616 / 954
断られ続けている
しおりを挟む
「突然の訪問、申し訳ありません」
大会が終わってから二日後、休日の朝……丁度朝食を食べ終わったぐらいのタイミングで、王城からの使者が来た。
「ラガス様、セルシア様たちには是非とも、国際大会に出場する選手の選抜参考人として、今から王城に来ていただければと」
選手の選抜参考人……俺たちが?
「それは……面白そうですけど、俺とセルシアは選考する側なんですか?」
「勿論です。学生のツートップであるお二人は、既に出場する選手として内定していますので」
自分で思うのはちょっとあれだけど、当然と言えば当然の結果。
「俺は特に予定はないんで、大丈夫ですけど……」
「私も、特に、予定はない、よ」
「大丈夫みたいです」
メリルやシュラの方をチラッと見たが、どうやらそちらも特に予定はない様子。
「ありがとうございます」
使者の方に深々と頭を下げられ、馬車に案内され……いざ、王城へと向かう。
因みに、馬車の中でルーフェイスを騎士たちの訓練相手に借りたいと言われ、報酬として白金貨数十枚を渡された。
騎士団としても、珍しい竜種の狼竜と戦えるならばと、報酬を惜しまなかったようだ。
『そんな感じの提案をされたんだけど、どう?』
『騎士って、ドレッグやオルアたちみたいに強いんだよね』
『多分強いと思うぞ』
『なら、受けても良いよ』
という訳で、騎士団から提案された内容を承諾。
白金貨数十枚は、全てルーフェイスの食費に使うと決めた。
そして王城に到着してから、ルーフェイスとは一旦お別れ。
使者の方に言葉が通じると伝えているので、特に問題が起こることはないだろう。
てか、問題が起こっても国王陛下がもみ潰してくれるだろう……多分。
「おぅ、初めましての面子もいるな」
特別部屋? 的なところに案内されると、部屋の中には二人の男性がいた。
「そうですね。今日はよろしくお願いします」
セルシアが対面ありか? 俺は目の前の二人とは初対面だが……素性は知っている。
「第一騎士団長のリアルス・アンディーグだ。よろしくな!!!」
「宮廷魔術師の団長を務めるフリージア・二ルーナです」
真紅色の短髪、ワイルドな顔を持つ体格の良い武人さん? と、白髪のロングストレートで良い感じに歳を取ってる清楚イケメンな宮廷魔術師の長。
この場に二人がいるってことは、この方たちと一緒に選考を行うってことだよな。
「ラガス・リゼードです。今日はよろしくお願いします」
「セルシア・ロウレットです。よろしくお願いします」
「んじゃ、始まるまでそこに座ってゆっくりくつろいでてくれ」
「紅茶を用意しましょう」
促されたイス……の前は、ガラス張りになっており、視線の先には広い広い訓練場がある。
「どうぞ」
シュラたちの分も用意され、有難く頂く。
「美味しいです」
何故宮廷魔術師の長がこんなに美味しいお茶を淹れられるのか? という疑問はあるが、本当に上手い。
「それは良かったです。ところで……お二人は、本当に騎士団に入らないのですか?」
「おぅ、そうだぜ。騎士団長の俺としては、是非とも二人に……そっちの従者たちにも入団してほしいんだけどな」
いきなりのお誘い!
嬉しいのは嬉しいんだが、丁寧にお断りさせていただく。
「すいません、俺たちはハンターの道に進むと決めているので」
「同じく」
「だよな~。二年前にお前の兄を誘ったんだけどよ、同じ言葉を返されたぜ」
「私もクレアさんをお誘いしたのですが、あっさりと断られてしまいました」
流石アリクとクレア姉さん。
ロウド兄さんとクローナ姉さんもハンターの道に進んだし……結果的に、騎士団とかに入ったのはカロウス兄さんだけか。
「なぁ、弟や妹もハンターになるって言ってるのか?」
「今のところ、そちらの方面に進もうとしてますね」
「はぁ~~~、やっぱりか。いや、そういうのは本人が決めることだから、仕方ないっちゃ仕方ないんだけどよ」
「その気持ち、良く解りますよ。リアルス」
……な、なんかすいません。
二人に対してちょっと申し訳ない気持ちになってると、訓練場にぞろぞろと候補の生徒たちが入ってきた。
大会が終わってから二日後、休日の朝……丁度朝食を食べ終わったぐらいのタイミングで、王城からの使者が来た。
「ラガス様、セルシア様たちには是非とも、国際大会に出場する選手の選抜参考人として、今から王城に来ていただければと」
選手の選抜参考人……俺たちが?
「それは……面白そうですけど、俺とセルシアは選考する側なんですか?」
「勿論です。学生のツートップであるお二人は、既に出場する選手として内定していますので」
自分で思うのはちょっとあれだけど、当然と言えば当然の結果。
「俺は特に予定はないんで、大丈夫ですけど……」
「私も、特に、予定はない、よ」
「大丈夫みたいです」
メリルやシュラの方をチラッと見たが、どうやらそちらも特に予定はない様子。
「ありがとうございます」
使者の方に深々と頭を下げられ、馬車に案内され……いざ、王城へと向かう。
因みに、馬車の中でルーフェイスを騎士たちの訓練相手に借りたいと言われ、報酬として白金貨数十枚を渡された。
騎士団としても、珍しい竜種の狼竜と戦えるならばと、報酬を惜しまなかったようだ。
『そんな感じの提案をされたんだけど、どう?』
『騎士って、ドレッグやオルアたちみたいに強いんだよね』
『多分強いと思うぞ』
『なら、受けても良いよ』
という訳で、騎士団から提案された内容を承諾。
白金貨数十枚は、全てルーフェイスの食費に使うと決めた。
そして王城に到着してから、ルーフェイスとは一旦お別れ。
使者の方に言葉が通じると伝えているので、特に問題が起こることはないだろう。
てか、問題が起こっても国王陛下がもみ潰してくれるだろう……多分。
「おぅ、初めましての面子もいるな」
特別部屋? 的なところに案内されると、部屋の中には二人の男性がいた。
「そうですね。今日はよろしくお願いします」
セルシアが対面ありか? 俺は目の前の二人とは初対面だが……素性は知っている。
「第一騎士団長のリアルス・アンディーグだ。よろしくな!!!」
「宮廷魔術師の団長を務めるフリージア・二ルーナです」
真紅色の短髪、ワイルドな顔を持つ体格の良い武人さん? と、白髪のロングストレートで良い感じに歳を取ってる清楚イケメンな宮廷魔術師の長。
この場に二人がいるってことは、この方たちと一緒に選考を行うってことだよな。
「ラガス・リゼードです。今日はよろしくお願いします」
「セルシア・ロウレットです。よろしくお願いします」
「んじゃ、始まるまでそこに座ってゆっくりくつろいでてくれ」
「紅茶を用意しましょう」
促されたイス……の前は、ガラス張りになっており、視線の先には広い広い訓練場がある。
「どうぞ」
シュラたちの分も用意され、有難く頂く。
「美味しいです」
何故宮廷魔術師の長がこんなに美味しいお茶を淹れられるのか? という疑問はあるが、本当に上手い。
「それは良かったです。ところで……お二人は、本当に騎士団に入らないのですか?」
「おぅ、そうだぜ。騎士団長の俺としては、是非とも二人に……そっちの従者たちにも入団してほしいんだけどな」
いきなりのお誘い!
嬉しいのは嬉しいんだが、丁寧にお断りさせていただく。
「すいません、俺たちはハンターの道に進むと決めているので」
「同じく」
「だよな~。二年前にお前の兄を誘ったんだけどよ、同じ言葉を返されたぜ」
「私もクレアさんをお誘いしたのですが、あっさりと断られてしまいました」
流石アリクとクレア姉さん。
ロウド兄さんとクローナ姉さんもハンターの道に進んだし……結果的に、騎士団とかに入ったのはカロウス兄さんだけか。
「なぁ、弟や妹もハンターになるって言ってるのか?」
「今のところ、そちらの方面に進もうとしてますね」
「はぁ~~~、やっぱりか。いや、そういうのは本人が決めることだから、仕方ないっちゃ仕方ないんだけどよ」
「その気持ち、良く解りますよ。リアルス」
……な、なんかすいません。
二人に対してちょっと申し訳ない気持ちになってると、訓練場にぞろぞろと候補の生徒たちが入ってきた。
34
お気に入りに追加
3,490
あなたにおすすめの小説
私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす
公爵令嬢はアホ係から卒業する
依智川ゆかり
ファンタジー
『エルメリア・バーンフラウト! お前との婚約を破棄すると、ここに宣言する!!」
婚約相手だったアルフォード王子からそんな宣言を受けたエルメリア。
そんな王子は、数日後バーンフラウト家にて、土下座を披露する事になる。
いや、婚約破棄自体はむしろ願ったり叶ったりだったんですが、あなた本当に分かってます?
何故、私があなたと婚約する事になったのか。そして、何故公爵令嬢である私が『アホ係』と呼ばれるようになったのか。
エルメリアはアルフォード王子……いや、アホ王子に話し始めた。
彼女が『アホ係』となった経緯を、嘘偽りなく。
*『小説家になろう』でも公開しています。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない
猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。
まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。
ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。
財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。
なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。
※このお話は、日常系のギャグです。
※小説家になろう様にも掲載しています。
※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる