万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

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ラガスにはない

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傷だらけでもさすがオーガ、って思える程の身体能力だが、それだけでは全く危機感を感じない。

数分をも経たずに仕留め終わり、解体タイムに突入。

「オーガの集団が傷だらけ、か……他のハンターが来なかったし、他のモンスターにやられたって考えるのが妥当だよな」

「ですね。しかし、オーガの集団を傷付けるモンスターとなると……やはり、トロールでしょうか?」

「そいつしかいねぇだろ。オーガとトロールが仲良しこよしって話は聞かねぇし」

シュラの言う通りだ。
オーガから喧嘩を売ったのか、それともファイルトロールたちが縄張りを広げた? どっちかは解らないが、モンスター内でも争いが勃発してるのは間違いないな。

解体後、ギルドで得た情報元へ向かうが、足跡や争った痕跡は見つかったが、その場にファイルトロール、もしくはトロールが現れることはなかった。

「本日は収穫なし、ですね」

「そういうもんだろ。仮にファイルトロールが多少頭が回る個体なら、見つかりにくい場所を拠点としてるかもしれない」

「トロールがそこまで考えるでしょうか?」

「モンスターは総じて俺らより知能が低いが、そう思って嘗めてると足元を掬われる。そういう予想外な点が、恐ろしい部分の一つだろ」

世の中にはフェリスさんみたいに、人の言葉を喋るモンスターだっている。
人の言葉を喋ることが出来るってだけで知能が高いと断言するのはあれかもしれないが、油断ならない個体ではあるだろう。

「群れの、トップは、危機管理も、大事」

「強さよりも臆病さが大切って話だな。群れを守るってなら、確かに一番大事な能力だ」

「ラガス坊ちゃまにはない能力ですね」

「おいおい、別に全くない訳じゃないだろ」

「ラガス坊ちゃまの場合は危機だと解っていても、ニヤニヤと笑いながら飛び込んでいくでしょう」

多少の反論はあっさりと打ち消された。

三本角のオーガジェネラルにソロで挑んだ身としては、反論の余地がない。

「メリル、そこがラガスさんの魅力ってやつだろ」

「……そうかもしれませんね」

おや? もうちょい小言が飛んでくると思ったが、珍しくそれ以上矢が飛んでこなかった。

心境の変化でもあったのかと考えていると、ハンターギルドへ帰還。
依頼達成を報告して報酬金を受け取り、素材買取カウンターで本日の成果を渡す。

本来であればオーガの皮も魔靴の素材として使えなくはないんだが、怪我を負っていて使いにくいので、全て売却。

「これは、オーガの皮、ですね」

「何かに襲われた様子のところに遭遇して討伐しました」

一応ファイルトロールに繋がる情報かもしれないので伝える。

「オーガが……ありがとうございます」

「いえ」

伝えるべき情報を伝え、素材の買取も終わった。
オーガの骨が手に入ったんだし……腕が鈍らない様に、とりあえず一足造るのもありかな。

って…………今度はなんだ?

「おい、お前。お前もファイルトロールを狙ってんのか」

ハンターギルドから出ようとしたら、先日絡んで来たルーキーたちを従えるように、一人のルーキーが立ちふさがる。
種族はシュラと同じ鬼人族。

体格だけはシュラより良いし、先日絡んで来たルーキーたちと比べればまともだな。

「そうだな。それが目的でこの街に来た」

後ろの若干おどおどしてるチンピラたちと違って真っすぐな目をしてることもあり、質問にはとりあえず答える。

「ッ…………そうか」

ん? 俺になんだかんだで喧嘩を売りに来た、って訳ではないのか?

「お前、同族のよしみで忠告しておくぞ。下手にファイルトロールに挑んだところで、死ぬだけだ。無茶は止めとけよ」

一歩前に出て、シュラはいきなり俺に声をかけてきた同族に対し、本当に同族のよしみで忠告をした。
シュラ的には侮りとか、目の前の同族を悪い意味で下に見たりはしてない、と思う。

本当に善意で言ったんだろうけど、その善意が伝わることはなかった。
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