上 下
562 / 950

眠らせるのは勿体ない

しおりを挟む
学園に帰ってきてから数日後……特別寮に、大量の荷物が届いていた。

「ラガス坊ちゃま、これからは全て中身が確認されているそうです」

「つまり、危険はないという訳か」

「そうですね。ここで直ぐに開けても問題無いかと」

「……問題無いかもしれないけど、全部部屋の中に入りきるか?」

先日、三本角のオーガジェネラル率いるオーガ、その上位種が俺たちが演習していた方向に向かって来たという事件があった。

オーガ達にとって、基本的に人は倒すべき存在。
なんなら食料と認識している個体も多い。

そんな群れから、俺は同級生達を守る為……本心としては、オーガの素材が大量にゲットできると嬉しいなという思いがあり、群れに突っ込んだ。

そしてそれなりに時間が掛かったが、ボスである三本角のオーガジェネラルの討伐に成功。
生徒たちが誰一人死ぬことなく、無事にオーガを全滅させることに成功。

めでたしめでたしという結果になった。

ただ……その話が速攻で貴族界隈に広がり、演習に参加していた生徒の親御さんたちから大量の感謝の品が送られてきた。

「ラガス坊ちゃまの空間収納を使えば、問題無いかと思われます」

「……それもそうだな」

感謝の品だけではなく、ご丁寧に手紙まで添えられており、どれだけ俺に感謝しているのか良く解った。

ちなみに、前線で戦ったセルシアたちにもちょいちょい感謝の品が送られていた。

ただ……ボスである三本角のオーガジェネラルを倒した俺が、多分一番多い。

「お金……家具、高級ポーション。高品質のハンドグローブ」

家具は正直いらんが……だからといって、捨てるのはちょっとな。
売るのもそれがバレたらバレたで問題になる。

将来的に家を買ったらそこに置くか……実家で使ってもらうのもありだな。

お金は普通に有難い。
大量にあって困る物じゃないからな。
金貨よりも白金貨が圧倒的に多い……中には黒曜金貨もある。

なんだかんだで皆親に愛されているということか?
それとも貴族の面子的にということか……まっ、どっちでもいっか。

高級ポーションも非常に嬉しい。
一応俺には回復弾があるから、傷を癒す手段がゼロではないんだが……勿論、治せる範囲には限度がある。
治癒力に関しては、普通に高級ポーションに負ける。

後、この高品質ハンドグローブも嬉しいな。
こういった品には目を向けていなかったというか……伸縮自在っぽいから、俺が大きくなっても使える。

「ラガス坊ちゃま、非常に目がワクワクしていますよ」

「そりゃそうだろ。というかメリル、お前だってワクワクしてるじゃん」

「……」

ノーコメントかよ!

一応メリルもセルシアやロックス、リーベと一緒にオーガの群れを討伐していたので、いくつか感謝の品が届いている。

「ふふふ」

あれは……誰が造ったとか全く知らないけど、絶対に高級な茶器だよな。

「超嬉しそうじゃん……わぉ、武器まであるのかよ」

制作者の名前が刻まれている者もある。
……この名前は、どっかで聞いたことがある……あんまりそういうのに詳しくない俺の記憶に残ってるということは、相当高名な鍛冶師ってことだよな。

「あら、また高級な武器が増えましたね」

「そ、そうだな……やっぱり、実戦で使わないと勿体ないよな」

確か空間収納の中には、リザード公爵から貰った高ランクの対刃剣も眠ってる。
あれだけの武器を眠らせておくのは……絶対だめだな。

対刃剣とか使えなくはないけど、一応メインはロングソードだからな……双剣系の扱いなら、若干メリルの方が上の気はするし、メリルに渡すのもありか。

「? どうかしましたか」

「メリルにこういった武器を使ってもらうのもありだと思ってな」

「……高性能な武器を使えるのは嬉しいですが、ラガス坊ちゃまの為に造られた武器ですし、ラガス坊ちゃまが使うのが一番良いのではないでしょうか」

まぁそうかもしれないけど、眠らせておくよりは絶対に良いんだよな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!

猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」 無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。 色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。 注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします! 2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。 2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました! ☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。 ☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!) ☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。 ★小説家になろう様でも公開しています。

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません

みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。 未来を変えるために行動をする 1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない

猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。 まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。 ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。 財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。 なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。 ※このお話は、日常系のギャグです。 ※小説家になろう様にも掲載しています。 ※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。 異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

処理中です...