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じょ、冗談だよな?

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「中々見つからないもんだな」

「街からそう離れた場所でもありませんからね」

今日も頑張って探しに探したが……ヘイルタイガーやアイスドラゴン。
もしくは、それクラスの強さを持つモンスターとは遭遇しなかった。
遭遇するモンスターは、精々Cランクのモンスター……物足りなさはあるが、確かに街からあまり離れていない場所にBランクやAランクのモンスターがいるのは、普通に考えて危ないよな。

それと……もうそろそろ街に到着するんだけど、相変わらずイーリスのテンションが低い。
繊細なタイプかもとは思ってたけど、今回の一件では結構がっつりメンタルやられた感じか?

まぁ、別に俺は何もしてないから……勝手にイーリスが自爆したって感覚ではあるけど。
とはいえ、リザード公爵様からの依頼を達成するまでには、以前通りの状態に戻っておいてほしいもんだ。

『ねぇ、ラガス』

『ん? なんだ、ルーフェイス』

『あの女の人、嫌い? 嫌いなら、食べちゃった方が良い?』

『っ!!!???』

突然のルーフェイスの発言に、おそらく……表情が超おかしくなった。

『い、いきなりなんてこと言うんだよ! びっくりするだろ』

『でも、ラガスがあの女の人をめんどくさそうに思ってたから』

う、ん~~~……それは確かにそうだな。間違いない。
正直なところ、今のイーリスは以前と比べて更にめんどくさいというか……ちょっと不気味さがある。

ルーノさんやリタさんもいるから、危ない目に合ったり……良からぬことを実行しようとは思わないだろうけど。

『そうだな。ルーフェイスの言う通り、ちょっとめんどくさいと思ってる。でも、食べるのはなしだ』

『ん~~……なら、蹴りとばす?』

『おい!』

じょ、冗談なのか? 単純におれをからかってるだけ? …………にしては、いつもと変わらず済んだ眼をしてるな。

『とりあえず、何もしなくて大丈夫だから』

『うん、分かった』

いや、本当に何もしなくても大丈夫だから……ふりじゃないよ、ルーフェイス。

「戻ってきましたね」

雪原からウィルキリアまで戻り、直ぐに泊っている宿で夕食を食べる。

「ラガスさん、やっぱり遠出しないと駄目じゃないっすか?」

「遠出な……そうだな、ちょっと考えとかないとな」

一日の間に探索できる距離だと、どうしても探索範囲が狭くなる。

個人的には、日帰りで到着できる距離にヘイルタイガーやアイスドラゴンが生息してくれると助かるんだが……ウィルキリア的には、最悪な状況だろうな。

そうなると、やっぱりルーフェイスに体を大きくしてもらって、メリルたちを背に乗っけて俺は走って……待て、今回はいつものメンバーだけじゃないんだったな。

「ただ、遠出をするってなると、天候が読めないのはなぁ……」

「ラガス坊ちゃま。自分とルーフェイスだけで終わらせた方が良いかも、なんて事考えてたりしてませんか?」

「い、いや。別にそんな危ないこと考えてないって」

「そうですか。それなら良いのですが」

……本当に本気でそういった事は考えてないけど、よくよく考えれば……それで良いなら、俺とルーフェイスだけで終わらせたい。

ただ、それだとセルシアたちが納得しないしな……何より、絶対にメリルが怒る。

「ラガス様、そこは仕方ありません。私たちも、雪や吹雪に対する用意はしています」

「吹雪の中であろうとも、普段通り戦える準備はしているので、ご安心ください」

「頼もしいですね」

本当に頼もしい発言だが、またそんな言葉を口にしたらイーリスの機嫌が……黙々と夕食を食べてるな。
特に機嫌が悪くなったような気配はないが……個人的には、イーリスは宿の中で待っていてくれた方が有難い。

今朝までの状態ならともかく、今の状態だとな……俺やルーフェイスたちだって、完璧じゃない。
それはルーノさんとリタさんも同じだ。

ただ、本人にそれを言っても素直に了承してくれるか分からないから……翌日の探索で、一度様子を見るか。
もし気が抜けすぎててヤバそうなら、マジで宿の中に入れてもらおう。
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