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それを使っても、無意味

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見張はルーフェイスやシュラ、ルーノさんたちが交代で行ってくれたので、俺とセルシア、イーリスとラージュさんはぐっすり寝ることが出来た。

それは非常に有難かったんだけど……今日は、やや風がある。
加えて、雪も降っているので視界がちょっとよろしくない。

「っち。くそ面倒だな」

「だな……まぁ、吹雪じゃないだけ良いと思うぞ」

「そうっすね」

シュラがイラつくのも解る。
今まで運良く雪は降っても、風はなかった。

環境がちょっと変わるだけで、かなり厄介に感じる。

『ラガス、前と右側から敵が来たよ!』

『オッケー……ルーフェイス、前方の敵を頼んだ』

『任せて!!』

正面からはスノーパンサーと右側からはスノーベアーが俺たちを狙ってきた。
もしかしてこいつら、組んで俺たちを狙ってるのか?

あり得そうな気がしなくもないけど……今はそんなのどうでも良いか。
ちゃちゃっとスノーベアーを仕留めよう。

「一体は俺が仕留める。もう一体は誰か頼む」

「それでは僕が行きましょう」

俺の頼みに素早くルーノさんが反応してくれた。
夜中、俺たちの為に見張りをしてくれってたのに……全く疲れを感じさせない動きだ。

俺もしっかり動かないとな、と思いながら回転を加えて貫通力強化を加えた魔弾を発射。
当然、スノーベアーは魔弾に反応し、雪を纏った爪で落そうとしてきた。

しかし、そのタイミングで魔弾を加速して軌道を変更。

「ッ!?」

スノーベアーの剛腕は見事に空振り、放った魔弾は側頭部に命中し、そのまま貫いた。

本気で殺りにかかったので、スノーベアーぐらいなら瞬殺。
勿論、隣でスノーベアーと戦っているルーノさんも、あっさりとスノーベアーの剛腕が振るわれる前に槍で頭部を貫き、瞬殺。

イーリスの護衛という名目で付いてきてるだけあって、やっぱり優秀だな。

さて、解体は後でするとして、さっさと回収しよう。

「……ねぇ、あんたのそれズル過ぎるんじゃない」

「なんだよいきなり」

「だって……あっさり過ぎるでしょ」

確かにスノーベアーぐらいなら、魔弾一発で殺れる。
ただ、あれはスノーベアーの技術力? とか、経験が足りないからあっさり殺せるんだよな。

てか……自分があれだけ苦労してようやく倒せたのに、俺が一撃で倒せたのが気に入らないって顔だな。
凄い面倒な文句を吐き出してるわけじゃないから、別に気にはならんが。

「一応、ただの魔力の弾丸じゃなくて、魔弾というアビリティを使用してるからな。あと、魔力操作で魔弾を回転させて、貫通力強化の効果を付与してる。だからスノーベアーの頭を簡単に貫けたんだよ」

もっと戦い慣れたスノーベアーだったら、何かしら反応されてガードされたかもしれなかった。
運が良かったとも言えるな。

「……やっぱりズルいじゃない」

「色々と便利だから、その考えは否定しない。でも、俺はそのかわり属性魔法のアビリティを習得出来ないんだ」

「そういえばそうだったわね」

「お前が最初に突っ掛かってきたのも、それが理由だろ」

「……悪かったわね」

おっと、虐めるつもりはなかったけど、つい出てしまった。

正確には音魔法のアビリティを持っているが、基本属性である五大アビリティはどう頑張っても習得出来ない。
そこから発展するアビリティも、勿論習得なんて不可能。

アビリティ結晶を使えば、習得は出来るんだろうが……過去の例を調べた限り、絶対に上手く使えない。
多分だけど、そこは俺が転生者である点を考えても、変わらない現実の筈だ。

「イーリスだって、鍛えればCランクぐらいはソロで楽に殺れるようになるはずだと思うぞ」

「ラガスの、言う通り。ラガス、みたいに、魔力操作を鍛えれ、ば……多分、やれる」

「セルシア……そ、そうね。これかもっともっと鍛えるわ」

俺を例に出されたからか、友達に励まされても表情はちょっと複雑で……ふふ、堪えていないと笑ってしまう。

因みに、ルーフェイスも雪の中だろうが関係無く、一瞬でスノーパンサーに近づき、前足を頭上に振り下ろしてノックアウトさせた。
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