601 / 950
解る人だけに解る小さい変化
しおりを挟む
イーリスがとりあえず、壁を乗り越えることが出来たから、これからも宿に籠ってもらうことなく同行することが決定。
スノーベアーに関しては倒しやすい攻略法が見つかったけど、それを抜きにしても恐怖を感じる敵に思いっきり接近して攻撃をぶちかまし、最後は知恵を振り絞って倒した。
もうイーリスの動向にあれこれ言うつもりはない。
という訳で、もう面倒なことを考えずにベッドでごろごろ出来る。
「一安心、ですね。ラガス坊ちゃま」
「ん? イーリスの件に関してか?」
「えぇ、その通りです。あの戦いでスノーベアーに勝てなければ、リザード公爵様からの依頼が終わるまで宿に籠っていてももらう。その考え自体は悪くありませんでした」
だよな。
死なれた超困る……いや、困るどころの話じゃないもんな。
「ですが、それはそれで後々面倒事に繋がるかもしれません」
「はは……本当にそうだよな。んで、メリル的にはもう不満はない感じか?」
「不満とは?」
あれ? もしかしてあんまり自覚してなかった感じか?
「だって、昨日から結構不機嫌そうな顔でイーリスのことを見てたじゃん」
「……顔に出ていたでしょうか」
「いや、別にそんなにがっつり出てなかったと思うぞ。長い間一緒にいる俺やシュラぐらいしか気づかない変化だったな」
「そうですか」
本当に小さい変化だった。
キリアさんやルーン、リタさんたちも気付いてないだろう。
もしかしたらセルシアは気付いてたかもしれないけど、あの時のイーリスを考えれば、メリルがそういった表情になるのも無理はないと思うはずだ。
「ラガスさんの言う通りだ。別に気にする必要はないだろ」
「そうですね……もう考えるのは止めます」
「……メリルが不満になるのも解るけどな」
一応今回は壁を乗り越えたが、多分俺たちの中で一番実戦経験がないということには変わりない。
ヘイルタイガーやアイスドラゴンと遭遇した時は、申し訳ないが戦いに参加しないでしょ良いと願うばかりだ。
直接参加しないでくれって言えば良いだろって?
俺がそう言って従ってくれるなら、苦労はない。
ヘイルタイガーぐらいなら……いや、どうだろう?
スノーベアーの一つ上のBランクだから、堅くなさそうに見えて毛皮の防御力は上がってるだろう。
そう考えると、イーリスのアイスランスやジャベリンでダメージが入るか?
そもそも脚の速さ的に攻撃が当たるかどうかが不安だな。
「ラガスさん、一応イーリス様は壁を乗り越えたっすけど、目的のモンスターと戦う時には後ろに下がっててもらうっすよね」
「お、おぅ。一応そう考えてるけど、やっぱりそっちの方が良いよな」
「俺は絶対にそうしてもらうが方が良いと思うっす。ヘイルタイガーが相手ならそもそも攻撃が簡単に当たらない。アイスドラゴンが相手なら、当たっても本当に殆どダメージが入らないと思うんで」
……もっともなご意見だな。
セルシアならヘイルタイガーとの戦いでも付いてこれそうだから、参加してもらおうと考えてたんだが……セルシアが参加するなら、絶対に自分も参加するって言いそうだな。
「だよな~……せめて、ある程度火魔法を使えるならあれだけど……得意じゃないって言ってたし、本当に相性って大事だな」
「イーリス様に関してですが、本日のスノーベアー戦以降、少し大人しくなったように思えます。故に、ラガス坊ちゃまが強く言えば、言うことを聞くかと」
「そ、そうか? ルーノさんとリタさんに口裏を合わせてもらったら大丈夫な気がしなくもないが……そうだな。そういうのを伝える前に強敵と遭遇したら場が混乱するかもしれないし、先に伝えておくか」
部屋から出て二人の元に行くと、運良くイーリスはセルシアとの会話に夢中になっていたので、二人をこっそり呼び出すことに成功。
二人も俺たちと考えが同じ様だったので、直ぐに賛同してくれた。
スノーベアーに関しては倒しやすい攻略法が見つかったけど、それを抜きにしても恐怖を感じる敵に思いっきり接近して攻撃をぶちかまし、最後は知恵を振り絞って倒した。
もうイーリスの動向にあれこれ言うつもりはない。
という訳で、もう面倒なことを考えずにベッドでごろごろ出来る。
「一安心、ですね。ラガス坊ちゃま」
「ん? イーリスの件に関してか?」
「えぇ、その通りです。あの戦いでスノーベアーに勝てなければ、リザード公爵様からの依頼が終わるまで宿に籠っていてももらう。その考え自体は悪くありませんでした」
だよな。
死なれた超困る……いや、困るどころの話じゃないもんな。
「ですが、それはそれで後々面倒事に繋がるかもしれません」
「はは……本当にそうだよな。んで、メリル的にはもう不満はない感じか?」
「不満とは?」
あれ? もしかしてあんまり自覚してなかった感じか?
「だって、昨日から結構不機嫌そうな顔でイーリスのことを見てたじゃん」
「……顔に出ていたでしょうか」
「いや、別にそんなにがっつり出てなかったと思うぞ。長い間一緒にいる俺やシュラぐらいしか気づかない変化だったな」
「そうですか」
本当に小さい変化だった。
キリアさんやルーン、リタさんたちも気付いてないだろう。
もしかしたらセルシアは気付いてたかもしれないけど、あの時のイーリスを考えれば、メリルがそういった表情になるのも無理はないと思うはずだ。
「ラガスさんの言う通りだ。別に気にする必要はないだろ」
「そうですね……もう考えるのは止めます」
「……メリルが不満になるのも解るけどな」
一応今回は壁を乗り越えたが、多分俺たちの中で一番実戦経験がないということには変わりない。
ヘイルタイガーやアイスドラゴンと遭遇した時は、申し訳ないが戦いに参加しないでしょ良いと願うばかりだ。
直接参加しないでくれって言えば良いだろって?
俺がそう言って従ってくれるなら、苦労はない。
ヘイルタイガーぐらいなら……いや、どうだろう?
スノーベアーの一つ上のBランクだから、堅くなさそうに見えて毛皮の防御力は上がってるだろう。
そう考えると、イーリスのアイスランスやジャベリンでダメージが入るか?
そもそも脚の速さ的に攻撃が当たるかどうかが不安だな。
「ラガスさん、一応イーリス様は壁を乗り越えたっすけど、目的のモンスターと戦う時には後ろに下がっててもらうっすよね」
「お、おぅ。一応そう考えてるけど、やっぱりそっちの方が良いよな」
「俺は絶対にそうしてもらうが方が良いと思うっす。ヘイルタイガーが相手ならそもそも攻撃が簡単に当たらない。アイスドラゴンが相手なら、当たっても本当に殆どダメージが入らないと思うんで」
……もっともなご意見だな。
セルシアならヘイルタイガーとの戦いでも付いてこれそうだから、参加してもらおうと考えてたんだが……セルシアが参加するなら、絶対に自分も参加するって言いそうだな。
「だよな~……せめて、ある程度火魔法を使えるならあれだけど……得意じゃないって言ってたし、本当に相性って大事だな」
「イーリス様に関してですが、本日のスノーベアー戦以降、少し大人しくなったように思えます。故に、ラガス坊ちゃまが強く言えば、言うことを聞くかと」
「そ、そうか? ルーノさんとリタさんに口裏を合わせてもらったら大丈夫な気がしなくもないが……そうだな。そういうのを伝える前に強敵と遭遇したら場が混乱するかもしれないし、先に伝えておくか」
部屋から出て二人の元に行くと、運良くイーリスはセルシアとの会話に夢中になっていたので、二人をこっそり呼び出すことに成功。
二人も俺たちと考えが同じ様だったので、直ぐに賛同してくれた。
35
お気に入りに追加
3,490
あなたにおすすめの小説
私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない
猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。
まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。
ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。
財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。
なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。
※このお話は、日常系のギャグです。
※小説家になろう様にも掲載しています。
※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。
異世界に行ったら才能に満ち溢れていました
みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。
異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる