663 / 970
後釜候補に……
しおりを挟む
「ラガス、ちょろっと聞いたぜ。騎士団に入団したい奴らに、稽古つけてやって得るんだって?
おそらく、入団が決まる前最後の休日、何故か……何故か、第一騎士団の騎士団長であるリアルスさんから、お茶しようと誘われた。
いや、本当に何故って感じ。
同級生たちにアドバイスしてる事に関しても、何故知ってるんだ!? って声出してツッコみたかった。
「稽古を付けてるというか、軽くアドバイスをしてるというか……俺としては、そういうのは先生たちに頼むべきだと思うんですけどね」
「はっはっは! お前が学園に入学してから、今まで残してきた実績を考えれば、当然の結果だと思うぜ」
実績、実績か……まぁ、そりゃ学生同士の戦いとはいえ、負けるのは嫌だから勝つ気で戦ってきたよな。
「気持ちは変わってねぇとは思うが、もし騎士団に入団してくれるなら、他の新人騎士たちとは違うラインからスタートだ」
「……もしかして、誰かの上に立つってことですか?」
「そうなるだろうな。というか、俺ならそうする。実力はどう考えても文句なし。年齢や経験に文句があるなら、俺が直々に審判をして覆せば、仕方ないって判断を下すけどな」
実力で全てひっくり返る、か。
正直、俺より歳上の騎士たちが、野性としては至極単純な順位付けで納得するかどうかは、謎だけどな。
「あっ、でもあれか。ラガスはあんまり、人の上に立つのとか得意じゃねぇか」
「そうですね。他のグループと対立したりすれば、基本的に物理で解決したくなるので」
「はっはっは! 良いじゃねぇか。騎士は兎にも角にも腕っぷしがなきゃ務まらねぇ。って言ってたら、うちの副騎士団長に怒られるんだけどな」
でしょうね。
そりゃ殺人鬼や盗賊を倒す、被害を出しているモンスターを倒す仕事内容とかを考えれば、まず腕っ節は必要。
でも、傭兵や冒険者と違って、礼節という部分があるからこそ、騎士と呼ばれるんだ。
そういう部分は、俺にはない……いや、最低限は持ってるけど、相手があまりにもウザかったら、ぶん殴るか禿にするか、逆に隠せない程全部の毛を増毛するか……とにかくやらかす自信しかない。
「でも、それならお前の兄貴が入隊してる、遊撃部隊ならラガスも馴染むんじゃないか? あそこは本当に実力主義っつーか、一芸に秀でているタイプでも、利用価値ありと判断されれば入隊出来るしな」
遊撃部隊か……まっ、仮に俺が騎士団に入団数なら、そこしかないだろうな。
よっぽど癖がある、もしくは面倒過ぎる人がいない限り、衝突することはなさそうだし。
「あそこの団長は、多分ラガスのことを、凄く欲しがってるだろうな」
「? なんでですか」
「ラガスの戦闘光景を大会で観てるのは当然として、兄貴から色々と聞いてるだろ」
「……そうかもしれませんね」
ちらっと聞いた話だと、同僚や上司に俺ら家族のこと、超自慢してるらしい。
他人に自慢するのは、嬉しいと言えば嬉しいけども……やっぱり恥ずかしいって気持ちの方が勝るから、ちょっと止めてほしいかな。
「それと、お前の兄貴は後数年もすれば、遊撃部隊から除隊……引退するだろ」
「そう、ですね」
おそらくというか、確実に引退するだろうな。
基本的にうちは序列争いとか、継承者争い? 的なことはしてないから、生まれてきた準通りにカロウス兄さんが当主になる。
他のきょうだいは、特にそういう地位とか権力に興味ないというか……いや、ぶっちゃけそこに関してはカロウス兄さんもあまり興味を持ってないかも。
「そういう訳だから、近々そっちの方から誘いがあるかもしれねぇな」
「えっ!!!??? それは困るというか、リアルス団長の方から、なんとか言っておいてくれませんか?」
「いやぁ~、なぁ~~~……俺もラガスもうちに誘いたい気持ちは十分に解かるからな。俺が言っても説得力がないっつーか、あまり効果はないと思うぜ」
……強者から好感を持たれるのは嬉しいが、あまりハンター以外からの勧誘を受けるのは、そろそろ勘弁だな。
おそらく、入団が決まる前最後の休日、何故か……何故か、第一騎士団の騎士団長であるリアルスさんから、お茶しようと誘われた。
いや、本当に何故って感じ。
同級生たちにアドバイスしてる事に関しても、何故知ってるんだ!? って声出してツッコみたかった。
「稽古を付けてるというか、軽くアドバイスをしてるというか……俺としては、そういうのは先生たちに頼むべきだと思うんですけどね」
「はっはっは! お前が学園に入学してから、今まで残してきた実績を考えれば、当然の結果だと思うぜ」
実績、実績か……まぁ、そりゃ学生同士の戦いとはいえ、負けるのは嫌だから勝つ気で戦ってきたよな。
「気持ちは変わってねぇとは思うが、もし騎士団に入団してくれるなら、他の新人騎士たちとは違うラインからスタートだ」
「……もしかして、誰かの上に立つってことですか?」
「そうなるだろうな。というか、俺ならそうする。実力はどう考えても文句なし。年齢や経験に文句があるなら、俺が直々に審判をして覆せば、仕方ないって判断を下すけどな」
実力で全てひっくり返る、か。
