611 / 989
案外良い刺激になった?
しおりを挟む
イーリスたちと別れた俺は……予定通り、実家に帰った。
そして実家に帰ってから一週間後ぐらいに、リザード公爵様からお礼の手紙と約束の黒曜金貨二枚と大量の重変石が届いた。
実家に帰ってからは、しばしば休息を取る……なんてことにはならず、レアードとセリスたちに模擬戦をせがまれる日々が続く。
学園に入学してから色んな事があり過ぎたからか、今年の冬はなるべくのんびり過ごしたいという思いがあった。
一応一日の間に体を動かしはすれど、魔靴や他のマジックアイテムの制作に時間を使おうと考えていた。
「今日こそ勝つよ、セリス」
「えぇ、今日こそ倒して見せる!!」
意気揚々と声を張る二人の前に立つのは……そう、俺。
メリルに頼んで二度寝をし、少し遅めの朝食を食べてから、ポーション造りに励もうと思っていたが、二人に引きずり出された。
お前たち、勉強の方は良いのか?
と尋ねたいところだが、それを尋ねたところで二人からの模擬戦を逃れられるとは思えない。
軽く準備運動を終えた後、実家に帰ってきてから何度目になるか分からない一対二の模擬戦を始める。
メリルが模擬戦開始の合図を行い、二人が勢い良く走り出し、俺に向けて木剣と棍棒を振るう。
こうして模擬戦をすると、二人が半年前と比べてまた強くなっているのが解る。
セリスの剣は一段と鋭さが増してる。
魔力を纏わずとも、木剣でスパッと斬れそうだ。
レアードに関しても……お前、基本的に後衛だろ?
クレア姉さんやクローナ姉さんが後衛職でも前に出て戦える戦法を行ってるから、自分もそれに習おうとするのは解るが……もう、完全に見劣りしないレベルだ。
それにコンビネーションも以前と比べて上がってるな……まさに以心伝心って感じだ。
二人がダブルスの大会に出場したら、絶対に同級生のダブルスがボコボコにされる。
いや、同級生じゃなくても一つ上……もしかしたら、二つ歳上のダブルスが相手でも、レベルによっては勝ってしまいそうだな。
「っ、もう少し、本気で、やってよ!!!」
「っと、すまんすまん」
考え事しながら対応してたのがあっさりバレてしまった。
全力でやってとは言わないあたり、本当に俺が全力を出したらどうなるかは理解してるな。
感心感心。
とりあえず身体強化のアビリティを使って、身体能力を一段上昇させる。
そして言われた通り少し本気を出すので、受け一辺倒から六割ぐらい攻めを意識した戦闘スタイルに変更。
「はっ!!」
すると、直ぐにレアードが棍棒による物理攻撃だけではなく、攻撃魔法を使って攻め始めてきた。
ボール系の攻撃魔法を的確にぶつけてくる。
当然躱すか弾くけど、その行動を予測してセリスが斬りかかってくる。
セリスも木剣に魔力を纏い、強度を上げ……身体強化を使っていても、その一撃を今の状態で食らうと、少々痛いな。
攻撃魔法も使うようになったため、レアードの物理攻撃の精度が少し落ちるが、そこはセリスが頑張って動いてカバーする。
多分……というか、どう見ても即席の動きじゃない。
兵士や騎士たち相手に散々試したんだろうな。
それに付き合わされる者たちの事を思うと……案外、まだまだ子供たちには負けられないと、ケツに火がついて本人にとって良い切っ掛けになったかも。
結局頭の中で考え事をしてしまってるな。
二人とも強く放っているが、まだまだシュラやメリルの様に模擬戦の最中に俺をヒヤッとさせることはない……なんて余裕が零れそうになったタイミングで、セリスが魔闘気を纏い始めた。
おいおいお~~い、いくらなんでも成長し過ぎじゃないか!!??
レアードもボール系だけではなく、途中からアローやランス系の攻撃も混ぜ始め、最終的には魔弾も攻撃手段として使い、今日も兄としての威厳を守ることが出来た。
……やっぱり、疲れたから、寒いからって引き籠ろう精神になるのは良くないかもな。
そして実家に帰ってから一週間後ぐらいに、リザード公爵様からお礼の手紙と約束の黒曜金貨二枚と大量の重変石が届いた。
実家に帰ってからは、しばしば休息を取る……なんてことにはならず、レアードとセリスたちに模擬戦をせがまれる日々が続く。
学園に入学してから色んな事があり過ぎたからか、今年の冬はなるべくのんびり過ごしたいという思いがあった。
一応一日の間に体を動かしはすれど、魔靴や他のマジックアイテムの制作に時間を使おうと考えていた。
「今日こそ勝つよ、セリス」
「えぇ、今日こそ倒して見せる!!」
意気揚々と声を張る二人の前に立つのは……そう、俺。
メリルに頼んで二度寝をし、少し遅めの朝食を食べてから、ポーション造りに励もうと思っていたが、二人に引きずり出された。
お前たち、勉強の方は良いのか?
と尋ねたいところだが、それを尋ねたところで二人からの模擬戦を逃れられるとは思えない。
軽く準備運動を終えた後、実家に帰ってきてから何度目になるか分からない一対二の模擬戦を始める。
メリルが模擬戦開始の合図を行い、二人が勢い良く走り出し、俺に向けて木剣と棍棒を振るう。
こうして模擬戦をすると、二人が半年前と比べてまた強くなっているのが解る。
セリスの剣は一段と鋭さが増してる。
魔力を纏わずとも、木剣でスパッと斬れそうだ。
レアードに関しても……お前、基本的に後衛だろ?
クレア姉さんやクローナ姉さんが後衛職でも前に出て戦える戦法を行ってるから、自分もそれに習おうとするのは解るが……もう、完全に見劣りしないレベルだ。
それにコンビネーションも以前と比べて上がってるな……まさに以心伝心って感じだ。
二人がダブルスの大会に出場したら、絶対に同級生のダブルスがボコボコにされる。
いや、同級生じゃなくても一つ上……もしかしたら、二つ歳上のダブルスが相手でも、レベルによっては勝ってしまいそうだな。
「っ、もう少し、本気で、やってよ!!!」
「っと、すまんすまん」
考え事しながら対応してたのがあっさりバレてしまった。
全力でやってとは言わないあたり、本当に俺が全力を出したらどうなるかは理解してるな。
感心感心。
とりあえず身体強化のアビリティを使って、身体能力を一段上昇させる。
そして言われた通り少し本気を出すので、受け一辺倒から六割ぐらい攻めを意識した戦闘スタイルに変更。
「はっ!!」
すると、直ぐにレアードが棍棒による物理攻撃だけではなく、攻撃魔法を使って攻め始めてきた。
ボール系の攻撃魔法を的確にぶつけてくる。
当然躱すか弾くけど、その行動を予測してセリスが斬りかかってくる。
セリスも木剣に魔力を纏い、強度を上げ……身体強化を使っていても、その一撃を今の状態で食らうと、少々痛いな。
攻撃魔法も使うようになったため、レアードの物理攻撃の精度が少し落ちるが、そこはセリスが頑張って動いてカバーする。
多分……というか、どう見ても即席の動きじゃない。
兵士や騎士たち相手に散々試したんだろうな。
それに付き合わされる者たちの事を思うと……案外、まだまだ子供たちには負けられないと、ケツに火がついて本人にとって良い切っ掛けになったかも。
結局頭の中で考え事をしてしまってるな。
二人とも強く放っているが、まだまだシュラやメリルの様に模擬戦の最中に俺をヒヤッとさせることはない……なんて余裕が零れそうになったタイミングで、セリスが魔闘気を纏い始めた。
おいおいお~~い、いくらなんでも成長し過ぎじゃないか!!??
レアードもボール系だけではなく、途中からアローやランス系の攻撃も混ぜ始め、最終的には魔弾も攻撃手段として使い、今日も兄としての威厳を守ることが出来た。
……やっぱり、疲れたから、寒いからって引き籠ろう精神になるのは良くないかもな。
46
お気に入りに追加
3,501
あなたにおすすめの小説
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。
まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。
だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥
たまにやりたくなる短編。
ちょっと連載作品
「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる