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やっぱり狙ってた
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偶然? それとも、俺たちが今日ここに来るって知ってて、タイミングを狙って食堂に来た?
「騎士の方々を相手に、模擬戦の連続、ですか」
「簡単に言うとそうですね」
訓練というよりも、実戦に近い感覚で戦って、経験数を重ねることが目的。
「それであれば、私たちの方とも行いませんか?」
「へ?」
「騎士を相手にするだけでは、経験が偏ってしまうでしょう。それに、私たちとしても近中距離のバランスが取れた相手との模擬戦は貴重ですからね」
そう言われると悪い気はしないけど……でも、騎士の方々からの視線が少々痛い。
「おいフリージア、先にラガスたちに声を掛けたのは騎士団だぞ」
「えぇ、それは勿論解っていますよ。ですから、提案しただけじゃないですか。こちらの方だけで模擬戦をしましょうと、強制しようとしている訳ではありません」
「……」
フリージアさんの言葉に、リアルス団長は押し黙った。
確かに、言葉だけ聞くと強制はしてない。
強制はしてないけど……ちょこっと圧を感じる。
こう、騎士団の者たちと模擬戦するのであれば、うちの者たちとも模擬戦してくれますよね? 的な圧が薄っすらと……だが、明確に感じる。
「どうですか、ラガス君。言い経験になると思いますよ」
「そ、それはそうですね」
どちらからとも圧を感じるので、サクッと良い感じの答えが出てこない。
シュラやメリルに助けを求めるが、無理ですと返された。
「えっと、その……では、また別の日に、そちらにお邪魔しますね」
「楽しみに待ってます。それでは」
……本当に俺に声を掛けて、そういう約束を取り付けに来ただけみたいだな。
話が終わったら、あっさりと食堂から出て行った。
「その、すいません」
「別に謝ることじゃねぇよ。宮廷魔術師、もしくはそっちの新人たちと模擬戦出来るのも、お前らにとっては良い経験になるのは間違いない」
言葉ではそう言ってますけど、不満が思いっきり表情に出てますよ。
「でも、ラガス君にとって良い経験にはなるかもしれませんが、あまり学べることはないのではありませんか?」
「そうっすよ。ラガスの遠距離武器は魔弾なんすから、あいつらから学べることは、あんまり多くないと思うっすよ」
騎士の人たちは、あまり宮廷魔術師団の人たちと仲が良くないのか?
それとも、単純にいきなり横から俺らと模擬戦出来る機会を奪ってったのが気に入らないのか?
ん~~……それはさすがに自意識過剰か。
「ばか、その良い経験がラガスたちにとって学びになるだろ。癪だが、あっちでの模擬戦でしか学べないことだってある筈だ」
不満はあるが、仕方ない。
それが団長であるリアルスさんを含む、騎士さんたちの意見だった。
「んじゃ、また来いよ。いつもで大歓迎だからな」
「はい! また来ます」
昼食を食べ終えた後、また連続模擬戦を再開。
相手が強者からそれなりに戦える人に変わる時、午前の反省を生かして力を抑えることに集中した。
そしたら、手痛いダメージを食らいそうになった。
別に油断してた訳じゃない。
そうじゃないんだが……認識が甘かったと言うべきなのかな。
騎士になって数年の人たちも、騎士になるという高い壁を超えた人たち。
そんな人たちの模擬戦で、怪我をさせないように力を抑えようという考えが甘かった……温かった。
殺気とか強烈な戦意は要らない。
でも、絶対に倒すという意志は必要だった。
別にドラゴンソウルやラビットフットとか、強化アビリティを重ねて発動する訳ではない。
一定の縛りの中で、目の前の騎士たちを全力で倒す。
急所をぶった斬ったりしなければ良いんだが、変に気を使う必要はない。
とある一戦でそれに気付かされ、意識を切り替えて次の模擬戦に臨んだ。