正直、俺より歳上の騎士たちが、野性としては至極単純な順位付けで納得するかどうかは、謎だけどな。
「あっ、でもあれか。ラガスはあんまり、人の上に立つのとか得意じゃねぇか」
「そうですね。他のグループと対立したりすれば、基本的に物理で解決したくなるので」
「はっはっは! 良いじゃねぇか。騎士は兎にも角にも腕っぷしがなきゃ務まらねぇ。って言ってたら、うちの副騎士団長に怒られるんだけどな」
でしょうね。
そりゃ殺人鬼や盗賊を倒す、被害を出しているモンスターを倒す仕事内容とかを考えれば、まず腕っ節は必要。
でも、傭兵や冒険者と違って、礼節という部分があるからこそ、騎士と呼ばれるんだ。
そういう部分は、俺にはない……いや、最低限は持ってるけど、相手があまりにもウザかったら、ぶん殴るか禿にするか、逆に隠せない程全部の毛を増毛するか……とにかくやらかす自信しかない。
「でも、それならお前の兄貴が入隊してる、遊撃部隊ならラガスも馴染むんじゃないか? あそこは本当に実力主義っつーか、一芸に秀でているタイプでも、利用価値ありと判断されれば入隊出来るしな」
遊撃部隊か……まっ、仮に俺が騎士団に入団数なら、そこしかないだろうな。
よっぽど癖がある、もしくは面倒過ぎる人がいない限り、衝突することはなさそうだし。
「あそこの団長は、多分ラガスのことを、凄く欲しがってるだろうな」
「? なんでですか」
「ラガスの戦闘光景を大会で観てるのは当然として、兄貴から色々と聞いてるだろ」
「……そうかもしれませんね」
ちらっと聞いた話だと、同僚や上司に俺ら家族のこと、超自慢してるらしい。
他人に自慢するのは、嬉しいと言えば嬉しいけども……やっぱり恥ずかしいって気持ちの方が勝るから、ちょっと止めてほしいかな。
「それと、お前の兄貴は後数年もすれば、遊撃部隊から除隊……引退するだろ」
「そう、ですね」
おそらくというか、確実に引退するだろうな。
基本的にうちは序列争いとか、継承者争い? 的なことはしてないから、生まれてきた準通りにカロウス兄さんが当主になる。
他のきょうだいは、特にそういう地位とか権力に興味ないというか……いや、ぶっちゃけそこに関してはカロウス兄さんもあまり興味を持ってないかも。
「そういう訳だから、近々そっちの方から誘いがあるかもしれねぇな」
「えっ!!!??? それは困るというか、リアルス団長の方から、なんとか言っておいてくれませんか?」
「いやぁ~、なぁ~~~……俺もラガスもうちに誘いたい気持ちは十分に解かるからな。俺が言っても説得力がないっつーか、あまり効果はないと思うぜ」
……強者から好感を持たれるのは嬉しいが、あまりハンター以外からの勧誘を受けるのは、そろそろ勘弁だな。
35
お気に入りに追加
3,493
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
私が産まれる前に消えた父親が、隣国の皇帝陛下だなんて聞いてない
丙 あかり
ファンタジー
ハミルトン侯爵家のアリスはレノワール王国でも有数の優秀な魔法士で、王立学園卒業後には婚約者である王太子との結婚が決まっていた。
しかし、王立学園の卒業記念パーティーの日、アリスは王太子から婚約破棄を言い渡される。
王太子が寵愛する伯爵令嬢にアリスが嫌がらせをし、さらに魔法士としては禁忌である『魔法を使用した通貨偽造』という理由で。
身に覚えがないと言うアリスの言葉に王太子は耳を貸さず、国外追放を言い渡す。
翌日、アリスは実父を頼って隣国・グランディエ帝国へ出発。
パーティーでアリスを助けてくれた帝国の貴族・エリックも何故か同行することに。
祖父のハミルトン侯爵は爵位を返上して王都から姿を消した。
アリスを追い出せたと喜ぶ王太子だが、激怒した国王に吹っ飛ばされた。
「この馬鹿息子が!お前は帝国を敵にまわすつもりか!!」
一方、帝国で仰々しく迎えられて困惑するアリスは告げられるのだった。
「さあ、貴女のお父君ーー皇帝陛下のもとへお連れ致しますよ、お姫様」と。
******
週3日更新です。
悪役令嬢は蚊帳の外です。
豆狸
ファンタジー
「グローリア。ここにいるシャンデは隣国ツヴァイリングの王女だ。隣国国王の愛妾殿の娘として生まれたが、王妃によって攫われ我がシュティーア王国の貧民街に捨てられた。侯爵令嬢でなくなった貴様には、これまでのシャンデに対する暴言への不敬罪が……」
「いえ、違います」
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
夫婦で異世界に召喚されました。夫とすぐに離婚して、私は人生をやり直します
もぐすけ
ファンタジー
私はサトウエリカ。中学生の息子を持つアラフォーママだ。
子育てがひと段落ついて、結婚生活に嫌気がさしていたところ、夫婦揃って異世界に召喚されてしまった。
私はすぐに夫と離婚し、異世界で第二の人生を楽しむことにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる