618 / 989
落ちる才能もある
しおりを挟む
どうなるか、正直解らない……不安な気持ちの方が大きかったが、実際に戦いぶりを見てみると、そうでもなかった。
「……皆、意外と戦えてるな」
「そうですね。コンビネーション不足が強いと感じるペアは、今のところいませんね」
メリルの言う通り、先程までの不安かは消えていた。
三年生は今まで大会の舞台で戦う様子を観てきた、もしくは実際に戦ったことがあるからか、本当に良く動けてるな。
セリスとレアードに関しては本当に文句がない。
イーリスとペアを組む生徒はちょっと可哀想かも……と思っていたが、ペアを組むことになった生徒はまさかのリーベ。
しかし……予想外な事に、イーリスは自身の攻撃を行いながらも、しっかりとリーベをサポート出来ていた。
リーベは普段から気を使える奴だから、初めての本格的なタッグ戦でも上手く戦えると思ってたけど、イーリスがあれだけ上手く戦えるとは……そういう面も成長してるんだな、イーリスのやつ。
スレイドはフローラさんがパートナーじゃないからか、少しやり辛そうだったけど……大きな問題があるようには思えないな。
「三年生は勿論、一年生や二年生も優秀ですね」
「そうだな……落選させるのが勿体ないと思ってしまうな」
戦争ではないが、国と国がぶつかり合う大会。
その大会に選出するメンバーを選ぶのに、妥協してはならない。
落さなければならない才能もあるってことか。
個人戦、ダブルス以外にも大会項目はあるが、とりえず今日のところ終了。
俺たちは選考に参加した生徒たちを評価した紙をお二人に渡し、帰ろうとしたら……捕まった。
「さぁ、好きなだけ食べてくれ!!!」
「遠慮する必要はありませんよ」
お二人に連れていかれた場所は、王都でも有名な高級レストラン。
料理だけではなく内装や、景色も抜群……ルーフェイスにも好きなだけ食べてさせて構わないと言われたので、断れなかった。
ちなみに、ルーフェイスは使者の方から頼まれた通り、騎士たちの訓練相手を行っていた。
使者の方からざっくりと聞いた話だと、殆どの模擬戦でルーフェイスが圧勝したらしい。
話を聞いたとき、失礼かもしれないが、それはそうだろうなと思ってしまった。
だって、ルーフェイスはまだ子供とはいえ、立派なAランクのモンスター。
加えて……人や武器を使った相手との戦闘は、俺たち何十、何百と繰り返しているので慣れたもの。
階級や実力も上の人になってくると、さすがに楽勝とはいかなかったようだが、結果的にはルーフェイスが勝利を収めたと聞いた。
まっ、ガチ勝負だったらどうなるかは解らないけど……そうなった時、力を発揮するのはルーフェイスも一緒だからな。
「あの……ご飯を奢ってくれるのは嬉しいんですが、選考の方は大丈夫なんですか?」
「あぁ、うちの頭が回る奴に回してる。後で俺も戻ってからしっかりチェックするがな」
「私も同じです。最終確認はしますが、そういうのが得意な者にまず見てもらった方が早いですからね」
……間違ったことは言ってない気がするけど、それは……それを押し付けられた頭の回る人? が可哀想な気がしてきた。
「おっと、そういえば先に聞いておかないとな」
「何をですか?」
「ラガスたちは、大会までに何か用事はあるか」
「いえ、特にありませんけど」
「よし! それなら、合宿に参加してほしい。勿論、セルシアたちもだ」
……合宿? えっと…………なるほど、そういう事か。
うん、良い提案だと思う。思うんだが……もう少し前もって教えてほしかった。
これに関しては、国王陛下からの手紙にも記載されてなかった。
「合宿……面白、そう」
セルシアさんはノリノリようだし、個人的にも面白そうだと思う。
断る理由はない。
「分かりました」
二人からの申し出を了承し、数日後に再び王城へ行くこととなった。
因みに……俺やシュラたちもそこそこの量を食べたが、ルーフェイスが遠慮なしに高級料理を食べまくったので、二人の懐がかなり冷え切ってしまった。
本当にご馳走様でした。
「……皆、意外と戦えてるな」
「そうですね。コンビネーション不足が強いと感じるペアは、今のところいませんね」
メリルの言う通り、先程までの不安かは消えていた。
三年生は今まで大会の舞台で戦う様子を観てきた、もしくは実際に戦ったことがあるからか、本当に良く動けてるな。
セリスとレアードに関しては本当に文句がない。
イーリスとペアを組む生徒はちょっと可哀想かも……と思っていたが、ペアを組むことになった生徒はまさかのリーベ。
