672 / 989
その世代の顔だから
しおりを挟む
(はぁ~~~、面倒だな)
全員入団合格宴会の数日後、今度は卒業試験が行われた。
当然だが、ここにきて留年する生徒は一人もいない。
俺たちも問題無く試験に合格し、卒業資格を得た。
そして卒業試験の結果が分かった後、担任のバッカス先生から俺が卒業生代表として、最後に適当なスピーチを行う
ことを伝えられた。
「一応、なんで俺がと聞いて良いですか」
「三年間、お前は大会で常に活躍し続けた。初めて開催された国際大会でも無双状態だったな。加えて、お前は卒業試験でトップ……簡単に言えば、首席で卒業だ。それらの理由を踏まえた上で、お前を代表にしない理由になると思うか?」
……全くもって一ミリも反論出来ないな。
「安心しろ、お前にケツをぶっ刺された恨みで、俺が推薦したとかじゃねぇから」
「そんな事してたら、決闘を申し込んでもう一度同じことをしますよ」
やろうと思えば、多分できなくはない。
「恐ろしいこと言うな。あれ、無茶苦茶痛かったんだからな」
「不用意に食後に試合なんて許可したからですよ」
本当に千年殺しを食らった恨みで、代表に推薦したりはしてないだろう。
偶に無茶苦茶というか、適当な部分がある先生だが、そういった私怨で生徒に嫌がらせするような屑ではない。
「でも、俺は卒業生代表なんて柄じゃないですよ」
「それは解ってる」
解ってるんかい!
だったら俺以外の奴を指名してくれよ!!
「セルシアとかどうですか?」
別にパートナーを売っている訳ではない。
様々な面から考えて、セルシアが卒業生代表として壇上で話すのは悪くないと思う。
「悪い案ではねぇが、ほら……パートナーであるお前の方が良く解ってるだろ。セルシアは、あんま口が上手くねぇだろ」
「うっ……まぁ、それはそう、かもしれませんね」
残念ながら、そこは否定出来ない部分だ。
セルシアなら言葉が少なくとも、その見た目だけで色々と許される気がしなくもないんだけどな。
「その点、お前はそういうの、案外得意だろ」
「別に得意って訳じゃありませんよ」
「何言ってんだ。新入生の歓迎会とかで、一年相手に気の利いた挨拶してたじゃねぇか」
「あぁ~~~……いや、どうなんでしょうね」
何回か人前で挨拶したことはあるけど、多少ふざけても構わない場だったから、新入生たちに上手く笑ってもらえて、結果オーライなだけだと思うんだが。
「リーベやジークでもダメなんですか? ジークなんて、俺らの中で一番そういうのが似合いそうじゃないですか」
「確かにそういうのが似合う奴ではある。でもな、ラガス。もう諦めろ。ぉ前らの世代を代表する生徒は、どう考えてもお前なんだ」
「うっ」
褒められては……いるんだよな。
多少嬉しいと感じなくはないが、つまりは決定事項ってことだよな。
「そりゃお前が名前を上げたセルシアたちも十分すげぇが、その中でも群を抜いた存在がお前だ。ほら、二年ぐらい前にお前に子供たちを助けられた親たちだって、お前が代表じゃなきゃ納得しないと思うぜ」
「あぁ~~…………解りました」
「おぅ、解ってくれたか。もうお前がどれだけ反論しても覆らないから、諦めるのが一番だ」
俺に実害から良いけど、反論しても一ミリも覆る可能性がないってのは、なんとも嫌な状況だな。
爵位の差がうんたらかんたらって、もうちょい反論したかったけど、今までの実績がどうたらこうたらって返されそうだ。
卒業生代表の挨拶、か。
バッカス先生からは適当で良いって言われたけど、本当に適当過ぎたら父さんやバルンク公爵様たちに迷惑掛けるよな。
「珍しく本気で悩んでますね、ラガス坊ちゃま」
「マジで本気で悩んでるよ…………はぁ~、本当に柄じゃないんだけどな」
それとなくセルシアたちに、もし良かったら交代しないかって訊いたけど、見事にオール拒否された。
全員入団合格宴会の数日後、今度は卒業試験が行われた。
当然だが、ここにきて留年する生徒は一人もいない。
俺たちも問題無く試験に合格し、卒業資格を得た。
そして卒業試験の結果が分かった後、担任のバッカス先生から俺が卒業生代表として、最後に適当なスピーチを行う
ことを伝えられた。
「一応、なんで俺がと聞いて良いですか」
「三年間、お前は大会で常に活躍し続けた。初めて開催された国際大会でも無双状態だったな。加えて、お前は卒業試験でトップ……簡単に言えば、首席で卒業だ。それらの理由を踏まえた上で、お前を代表にしない理由になると思うか?」
……全くもって一ミリも反論出来ないな。
「安心しろ、お前にケツをぶっ刺された恨みで、俺が推薦したとかじゃねぇから」
「そんな事してたら、決闘を申し込んでもう一度同じことをしますよ」
やろうと思えば、多分できなくはない。
「恐ろしいこと言うな。あれ、無茶苦茶痛かったんだからな」
「不用意に食後に試合なんて許可したからですよ」
本当に千年殺しを食らった恨みで、代表に推薦したりはしてないだろう。
偶に無茶苦茶というか、適当な部分がある先生だが、そういった私怨で生徒に嫌がらせするような屑ではない。
「でも、俺は卒業生代表なんて柄じゃないですよ」
「それは解ってる」
解ってるんかい!
