599 / 954
思い付けば簡単だが
しおりを挟む
割と良い調子で戦えてると思ったが、中盤……スノーベアーが容赦なく遠距離攻撃を使い始めた。
地面を持ちあげるようにして、雪や地面の塊をぶん投げたり、鋭い爪から雪の斬撃を放ったりなど、今のイーリスにはかなり厳しい威力がある。
ボールやアローで相殺したり、アイスウォールなどでガード出来てはいる。
ただ、体力的に限界が見えてきた。
相変わらず鬼気迫る表情で攻防を行い、その壁を乗り越えようとする精神は立派というか、本気度の高さが伝わってくる。
それでも……やっぱり、リザード公爵様のことを考えると、死なせる訳にはいかない。
もう絶対に無理だと思ったら、割って入る。
魔力に関しても、もう残りが多くはないだろうからな。
「まだ、ここから……」
諦めてはいない。
ここにきてスノーベアーとの差に絶望していないのは、評価に値する部分だ。
相性の悪さもそうだが、現状の魔力や体力の差を考えれば、絶望……諦めるには十分な状況。
にも拘わらず、イーリスの目は死んでいない。
ただな~~、ここからスノーベアーに勝つには、やっぱりアサルトタイガーファングをぶち込む必要がある。
目やケツの穴にランスやジャベリンをぶち込めたら別なんだが、頭は当然警戒されてるだろうし……いや、ケツ穴に関しては警戒してないか?
それならワンチャン……でも、イーリスの魔力操作だと、ギリギリそこまでスノーベアーの警戒をすり抜けて、後方からぶっ刺すのは無理か。
良い案だと思ったが、それが無理ならやっぱりアサルトタイガーファングにたよるしかなさそうだな。
でも、あれは発動までに準備が必要だ。
スノーベアーがその隙を見逃すとは思えない。
無理矢理距離をとっても……遠距離攻撃でやられるよな。
………………いや、一つだけ方法はあるか。
ただ、これをイーリスに教えたら、あいつだけの実力にはならない。
あいつがこの方法を考え付くか……もしくは、俺が思い付いた方法以外の、討伐方法を思い付くか。
それが無理なら、もう割って入るしかない。
てか、そろそろルーノさんとリタさんの堪えが限界に来そうだ。
「はっ!!!」
「おっ!?」
おっとっと、変な声が出てしまった。
でも、まさかの俺が考えてた内容に辿り着くとは……今、イーリスはアイスフロアを発動した。
スノーベアーは雪の上での動きに関しては、イーリスより三枚も四枚も上手。
だが、今まで氷の上で動いたことはなかった。
「ッ!!!???」
よっぽど優れた天性のバランス感覚がなければ、すっ転ぶのは当然。
仮にちゃんと立つことが出来たとしても、スムーズに滑るのにはかなりの時間が必要。
俺も氷弾を使って簡易のスケート場を作ったけど、思い通りに滑れるようになるまで、かなり時間が掛かった。
頑張れば氷の上から脱出できるかもしれない。
なんなら、思いっきりスノーベアーが持つ鋭い爪に魔力を纏い、突き立てれば一発で脱出できるだろう。
ただ……あの慌てっぷりを見る限り、アサルトタイガーファングが完成するまで、その考えを思い付くことはないだろうな。
時間が掛かるとはいっても、何十秒も必要な訳じゃない。
俺と大会で戦ってから魔法の方も成長してるってことを考えれば、発動までの時間も短くなってる筈。
「終わりだ!!!!」
……うん、誰? と思わず口に出したくなる程の変わりっぷりだな。
それほどこの戦いに懸けてたってのは分かってたけど……随分荒々しくなったもんだ。
いや、荒々しいのは元からか。
とりあえず、壁は乗り越えられたと思って良さそうだな。
アサルトタイガーファングは逃げ戸惑うスノーベアーに直撃し、見事に顔面を食い千切った。
というか、上半身の半分以上はペチャンコか?
「……倒せ、た」
そう言うと、イーリスは膝から崩れ落ちた。
地面を持ちあげるようにして、雪や地面の塊をぶん投げたり、鋭い爪から雪の斬撃を放ったりなど、今のイーリスにはかなり厳しい威力がある。
ボールやアローで相殺したり、アイスウォールなどでガード出来てはいる。
ただ、体力的に限界が見えてきた。
相変わらず鬼気迫る表情で攻防を行い、その壁を乗り越えようとする精神は立派というか、本気度の高さが伝わってくる。
それでも……やっぱり、リザード公爵様のことを考えると、死なせる訳にはいかない。
もう絶対に無理だと思ったら、割って入る。
魔力に関しても、もう残りが多くはないだろうからな。
「まだ、ここから……」
諦めてはいない。
ここにきてスノーベアーとの差に絶望していないのは、評価に値する部分だ。
相性の悪さもそうだが、現状の魔力や体力の差を考えれば、絶望……諦めるには十分な状況。
にも拘わらず、イーリスの目は死んでいない。
ただな~~、ここからスノーベアーに勝つには、やっぱりアサルトタイガーファングをぶち込む必要がある。
目やケツの穴にランスやジャベリンをぶち込めたら別なんだが、頭は当然警戒されてるだろうし……いや、ケツ穴に関しては警戒してないか?
それならワンチャン……でも、イーリスの魔力操作だと、ギリギリそこまでスノーベアーの警戒をすり抜けて、後方からぶっ刺すのは無理か。
良い案だと思ったが、それが無理ならやっぱりアサルトタイガーファングにたよるしかなさそうだな。
でも、あれは発動までに準備が必要だ。
スノーベアーがその隙を見逃すとは思えない。
無理矢理距離をとっても……遠距離攻撃でやられるよな。
………………いや、一つだけ方法はあるか。
ただ、これをイーリスに教えたら、あいつだけの実力にはならない。
あいつがこの方法を考え付くか……もしくは、俺が思い付いた方法以外の、討伐方法を思い付くか。
それが無理なら、もう割って入るしかない。
てか、そろそろルーノさんとリタさんの堪えが限界に来そうだ。
「はっ!!!」
「おっ!?」
おっとっと、変な声が出てしまった。
でも、まさかの俺が考えてた内容に辿り着くとは……今、イーリスはアイスフロアを発動した。
スノーベアーは雪の上での動きに関しては、イーリスより三枚も四枚も上手。
だが、今まで氷の上で動いたことはなかった。
「ッ!!!???」
よっぽど優れた天性のバランス感覚がなければ、すっ転ぶのは当然。
仮にちゃんと立つことが出来たとしても、スムーズに滑るのにはかなりの時間が必要。
俺も氷弾を使って簡易のスケート場を作ったけど、思い通りに滑れるようになるまで、かなり時間が掛かった。
頑張れば氷の上から脱出できるかもしれない。
なんなら、思いっきりスノーベアーが持つ鋭い爪に魔力を纏い、突き立てれば一発で脱出できるだろう。
ただ……あの慌てっぷりを見る限り、アサルトタイガーファングが完成するまで、その考えを思い付くことはないだろうな。
時間が掛かるとはいっても、何十秒も必要な訳じゃない。
俺と大会で戦ってから魔法の方も成長してるってことを考えれば、発動までの時間も短くなってる筈。
「終わりだ!!!!」
……うん、誰? と思わず口に出したくなる程の変わりっぷりだな。
それほどこの戦いに懸けてたってのは分かってたけど……随分荒々しくなったもんだ。
いや、荒々しいのは元からか。
とりあえず、壁は乗り越えられたと思って良さそうだな。
アサルトタイガーファングは逃げ戸惑うスノーベアーに直撃し、見事に顔面を食い千切った。
というか、上半身の半分以上はペチャンコか?
「……倒せ、た」
そう言うと、イーリスは膝から崩れ落ちた。
34
お気に入りに追加
3,490
あなたにおすすめの小説
私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない
猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。
まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。
ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。
財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。
なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。
※このお話は、日常系のギャグです。
※小説家になろう様にも掲載しています。
※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
公爵令嬢はアホ係から卒業する
依智川ゆかり
ファンタジー
『エルメリア・バーンフラウト! お前との婚約を破棄すると、ここに宣言する!!」
婚約相手だったアルフォード王子からそんな宣言を受けたエルメリア。
そんな王子は、数日後バーンフラウト家にて、土下座を披露する事になる。
いや、婚約破棄自体はむしろ願ったり叶ったりだったんですが、あなた本当に分かってます?
何故、私があなたと婚約する事になったのか。そして、何故公爵令嬢である私が『アホ係』と呼ばれるようになったのか。
エルメリアはアルフォード王子……いや、アホ王子に話し始めた。
彼女が『アホ係』となった経緯を、嘘偽りなく。
*『小説家になろう』でも公開しています。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?
志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。
そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄?
え、なにをやってんの兄よ!?
…‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。
今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。
※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる