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SIDE アルガンツ
(大会での力が、全てではないと思っていたが……どうやら想像以上の力を秘めていたようだな)
オーガやその上位種を倒す中、アルガンツは教え子であるラガスと三本角のオーガジェネラルとの戦いに……普段は見せない力を使って戦うラガスの強さに感嘆していた。
三本角のオーガジェネラルも高い身体能力を活かし、手に持つ大剣だけではなく時折拳や脚を使った攻撃を放つ。
だが、そんな一撃食らえば大ダメージの攻撃を舞う様に躱し、カウンターを決める。
もしくは自ら前に進み、脚や腹に体技をぶち込むラガス。
ラガスが学園に入学するまでいったいどんな生活を送ってきたのか、風の噂でなんとなくは聞いたことがある。
それを聞いて、一年生にしてあそこまで戦い慣れている理由としては、十分過ぎた。
一年生ながら、団体戦優勝の立て役者になったのも理解出来る。
ただ……今戦っている三本角のオーガジェネラルは、実質Aランクモンスターの力を持つ化け物。
当然の話だが、ずば抜けた力を持っていようとも、生徒が一人で戦う様な相手ではない。
(……百年に一度、では足りないか。千年に……万年に一度の逸材というべきか)
まだ十五を越えていない年齢でここまでの実力を有し、まだ限界に達してい事実。
まさに未完の怪物と呼ぶべき存在。
(だが、それでも決して完全に優勢ではない)
今のところ、ラガスの攻撃のみがオーガジェネラルにヒットしているが、攻撃を食らう度に高速で治癒しているため、殆どダメージなしと変わらない。
それに加えて……徐々に動くスピードが上がってきている。
「正拳突き!!!!」
「ッ!!!!????」
大剣を躱し、懐まで潜り込んだラガスは全力で正拳突きを叩きこんだ。
吹き飛ばされた三本角のオーガジェネラルは確かに胸骨をバキバキに折られ、内部が損傷した。
(今のは良い感じに折れただろ。もしかしたら心臓まで……いってないか)
今放た正拳突きは、ラガス自身も中々良い一撃だったと感じた。
しかし、その会心の正拳突きもオーガの命を抉るには足らなかった。
(いや、今の一撃は決して悪くなかった。その証拠に、今まで一番多くの血を吐き出している。奴の再生力なら既に傷を癒えているだろうけど、失った血までは戻らない)
内側がやられ、その影響で吐きだした血の量は決して少なくない。
(本当なら加勢した方が良いんだろうけど……あの眼は何度か見たことがあるんだよな~……)
それなりにハンターとして活動してきたアルガンツは……三本角のオーガジェネラルと対峙するラガスの目に、既視感があった。
(あれはどう見ても、戦いを楽しんでいる者の目だ)
相手が人であれ、モンスターであれ……強敵との戦いを心の底から楽しむ人種は一定数存在する。
三本角のオーガジェネラルの実力を考えれば、本来を戦いを楽しむ余裕などはないはず。
にもかかわらず、ラガスは所々で楽しそうな笑みを浮かべている。
(従魔である狼竜も大人しく決着を待っている。であれば、ここで私がラガスの援護を行うのは、無粋というものだろう)
今はただただ生徒の勝利を祈る。
それが自分に出来ることだと思った。
(ラガス……良いな~~~、あんな強い敵と戦えて)
アルガンツが生徒の勝利を祈っている中、従魔であるルーフェイスは三本角という非常に珍しい個体であるオーガジェネラルと一人で戦っているラガスを、非常に羨ましく思っていた。
ルーフェイスはラガスに戦いの援護をするな、こいつとは自分一人だけで戦う……なんて宣言はされていないので、周囲のオーガや上位種を倒し終えたのであれば、参戦することを拒否したりはしない。
だが、元々はラガスが一人だけで戦っており……もし自分がラガスの立場であれば、一人だけで倒したいという思いが強い。
それらの理由から、ルーフェイスはラガスから要請があるまで、手を貸そうとは思わなかった。
(大会での力が、全てではないと思っていたが……どうやら想像以上の力を秘めていたようだな)
オーガやその上位種を倒す中、アルガンツは教え子であるラガスと三本角のオーガジェネラルとの戦いに……普段は見せない力を使って戦うラガスの強さに感嘆していた。
三本角のオーガジェネラルも高い身体能力を活かし、手に持つ大剣だけではなく時折拳や脚を使った攻撃を放つ。
だが、そんな一撃食らえば大ダメージの攻撃を舞う様に躱し、カウンターを決める。
もしくは自ら前に進み、脚や腹に体技をぶち込むラガス。
ラガスが学園に入学するまでいったいどんな生活を送ってきたのか、風の噂でなんとなくは聞いたことがある。
それを聞いて、一年生にしてあそこまで戦い慣れている理由としては、十分過ぎた。
一年生ながら、団体戦優勝の立て役者になったのも理解出来る。
ただ……今戦っている三本角のオーガジェネラルは、実質Aランクモンスターの力を持つ化け物。
当然の話だが、ずば抜けた力を持っていようとも、生徒が一人で戦う様な相手ではない。
(……百年に一度、では足りないか。千年に……万年に一度の逸材というべきか)
まだ十五を越えていない年齢でここまでの実力を有し、まだ限界に達してい事実。
まさに未完の怪物と呼ぶべき存在。
(だが、それでも決して完全に優勢ではない)
今のところ、ラガスの攻撃のみがオーガジェネラルにヒットしているが、攻撃を食らう度に高速で治癒しているため、殆どダメージなしと変わらない。
それに加えて……徐々に動くスピードが上がってきている。
「正拳突き!!!!」
「ッ!!!!????」
大剣を躱し、懐まで潜り込んだラガスは全力で正拳突きを叩きこんだ。
吹き飛ばされた三本角のオーガジェネラルは確かに胸骨をバキバキに折られ、内部が損傷した。
(今のは良い感じに折れただろ。もしかしたら心臓まで……いってないか)
今放た正拳突きは、ラガス自身も中々良い一撃だったと感じた。
しかし、その会心の正拳突きもオーガの命を抉るには足らなかった。
(いや、今の一撃は決して悪くなかった。その証拠に、今まで一番多くの血を吐き出している。奴の再生力なら既に傷を癒えているだろうけど、失った血までは戻らない)
内側がやられ、その影響で吐きだした血の量は決して少なくない。
(本当なら加勢した方が良いんだろうけど……あの眼は何度か見たことがあるんだよな~……)
それなりにハンターとして活動してきたアルガンツは……三本角のオーガジェネラルと対峙するラガスの目に、既視感があった。
(あれはどう見ても、戦いを楽しんでいる者の目だ)
相手が人であれ、モンスターであれ……強敵との戦いを心の底から楽しむ人種は一定数存在する。
三本角のオーガジェネラルの実力を考えれば、本来を戦いを楽しむ余裕などはないはず。
にもかかわらず、ラガスは所々で楽しそうな笑みを浮かべている。
(従魔である狼竜も大人しく決着を待っている。であれば、ここで私がラガスの援護を行うのは、無粋というものだろう)
今はただただ生徒の勝利を祈る。
それが自分に出来ることだと思った。
(ラガス……良いな~~~、あんな強い敵と戦えて)
アルガンツが生徒の勝利を祈っている中、従魔であるルーフェイスは三本角という非常に珍しい個体であるオーガジェネラルと一人で戦っているラガスを、非常に羨ましく思っていた。
ルーフェイスはラガスに戦いの援護をするな、こいつとは自分一人だけで戦う……なんて宣言はされていないので、周囲のオーガや上位種を倒し終えたのであれば、参戦することを拒否したりはしない。
だが、元々はラガスが一人だけで戦っており……もし自分がラガスの立場であれば、一人だけで倒したいという思いが強い。
それらの理由から、ルーフェイスはラガスから要請があるまで、手を貸そうとは思わなかった。
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