しかし……予想外な事に、イーリスは自身の攻撃を行いながらも、しっかりとリーベをサポート出来ていた。
リーベは普段から気を使える奴だから、初めての本格的なタッグ戦でも上手く戦えると思ってたけど、イーリスがあれだけ上手く戦えるとは……そういう面も成長してるんだな、イーリスのやつ。
スレイドはフローラさんがパートナーじゃないからか、少しやり辛そうだったけど……大きな問題があるようには思えないな。
「三年生は勿論、一年生や二年生も優秀ですね」
「そうだな……落選させるのが勿体ないと思ってしまうな」
戦争ではないが、国と国がぶつかり合う大会。
その大会に選出するメンバーを選ぶのに、妥協してはならない。
落さなければならない才能もあるってことか。
個人戦、ダブルス以外にも大会項目はあるが、とりえず今日のところ終了。
俺たちは選考に参加した生徒たちを評価した紙をお二人に渡し、帰ろうとしたら……捕まった。
「さぁ、好きなだけ食べてくれ!!!」
「遠慮する必要はありませんよ」
お二人に連れていかれた場所は、王都でも有名な高級レストラン。
料理だけではなく内装や、景色も抜群……ルーフェイスにも好きなだけ食べてさせて構わないと言われたので、断れなかった。
ちなみに、ルーフェイスは使者の方から頼まれた通り、騎士たちの訓練相手を行っていた。
使者の方からざっくりと聞いた話だと、殆どの模擬戦でルーフェイスが圧勝したらしい。
話を聞いたとき、失礼かもしれないが、それはそうだろうなと思ってしまった。
だって、ルーフェイスはまだ子供とはいえ、立派なAランクのモンスター。
加えて……人や武器を使った相手との戦闘は、俺たち何十、何百と繰り返しているので慣れたもの。
階級や実力も上の人になってくると、さすがに楽勝とはいかなかったようだが、結果的にはルーフェイスが勝利を収めたと聞いた。
まっ、ガチ勝負だったらどうなるかは解らないけど……そうなった時、力を発揮するのはルーフェイスも一緒だからな。
「あの……ご飯を奢ってくれるのは嬉しいんですが、選考の方は大丈夫なんですか?」
「あぁ、うちの頭が回る奴に回してる。後で俺も戻ってからしっかりチェックするがな」
「私も同じです。最終確認はしますが、そういうのが得意な者にまず見てもらった方が早いですからね」
……間違ったことは言ってない気がするけど、それは……それを押し付けられた頭の回る人? が可哀想な気がしてきた。
「おっと、そういえば先に聞いておかないとな」
「何をですか?」
「ラガスたちは、大会までに何か用事はあるか」
「いえ、特にありませんけど」
「よし! それなら、合宿に参加してほしい。勿論、セルシアたちもだ」
……合宿? えっと…………なるほど、そういう事か。
うん、良い提案だと思う。思うんだが……もう少し前もって教えてほしかった。
これに関しては、国王陛下からの手紙にも記載されてなかった。
「合宿……面白、そう」
セルシアさんはノリノリようだし、個人的にも面白そうだと思う。
断る理由はない。
「分かりました」
二人からの申し出を了承し、数日後に再び王城へ行くこととなった。
因みに……俺やシュラたちもそこそこの量を食べたが、ルーフェイスが遠慮なしに高級料理を食べまくったので、二人の懐がかなり冷え切ってしまった。
本当にご馳走様でした。
46
お気に入りに追加
3,501
あなたにおすすめの小説
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

落ちこぼれ公爵令息の真実
三木谷夜宵
ファンタジー
ファレンハート公爵の次男セシルは、婚約者である王女ジェニエットから婚約破棄を言い渡される。その隣には兄であるブレイデンの姿があった。セシルは身に覚えのない容疑で断罪され、魔物が頻繁に現れるという辺境に送られてしまう。辺境の騎士団の下働きとして物資の輸送を担っていたセシルだったが、ある日拠点の一つが魔物に襲われ、多数の怪我人が出てしまう。物資が足らず、騎士たちの応急処置ができない状態に陥り、セシルは祈ることしかできなかった。しかし、そのとき奇跡が起きて──。
設定はわりとガバガバだけど、楽しんでもらえると嬉しいです。
投稿している他の作品との関連はありません。
カクヨムにも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる