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「まぁ、どちらにしろハンターの道に進むことを止めることはないんですけど……そういえば、一つ聞きたい事があるんですけど良いですか」
「おぅ、勿論構わないぜ」
「その……騎士団に、魔法師団への入団基準を超えている人数が予想よりも多かった場合、基準を超えていても落とされる人は出ますか」
騎士団や魔法師団へ入団しない生徒であっても、これを尋ねるのはあまりよろしくないとは思ってる。
それでも、今しか訊けるチャンスはないと思った。
「ほほぅ。つまりだ……今年の卒業生たちは、超優秀ってことだな」
「他の学園の生徒たちは分かりませんが、ロッソ学園の卒業生たちは優秀かと」
「確かに、去年や今年の大会戦績などを考えれば、今王都にある学園の中で、ロッソ学園の生徒が一番優秀と言っても過言じゃないかもな」
そのロッソ学園の生徒が思うのはあれかもしれないけど、本当に優秀だと思う。
教師たちは俺やセルシアが切っ掛けになってくれたって言ってくれたけど、だとしても努力を続けられるのは、やっぱり同級生たちの力だと思う。
その努力の質や、継続性に関しては全く関与していない。
「ラガスの見立てでは、全員が入団基準をクリアしてる可能性が高いってことか」
「最近は少しでも入団出来る可能性を高めたいって同級生たちが、俺やセルシアだけじゃなく、従者のメリルやシュラにも指導を求めてます」
「あの従者二人にも、か……ふっ、どいつもこいつも気合が入ってるって訳だな」
「そうとも、言えますね」
気合が入ってるのは良いが、あの二人からすれば、貴族の令息や令嬢に頭を下げられると、対応に困っただろうな。
「お前の従者も含めて、騎士団に入団してくれねぇのが本当に惜しいよ」
「褒め言葉だけは受け取らせてもらいます。ところで、結果としては基準を満たしていても、零れる生徒は現れますか」
「そうだな……騎士団を増やすのは、悪いことじゃねぇと思ってる。騎士団が増えれば、その部隊の騎士団長や副騎士団長に就任できる奴が増える。つまり、出世できる奴が出る訳だからな……うん、一応出世ではある」
一応ということは、その他もろもろの関係で、新しい騎士団の団長や団員になる者たちが、絶対に栄転とは言えないみたいだな。
「俺は金の整理、投資とかは苦手だが……うちの経理に強い奴は、本当に騎士としての戦闘力を有している者であれば、新人騎士が多く増えることに不満はないって言ってたな」
「そうなんですね……とりあえず、ホッとしましった」
「やっぱり、同級生の今後は大なり小なり心配か」
「同級生だからというよりは、本気で目標に向かって走ってる奴らだからこそ、その努力が実って欲しいと……甘っちょろい考えかもしれませんけど、そう思わずにはいられません」
入団試験前だからって訳じゃない。
学園の訓練場に行く機会は少ないが、いつも訓練場を使用する同級生や他学年の生徒が多いという話は聞いていた。
たった数年、されど数年。
同級生たちが積み重ねてきた努力の量は、決して軽くない。
「いや、そう思う……願うことは悪くないと思うぜ」
俺の思いに合わせてくれたからかは分からないけど、リアルスさんにそう言われると、少し安心した。
そして時間となり、最後に公平な目で同級生たちを視てやってくださいと伝え、特別寮へ戻った。
「お帰りなさい、ラガス坊ちゃま」
「あぁ、ただいま」
「……なにやら、嬉しいことがあったみたいですね」
「顔に出てたか?」
「そうですね。自分に対する喜びというよりはなく、他者に対する喜びや嬉しさが顔に出ています」
……メリルなら何か嬉しいことがあった。それぐらいならバレるとは思ってた。
でも、そこまで具体的に解かるのかよ……ここまでくると、本当に恐ろしいと感じてしまう。
「おぅ、勿論構わないぜ」
「その……騎士団に、魔法師団への入団基準を超えている人数が予想よりも多かった場合、基準を超えていても落とされる人は出ますか」
騎士団や魔法師団へ入団しない生徒であっても、これを尋ねるのはあまりよろしくないとは思ってる。
それでも、今しか訊けるチャンスはないと思った。
「ほほぅ。つまりだ……今年の卒業生たちは、超優秀ってことだな」
「他の学園の生徒たちは分かりませんが、ロッソ学園の卒業生たちは優秀かと」
「確かに、去年や今年の大会戦績などを考えれば、今王都にある学園の中で、ロッソ学園の生徒が一番優秀と言っても過言じゃないかもな」
そのロッソ学園の生徒が思うのはあれかもしれないけど、本当に優秀だと思う。
教師たちは俺やセルシアが切っ掛けになってくれたって言ってくれたけど、だとしても努力を続けられるのは、やっぱり同級生たちの力だと思う。
その努力の質や、継続性に関しては全く関与していない。
「ラガスの見立てでは、全員が入団基準をクリアしてる可能性が高いってことか」
「最近は少しでも入団出来る可能性を高めたいって同級生たちが、俺やセルシアだけじゃなく、従者のメリルやシュラにも指導を求めてます」
「あの従者二人にも、か……ふっ、どいつもこいつも気合が入ってるって訳だな」
「そうとも、言えますね」
気合が入ってるのは良いが、あの二人からすれば、貴族の令息や令嬢に頭を下げられると、対応に困っただろうな。
「お前の従者も含めて、騎士団に入団してくれねぇのが本当に惜しいよ」
「褒め言葉だけは受け取らせてもらいます。ところで、結果としては基準を満たしていても、零れる生徒は現れますか」
「そうだな……騎士団を増やすのは、悪いことじゃねぇと思ってる。騎士団が増えれば、その部隊の騎士団長や副騎士団長に就任できる奴が増える。つまり、出世できる奴が出る訳だからな……うん、一応出世ではある」
一応ということは、その他もろもろの関係で、新しい騎士団の団長や団員になる者たちが、絶対に栄転とは言えないみたいだな。
「俺は金の整理、投資とかは苦手だが……うちの経理に強い奴は、本当に騎士としての戦闘力を有している者であれば、新人騎士が多く増えることに不満はないって言ってたな」
「そうなんですね……とりあえず、ホッとしましった」
「やっぱり、同級生の今後は大なり小なり心配か」
「同級生だからというよりは、本気で目標に向かって走ってる奴らだからこそ、その努力が実って欲しいと……甘っちょろい考えかもしれませんけど、そう思わずにはいられません」
入団試験前だからって訳じゃない。
学園の訓練場に行く機会は少ないが、いつも訓練場を使用する同級生や他学年の生徒が多いという話は聞いていた。
たった数年、されど数年。
同級生たちが積み重ねてきた努力の量は、決して軽くない。
「いや、そう思う……願うことは悪くないと思うぜ」
俺の思いに合わせてくれたからかは分からないけど、リアルスさんにそう言われると、少し安心した。
そして時間となり、最後に公平な目で同級生たちを視てやってくださいと伝え、特別寮へ戻った。
「お帰りなさい、ラガス坊ちゃま」
「あぁ、ただいま」
「……なにやら、嬉しいことがあったみたいですね」
「顔に出てたか?」
「そうですね。自分に対する喜びというよりはなく、他者に対する喜びや嬉しさが顔に出ています」
……メリルなら何か嬉しいことがあった。それぐらいならバレるとは思ってた。
でも、そこまで具体的に解かるのかよ……ここまでくると、本当に恐ろしいと感じてしまう。
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