万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

文字の大きさ
上 下
669 / 989

今の現在地

しおりを挟む
「日頃からモンスターと戦える環境……正直、羨ましいね。そうだ、全然話は変わるんだけど、本気でラガスとセルシアさんが戦えば、どっちが勝つ?」

「……全部こみこみでも、まだ俺が勝つかと」

「そっか……やっぱり、目の前の光景通り、恐ろしい程強いんだね」

そうなんだよな~。
戦闘の才能が全くないなんて嫌味にしかならないから言わないけど、今俺とセルシアの明確な差はスタートダッシュ。

その点が一番大きい。

対戦相手が新米騎士からベテラン騎士たちに変われば、さすがのセルシアも一本取られて負ける。
それでも、まだギリ学生であることを考えれば、十分過ぎる戦闘内容。

まっ、戦い方というか……戦いに対する思考? 的な部分が俺と似てるから、あまり出世しない。
もしくは出世したくないタイプだ。

「よろしく、ラガス」

「よろしくお願いします!」

なんて考えてたら、俺も新米の域を抜けた騎士との模擬戦がスタート。

新米の息を抜けた人たちや、ベテランの人たちは気迫や濃い戦意の使い方が上手い。
この戦いが模擬戦であるというのは解っているが、偶に殺気と勘違いしてしまいそうになる圧を囮に使ってくる。

こっちもそういう使い方を試してみるが、あまり引っ掛かってくれない。
今まであんまり圧をそんな使い方してこなかったからな……簡単に習得出来るフェイントではないか。

いや、振り返れば実戦で使ってきたことはあるんだが、ここまで細かく……いやらしく使ってはいないか。

「うっ……参った」

「ありがとうございました」

今回はなんとか勝てたが、次とその次の模擬戦は連続で負けた。

二戦ともギリギリ勝てると思ったんだけどな。
その隙を突かれたって感じか……いくらスタートダッシュが早くても、縛りありだと完勝はまだまだ無理そうだな。

「よし、そろそろ昼休憩にするか」

俺もセルシアも数十回以上模擬戦を行った後、ようやく昼飯の時間が訪れた。

「セルシア、勝ち星の数の方が多いんじゃないか」

「そう、なの?」

おいおい、全く把握してなかったのか?

「自分が何勝したのかとか、全く覚えてないのか」

「ん~~~~……なんとなくは、覚えてる、かな。でも、あまり興味、ないかも」

セルシアの言葉に、何人かの新米騎士の心に矢がぶっ刺さった気がするが……まっ、気のせいだろう。

「そ、そうなのか。でもな、その勝利数は、今セルシアがどれぐらいの位置にいるのか、ある程度示すことが出来る数だと俺は思うぞ」

「私の、現在地?」

「そうだ。今日は、現役騎士の人たちから何本も取っただろ。それは、お前が十分高い実力を有している証明でもある」

常識の範囲内で行う模擬戦とはいえ、現役騎士を相手に何勝もしてるんだ。

普通に考えれば、十分自信に繋がる戦績。

「だから、あんまり深く考える必要はない……ってのが、俺の意見だ」

ひとまず、言いたいことは言えた。
ただ、俺の考えを無理矢理押し付けようとは思わない。

俺や他の人から評価されたとしても、セルシアが納得出来ないのであれば、不満が解消されるまで頑張るしかない。

「んだよ、それだけ強いのに、何か戦闘関連で悩みでもあるのか? 勘弁してくれよ。これじゃ、マジで俺たち騎士の立場が無くなるぜ」

「……ラガスの、隣に、立ちたいから」

「おぉ~~~~……なるほどな」

セルシア、ストレートに自分の思いを口にしてくれるのは解りやすくて有難いが、周りに多くの騎士たちがいるの……忘れてないか。

俺はちょっと恥ずかしいんだが。

「なら、俺らも実力で副騎士団長……騎士団長の座をぶん取る!!! ってぐらいの気概で訓練に臨まねぇとな」

「何言ってんだって馬鹿にされそうだけど、学生がこれだけ頑張ってるのに、僕たちが目指す目標が低いのは、確かにナンセンスだね」

何やら騎士たちの向上心? に火が付いた。

ま、まぁ俺としてはニヤニヤとした視線を向けなければ、なんでも良いや。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

『伯爵令嬢 爆死する』

三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。 その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。 カクヨムでも公開しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった

今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。 しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。 それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。 一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。 しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。 加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。 レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

落ちこぼれ公爵令息の真実

三木谷夜宵
ファンタジー
ファレンハート公爵の次男セシルは、婚約者である王女ジェニエットから婚約破棄を言い渡される。その隣には兄であるブレイデンの姿があった。セシルは身に覚えのない容疑で断罪され、魔物が頻繁に現れるという辺境に送られてしまう。辺境の騎士団の下働きとして物資の輸送を担っていたセシルだったが、ある日拠点の一つが魔物に襲われ、多数の怪我人が出てしまう。物資が足らず、騎士たちの応急処置ができない状態に陥り、セシルは祈ることしかできなかった。しかし、そのとき奇跡が起きて──。 設定はわりとガバガバだけど、楽しんでもらえると嬉しいです。 投稿している他の作品との関連はありません。 カクヨムにも公開しています。

処理中です...