンスター自体は存在するが……これはどう見ても、その派生にあたるモンスターではないと思う」
「私も同意見です。とはいえ、私が扱っていた毒が通じたところを見ると、完全なゴーレムの類ではなさそうかと」
「そうなるだろうな」
ゴーレム系のモンスターは厄介なことに、毒液や毒霧などが殆ど効かない。
まっ、その分スピードに欠けるから戦り辛い相手ではないんだけどもな。
「誰かが造ったタコモンスターがベースのキメラ、ねぇ……頭が中々イカれた錬金術師なら、造れなくはないんすよね」
「頭がイカれてる人ほど、異常に優れた才を持って、尚且つ執念が凄いらしいからな」
別にそんな人物に会ったことはない。
会ったことはないけど、異世界だからこそ前世よりそういった人種がそこそこ多い気がするんだよな。
「……そも、そも。禁止、だったはず……と、思う」
「ん? そうだったけ」
「完全なゴーレムであればともかく、考える意思を持つモンスター擬き、キメラなどは基本的に禁忌の領域に近い内容ですね」
俺が造ったコンバットドールとかは全然大丈夫だけど、目の前のタコキメラとかは完全にアウトってことか……そもそもなんで、このタコキメラがホープレス周辺に現れたのかも謎だけどな。
「……とりあえず、こいつの死体は解体せずに確保しておくとして、これは国とか騎士団の方に報告した方が良い案件、か?」
「俺らで解決しちゃダメなんすか?」
「近畿の領域に足を踏み入れ、制作したキメラがハンターたちに危害を与えていたとなれば、大きな問題であることに変わりません」
「ふ~~~~ん……けどよ、ここ数か月の間でタコキメラがどこからか出現したって情報は聞かなかったよな」
シュラの言う通り、タコキメラがホープレス周辺に現れ、ハンターたちを襲う様になってから一か月も経ってない。
「そうですね。あのタコキメラの目撃情報が上がったのは、本当にここ最近の話です」
「そうなるとよ……どう考えても、ホープレスの街中……もしくは周辺のどこかからか、タコキメラが放出されたことになるよな」
「……そう考えるのが、自然ですね」
「てことはよ、あんまり国や騎士団に報告して任せてたら、タコキメラを造って放出した本人は、何処かに逃げちまうんじゃねぇか」
……シュラにしては、超まともな発言だな。
別にいつもふざけてるって言ってる訳じゃないんだが……一理どころから、十理ある流れだ。
「つまり、今これから私たちだけでタコキメラを放出した人物を探し出し、捉えるのが一番ベストな選択と」
「って事だ!! 珍しく良いこと言ってね?」
「色々と自覚してるんですね……逃げられるぐらいなら、私たちで少し無理しても捉えた方が良いという意見には賛成ですね」
「っしゃ!!!!」
はいはい、解ってる解ってる。
解ってるからそんなにキラキラした目でこっち見なくても大丈夫だから。
「けどなぁ……そういう話になると、完全にルーフェイスの力に頼ることになるんだよな」
チラッと相棒の方に顔を向けると、人の言葉を完全に理解出来る狼竜は嬉しそうに吠えた。
そんな相棒の姿に苦笑いし、先程しまったタコキメラを取り出した。
33
お気に入りに追加
3,501
あなたにおすすめの小説

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった
今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。
しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。
それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。
一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。
しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。
加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。
レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

俺だけ皆の能力が見えているのか!?特別な魔法の眼を持つ俺は、その力で魔法もスキルも効率よく覚えていき、周りよりもどんどん強くなる!!
クマクマG
ファンタジー
勝手に才能無しの烙印を押されたシェイド・シュヴァイスであったが、落ち込むのも束の間、彼はあることに気が付いた。『俺が見えているのって、人の能力なのか?』
自分の特別な能力に気が付いたシェイドは、どうやれば魔法を覚えやすいのか、どんな練習をすればスキルを覚えやすいのか、彼だけには魔法とスキルの経験値が見えていた。そのため、彼は効率よく魔法もスキルも覚えていき、どんどん周りよりも強くなっていく。
最初は才能無しということで見下されていたシェイドは、そういう奴らを実力で黙らせていく。魔法が大好きなシェイドは魔法を極めんとするも、様々な困難が彼に立ちはだかる。時には挫け、時には悲しみに暮れながらも周囲の助けもあり、魔法を極める道を進んで行く。これはそんなシェイド・シュヴァイスの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる