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味方が増えるのは嬉しいけども
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ブルブルと体が震えるほど寒くはないが、それでも気温が一定に保たれている馬車から降りると、やや寒いと感じてしまう。
雪山の方に行けば、もっと寒いんだろうな……まっ、対策はあるから大丈夫だろうけど。
「それでもはラガス坊ちゃま、本日は雪山に向かわずということで宜しいですね」
「あぁ、今日はさすがにな……」
雪が酷いとかの話ではなく、単純に現在の時刻的に雪山に向かうのは良くない。
そりゃヘイルタイガーやアイスドラゴンを狩るなら、雪山で野営してもっと奥の方まで捜索しなきゃいけないとは考えてる。
けど、初っ端からそれをする気にはならない。
「本当に狩れるのかしらね」
「言ったろ。Bランクのモンスターなら既に倒せてる。標的が見つかれば、俺だけで戦うつもりもない」
今回に限っては、一人で強敵と戦おうとは思ってない。
シュラにはその気があるかもしれないけど、今回ばかりはちょっと遠慮してもらう。
慣れない場所ってのもあるし、手紙に書かれていたヘイルタイガーやアイスドラゴンであれば、なるべく傷付けずに倒したい。
無茶な願いってのは解ってるけど、これだけ戦える人数がいれば、絶対に無理ということはない。
セルシアが紫電崩牙を振るえば、首を一刀両断することも不可能ではなく、ルーノさんやリタたんもいるから戦力的には本当に申し分な、い……そういえば、二人にはイーリスを絶対に死守する役目があったんだな。
「ちょっと、なによその良く解らない目は」
本当にちょっと邪魔だなと思いつつも、戦いに割って入れない戦力の低さと相性の悪さを憐れむような眼を、思わずイーリスに対して向けてしまった。
いや、この件に関してはイーリスは悪くない……そう、悪くないんだ。
リザード公爵様が悪いとも言えないけど、少なくともイーリスは今回の旅に付いてきたくなかった筈。
いくら親友(イーリスが一方的に思ってるかもしれない)や尊敬する先輩であるラージュさんと一緒とはいえ、ぶっ飛ばさるならアサルトタイガーファングでぶっ潰したい俺と一緒にいたくないだろう。
ただ……それでも、父親であるリザード公爵様に同行しろと言われたから、同行せざるを得なかった……もう一度言おう、ドンマイ。
「いや、別になんでもない」
「なんでもないって目してないでしょ。なんなのよ!!」
「なんでもないって言ってるだろ。気にするな」
「イーリス、ラガス君がなんでもないと言ってるのだから、それ以上迫るのは止めなさい」
「わ、分かりました」
いや~~、面倒なイーリスを抑えてくれるラージュさん、マジで有難い。
今の流れで行くと、絶対にイーリスのやつ、なんで複雑な目を向けたのか聞きだすまで引き下がらなかっただろうからな。
ただ……あんまりラージュさんが俺の味方ばかりすると、更にイーリスの嫉妬が強くなる気がする。
いや、既に少々鋭い視線が更に研がれてるか?
「ラガス様、夕食までまだ時間はありますが、どうしますか?」
「そうですね…………ハンターギルドの訓練場で、体を動かしたいですね」
寒いことには寒いし、やっぱり体を動かして暖めたい。
「イーリスはどうする? また模擬戦でもするか?」
「……良いわね。今度こそぶっ飛ばしてあげる」
「それは楽しみだな」
何故今俺がイーリスに声を掛けたのか……これは、先程考えたことと同じ理由。
旅を始めてから、それなりにルーノさんとは仲良くなった。
しかし、ノールさんは護衛のハンターではなく、イーリスの護衛騎士。
なので……あんまり俺と仲良くしてると、これまたイーリスの機嫌が悪くなると思った。
別にイーリスの機嫌など気にする必要はないと思ってたが、誰かの機嫌が悪いと次第に空気まで悪くなる。
面倒だと思いつつも、ある程度機嫌を取らなければならない……なんで俺がそんなこと気にしないと駄目なんだと思うけどな。
雪山の方に行けば、もっと寒いんだろうな……まっ、対策はあるから大丈夫だろうけど。
「それでもはラガス坊ちゃま、本日は雪山に向かわずということで宜しいですね」
「あぁ、今日はさすがにな……」
雪が酷いとかの話ではなく、単純に現在の時刻的に雪山に向かうのは良くない。
そりゃヘイルタイガーやアイスドラゴンを狩るなら、雪山で野営してもっと奥の方まで捜索しなきゃいけないとは考えてる。
けど、初っ端からそれをする気にはならない。
「本当に狩れるのかしらね」
「言ったろ。Bランクのモンスターなら既に倒せてる。標的が見つかれば、俺だけで戦うつもりもない」
今回に限っては、一人で強敵と戦おうとは思ってない。
シュラにはその気があるかもしれないけど、今回ばかりはちょっと遠慮してもらう。
慣れない場所ってのもあるし、手紙に書かれていたヘイルタイガーやアイスドラゴンであれば、なるべく傷付けずに倒したい。
無茶な願いってのは解ってるけど、これだけ戦える人数がいれば、絶対に無理ということはない。
セルシアが紫電崩牙を振るえば、首を一刀両断することも不可能ではなく、ルーノさんやリタたんもいるから戦力的には本当に申し分な、い……そういえば、二人にはイーリスを絶対に死守する役目があったんだな。
「ちょっと、なによその良く解らない目は」
本当にちょっと邪魔だなと思いつつも、戦いに割って入れない戦力の低さと相性の悪さを憐れむような眼を、思わずイーリスに対して向けてしまった。
いや、この件に関してはイーリスは悪くない……そう、悪くないんだ。
リザード公爵様が悪いとも言えないけど、少なくともイーリスは今回の旅に付いてきたくなかった筈。
いくら親友(イーリスが一方的に思ってるかもしれない)や尊敬する先輩であるラージュさんと一緒とはいえ、ぶっ飛ばさるならアサルトタイガーファングでぶっ潰したい俺と一緒にいたくないだろう。
ただ……それでも、父親であるリザード公爵様に同行しろと言われたから、同行せざるを得なかった……もう一度言おう、ドンマイ。
「いや、別になんでもない」
「なんでもないって目してないでしょ。なんなのよ!!」
「なんでもないって言ってるだろ。気にするな」
「イーリス、ラガス君がなんでもないと言ってるのだから、それ以上迫るのは止めなさい」
「わ、分かりました」
いや~~、面倒なイーリスを抑えてくれるラージュさん、マジで有難い。
今の流れで行くと、絶対にイーリスのやつ、なんで複雑な目を向けたのか聞きだすまで引き下がらなかっただろうからな。
ただ……あんまりラージュさんが俺の味方ばかりすると、更にイーリスの嫉妬が強くなる気がする。
いや、既に少々鋭い視線が更に研がれてるか?
「ラガス様、夕食までまだ時間はありますが、どうしますか?」
「そうですね…………ハンターギルドの訓練場で、体を動かしたいですね」
寒いことには寒いし、やっぱり体を動かして暖めたい。
「イーリスはどうする? また模擬戦でもするか?」
「……良いわね。今度こそぶっ飛ばしてあげる」
「それは楽しみだな」
何故今俺がイーリスに声を掛けたのか……これは、先程考えたことと同じ理由。
旅を始めてから、それなりにルーノさんとは仲良くなった。
しかし、ノールさんは護衛のハンターではなく、イーリスの護衛騎士。
なので……あんまり俺と仲良くしてると、これまたイーリスの機嫌が悪くなると思った。
別にイーリスの機嫌など気にする必要はないと思ってたが、誰かの機嫌が悪いと次第に空気まで悪くなる。
面倒だと思いつつも、ある程度機嫌を取らなければならない……なんで俺がそんなこと気にしないと駄目なんだと思うけどな。
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