そしたら……帰るまでに、十人以上は治癒師さんが、少々慌てて傷を癒すダメージを与えてしまった。
「騎士の方々を相手に、模擬戦の連続、ですか」
「簡単に言うとそうですね」
訓練というよりも、実戦に近い感覚で戦って、経験数を重ねることが目的。
「それであれば、私たちの方とも行いませんか?」
「へ?」
「騎士を相手にするだけでは、経験が偏ってしまうでしょう。それに、私たちとしても近中距離のバランスが取れた相手との模擬戦は貴重ですからね」
そう言われると悪い気はしないけど……でも、騎士の方々からの視線が少々痛い。
「おいフリージア、先にラガスたちに声を掛けたのは騎士団だぞ」
「えぇ、それは勿論解っていますよ。ですから、提案しただけじゃないですか。こちらの方だけで模擬戦をしましょうと、強制しようとしている訳ではありません」
「……」
フリージアさんの言葉に、リアルス団長は押し黙った。
確かに、言葉だけ聞くと強制はしてない。
強制はしてないけど……ちょこっと圧を感じる。
こう、騎士団の者たちと模擬戦するのであれば、うちの者たちとも模擬戦してくれますよね? 的な圧が薄っすらと……だが、明確に感じる。
「どうですか、ラガス君。言い経験になると思いますよ」
「そ、それはそうですね」
どちらからとも圧を感じるので、サクッと良い感じの答えが出てこない。
シュラやメリルに助けを求めるが、無理ですと返された。
「えっと、その……では、また別の日に、そちらにお邪魔しますね」
「楽しみに待ってます。それでは」
……本当に俺に声を掛けて、そういう約束を取り付けに来ただけみたいだな。
話が終わったら、あっさりと食堂から出て行った。
「その、すいません」
「別に謝ることじゃねぇよ。宮廷魔術師、もしくはそっちの新人たちと模擬戦出来るのも、お前らにとっては良い経験になるのは間違いない」
言葉ではそう言ってますけど、不満が思いっきり表情に出てますよ。
「でも、ラガス君にとって良い経験にはなるかもしれませんが、あまり学べることはないのではありませんか?」
「そうっすよ。ラガスの遠距離武器は魔弾なんすから、あいつらから学べることは、あんまり多くないと思うっすよ」
騎士の人たちは、あまり宮廷魔術師団の人たちと仲が良くないのか?
それとも、単純にいきなり横から俺らと模擬戦出来る機会を奪ってったのが気に入らないのか?
ん~~……それはさすがに自意識過剰か。
「ばか、その良い経験がラガスたちにとって学びになるだろ。癪だが、あっちでの模擬戦でしか学べないことだってある筈だ」
不満はあるが、仕方ない。
それが団長であるリアルスさんを含む、騎士さんたちの意見だった。
「んじゃ、また来いよ。いつもで大歓迎だからな」
「はい! また来ます」
昼食を食べ終えた後、また連続模擬戦を再開。
相手が強者からそれなりに戦える人に変わる時、午前の反省を生かして力を抑えることに集中した。
そしたら、手痛いダメージを食らいそうになった。
別に油断してた訳じゃない。
そうじゃないんだが……認識が甘かったと言うべきなのかな。
騎士になって数年の人たちも、騎士になるという高い壁を超えた人たち。
そんな人たちの模擬戦で、怪我をさせないように力を抑えようという考えが甘かった……温かった。
殺気とか強烈な戦意は要らない。
でも、絶対に倒すという意志は必要だった。
別にドラゴンソウルやラビットフットとか、強化アビリティを重ねて発動する訳ではない。
一定の縛りの中で、目の前の騎士たちを全力で倒す。
急所をぶった斬ったりしなければ良いんだが、変に気を使う必要はない。
とある一戦でそれに気付かされ、意識を切り替えて次の模擬戦に臨んだ。
そしたら……帰るまでに、十人以上は治癒師さんが、少々慌てて傷を癒すダメージを与えてしまった。
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