上 下
696 / 950

私も従者なので

しおりを挟む
ささっと見つけて討伐した方が良い。
そう思いながら噂のタコモンスターを探してたんだが……意外にもあっさり見つかった。

「タコ……タコっちゃ、タコだな!!!」

足音を隠さずに歩き、それなりに体が大きいこともあって、あっさりと見つかったんだが……体型は確かにタコ。
体型はタコなんだが……色々とおかしい。

「ラガス坊ちゃま! あれは本当にタコでしょうかっ!!!!」

「どう見ても、普通のタコではないな!!!」

体型は確かにタコ。
タコっぽい口もあるんだが、脚とか胴体の一部とか……いったい何のモンスターだ? という疑問が浮かぶ脚。

ていうか、間違いなく八本の内一本はゴーレムの脚、だよな?

「でも、あれはタコであって、正体は見た目通り、キメラだ!!!」

脚は各自色んな生物の脚が組み合わせられており、本当にタコってのは見た目だけってのが窺える。

だって、タコが墨意外に……水を吐き出すなら分かる
基本的に水中に生息しているモンスターだから、それは解るんだが……火とか風を吹き出すのはどう考えてもおかしいだろ。
そんなトリッキー過ぎるタコモンスターがいるなんて、マジで聞いたことがない!

「ラガス、このモンスターって、色々、と面白い、ね」

「はは、余裕だなセルシア。まぁ、この数を考えれば無理な相手ではないんだが……」

とりあえずメリルの方に視線を向けた。
向けた理由は……一応、先日シュラが次に戦う強敵はメリルに譲るって話してたから。

「……はぁ~~~、解りました」

「メリル、別にマジで一人でやる必要はないぞ」

「そんな事は重々承知、してます。ただ……私も、ラガス坊ちゃまの、従者ですので」

……偶に、本当に偶にだけ、嬉しい事を言ってくれるな。

「そうか。それじゃ、頼んだぞ。シュラ、セルシア、ルーフェイス。一旦下がるぞ!」

「うっす!」

「分かった」

「ワゥっ!!」

まだ戦闘が始まってから一分程度しか経ってないけど、多分……あのタコキメラの戦闘力はBランクモンスターと同じ。
さすがにAランクほどの力はないと思うけど、マジで油断出来ない相手であることに変わりはない。

正直、シュラがファイルトロールに挑んだ時よりも、万が一の準備をしておかないと駄目だ。
別にメリルが戦闘力の面でシュラに大きく劣ってるとか思ってないけど……はぁ~~~、従者が自分で戦るって決めたんだからそれはそれ、これはこれとして信じてやらないと。

「やっぱり心配っすか、ラガスさん」

「シュラは心配じゃないのか?」

「ん~~~……一割から二割ぐらいは、心配の気持ちはあるっす。ただ、残りの九割か八割はワクワクっすね」

「自分が戦ってないのにか?」

「だって、メリルが自分の意思で強敵と戦うって決めたんすよ。やっぱりワクワクする気持ちが大きいっすよ」

確かこうなったのが十割、シュラの発言だったような……いや、二割か三割は眼でどうするんだと確認した俺の責任でもあるか。

「それに……メリルはなんだかんだで熱い奴っすよ」

「それはそうかもなぁ……とりあえず、準備だけしてじっくり観させてもらうか」

「メリルの、ガチ、バトル……ちょっと、楽しみ、かな」

セルシア、お前もシュラと同じ気持ちかい。

つっても今のところメリルが一方的ではないが、全面的に優勢だな。
というか、ぱっと見武器や遠距離攻撃が出来るス〇イダー〇ンって感じの戦い方だ。

森の中ということもあって、全身のどこからか生やした伸縮性の糸を上手く利用して、自由自在に移動。
タコキメラが強引に周囲の木々を壊せば、別の方法で上手く戦わないといけなくなるが……今のところ、それを実行しようとする気配はないな。

もしかしなくても、あんまり頭が良い個体ではない、のか?

まっ、個人的にメリルが無事に倒して戻ってくるなら、正直勝負の過程はどうでも良いかな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません

みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。 未来を変えるために行動をする 1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~

hisa
ファンタジー
 受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。  自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。  戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?  教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!! ※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく! ※第5章に突入しました。 ※小説家になろう96万PV突破! ※カクヨム68万PV突破! ※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない

猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。 まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。 ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。 財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。 なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。 ※このお話は、日常系のギャグです。 ※小説家になろう様にも掲載しています。 ※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。

処理中です...