だったら俺以外の奴を指名してくれよ!!
「セルシアとかどうですか?」
別にパートナーを売っている訳ではない。
様々な面から考えて、セルシアが卒業生代表として壇上で話すのは悪くないと思う。
「悪い案ではねぇが、ほら……パートナーであるお前の方が良く解ってるだろ。セルシアは、あんま口が上手くねぇだろ」
「うっ……まぁ、それはそう、かもしれませんね」
残念ながら、そこは否定出来ない部分だ。
セルシアなら言葉が少なくとも、その見た目だけで色々と許される気がしなくもないんだけどな。
「その点、お前はそういうの、案外得意だろ」
「別に得意って訳じゃありませんよ」
「何言ってんだ。新入生の歓迎会とかで、一年相手に気の利いた挨拶してたじゃねぇか」
「あぁ~~~……いや、どうなんでしょうね」
何回か人前で挨拶したことはあるけど、多少ふざけても構わない場だったから、新入生たちに上手く笑ってもらえて、結果オーライなだけだと思うんだが。
「リーベやジークでもダメなんですか? ジークなんて、俺らの中で一番そういうのが似合いそうじゃないですか」
「確かにそういうのが似合う奴ではある。でもな、ラガス。もう諦めろ。ぉ前らの世代を代表する生徒は、どう考えてもお前なんだ」
「うっ」
褒められては……いるんだよな。
多少嬉しいと感じなくはないが、つまりは決定事項ってことだよな。
「そりゃお前が名前を上げたセルシアたちも十分すげぇが、その中でも群を抜いた存在がお前だ。ほら、二年ぐらい前にお前に子供たちを助けられた親たちだって、お前が代表じゃなきゃ納得しないと思うぜ」
「あぁ~~…………解りました」
「おぅ、解ってくれたか。もうお前がどれだけ反論しても覆らないから、諦めるのが一番だ」
俺に実害から良いけど、反論しても一ミリも覆る可能性がないってのは、なんとも嫌な状況だな。
爵位の差がうんたらかんたらって、もうちょい反論したかったけど、今までの実績がどうたらこうたらって返されそうだ。
卒業生代表の挨拶、か。
バッカス先生からは適当で良いって言われたけど、本当に適当過ぎたら父さんやバルンク公爵様たちに迷惑掛けるよな。
「珍しく本気で悩んでますね、ラガス坊ちゃま」
「マジで本気で悩んでるよ…………はぁ~、本当に柄じゃないんだけどな」
それとなくセルシアたちに、もし良かったら交代しないかって訊いたけど、見事にオール拒否された。
37
お気に入りに追加
3,501
あなたにおすすめの小説

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった
今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。
しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。
それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。
一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。
しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。
加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。
レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

落ちこぼれ公爵令息の真実
三木谷夜宵
ファンタジー
ファレンハート公爵の次男セシルは、婚約者である王女ジェニエットから婚約破棄を言い渡される。その隣には兄であるブレイデンの姿があった。セシルは身に覚えのない容疑で断罪され、魔物が頻繁に現れるという辺境に送られてしまう。辺境の騎士団の下働きとして物資の輸送を担っていたセシルだったが、ある日拠点の一つが魔物に襲われ、多数の怪我人が出てしまう。物資が足らず、騎士たちの応急処置ができない状態に陥り、セシルは祈ることしかできなかった。しかし、そのとき奇跡が起きて──。
設定はわりとガバガバだけど、楽しんでもらえると嬉しいです。
投稿している他の作品との関連はありません。
カクヨムにも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる