万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

文字の大きさ
上 下
670 / 989

だとしても感謝する

しおりを挟む
「んじゃ、お前らのこれまでの努力と根性、そんで見事勝ち取った合格に、乾杯!!!!!」

「「「「「「「「「「乾杯!!!!!!」」」」」」」」」」

騎士団、そして魔法師団の試験結果が発表された翌日、俺たちは学食を貸し切りにし、三年生とバッカス先生たち教師陣で宴会を開いていた。

「ラガス! 合格できたのはお前たちのお陰だ!!!」

「本当にその通りね。あの助言がなかったら、多分受かってなかったわ」

「何言ってるんだよ。お前たちが素直に頑張った結果だ」

宴会が始まってから直ぐ、俺やセルシアたちの元に合格した同級生たちが訪れてきた。

何と言うか……正直、ちょっと信じられないという思いはあるが、なんとロッソ学園から入団試験を受けた生徒たちは、全員合格を勝ち取ったらしい。

普通に考えて、あり得ない話なんだ。
そりゃ、うちの学園はそこそこ合格率が高いらしいが、それでも毎年の合格者数は全体のおおよそ六割から七割ほど。

この数値は他の学園と比べても一歩上を行ってるらしいが、それでも入団率百パーセントだった年はないらしい。

「うん、ラガスの、言う通り。皆が、頑張った、結果」

「「「「っ!!」」」」

普段からあまり話さないセルシアに褒められたからか、多くの同級生が感極まった表情になってる。

「僕も基本的にはそう思うよ」

「ジーク。入団おめでとう」

「ありがとう、ラガス……でも、皆の言う通り、ラガスの助言があったからこそ合格できた部分は、少なからずあると思うよ」

……なんだよ。
そう面と向かって言われると、ちょっと照れるだろ。

「そう言ってくれると嬉しいよ。けど、これで皆スタートラインに立ったんだ。それはそれで油断してられないんじゃないか?」

「確かにね。正直、かなり期待されていると思う。学園で習ってきたことを実行しながら、現場でのイレギュラーに対応していかなきゃと思うと、ラガスの言う通り……あまり油断してられないね」

良い顔するじゃん。
絶対に天辺まで登ってやろうって感じの良い顔だ。

「ここでラガスたちも同じだろ、って言いたいところだけど、君たちは直ぐに壁にぶち当たることはなさそうだね」

「はは、どうだろうな。ハンターの真似事はしてるけど、実際に依頼を受けたりしてる訳じゃないからな」

俺個人にはちょいちょい依頼が飛んでくるけど、それは魔靴目当ての生産依頼だし。

「まぁ、当面の目的は決まってるから、卒業後はその目的を達成していく」

「確か強いモンスターとの戦闘、だよね。他の人が言えばただの死にたがりとしか思えないけど、ラガスたちがそう言うと……狙われるモンスターたちが少し可哀そうに思えるね」

「なんだよそれ。遭遇出来たら逃がすつもりはないけどさ」

食堂の料理人さんたちが用意してくれた料理を食べながら楽しく話してると、若干酒の匂いを漂わせるバッカス先生たちが絡んで来た。

「よぅ、ラガス! ちゃんと呑んでるか?」

「そこは食べてるか? じゃないんですか」

今回の宴会で、酒は出てない。
なのにこの酒臭さ……酒を持参したのか?

前々から酒好きだとは思ってたけど、それでも生徒の前で呑むか?

「どっちでも良いじゃねぇか」

「それはそうかもしれませんけど……でも、生徒の前で呑んでも良いんですか?」

「固いこと言うなって。今日ほどめでてぇ日はないんだ!」

確かに超めでたい日ではあると思うけど……って、バレント先生たちまで呑んでる。
こりゃ何を言っても無駄そうだな。

「それよりラガス、ハンターになったら同じルーキーから何度も絡まれるだろうけど、適当に流しとけよ」

「何でですか?」

「そりゃお前が本気で相手したら、どう考えても絡んだ連中は潰れるだろ。理不尽だと思うかもしれねぇが、所詮は負け犬の遠吠え、世間知らずのアホが吠えてると思って、適当に聞き流せ」

「……うっす」

基本的にそうした方が良さそうなのは解ってる。
でも、適当に流すか否かは、相手の挑発内容次第だな。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

聖剣を錬成した宮廷錬金術師。国王にコストカットで追放されてしまう~お前の作ったアイテムが必要だから戻ってこいと言われても、もう遅い!

つくも
ファンタジー
錬金術士学院を首席で卒業し、念願であった宮廷錬金術師になったエルクはコストカットで王国を追放されてしまう。 しかし国王は知らなかった。王国に代々伝わる聖剣が偽物で、エルクがこっそりと本物の聖剣を錬成してすり替えていたという事に。 宮廷から追放され、途方に暮れていたエルクに声を掛けてきたのは、冒険者学校で講師をしていた時のかつての教え子達であった。 「————先生。私達と一緒に冒険者になりませんか?」  悩んでいたエルクは教え子である彼女等の手を取り、冒険者になった。 ————これは、不当な評価を受けていた世界最強錬金術師の冒険譚。錬金術師として規格外の力を持つ彼の実力は次第に世界中に轟く事になる————。

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません 

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。 まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。 だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥ たまにやりたくなる短編。 ちょっと連載作品 「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

処理中です...