上 下
508 / 965

それはそれでムカつく

しおりを挟む
「ワゥッ!!!!!」

「ギィィァァアアアッ!!!」

ルーフェイスとアサルトワイバーンの爪撃がぶつかって、結果は互角。
モンスターのランクとしてはルーフェイスの方が上なんだが、まだまだ子供だからか?

「ラガス君、私が攻めても良いかな」

「えぇ、勿論。それでは俺は動きながらサポートします」

俺の答えを聞き終わると直ぐに掛けだすロウレット公爵様の背を狙い、脚力強化の付与弾を撃つ。

「ッ!!?? はは、これは良いな……遠慮なく頼らせてもらおう」

直ぐに俺の能力に気付いてくれたみたいだな。
一応念のために、ルーフェイスにも付与しておくか。

『ありがとう、ラガス!! よぉ~~~~し、負けないぞ!!!!』

アサルトワイバーンの空中で動き回るのは厄介だが、それでも森の中を駆けまわるスピードならルーフェイスも負けてない。

更に脚力だけなら魔靴を装備してるロウレット公爵様も劣らず負けず。
後は俺もラビットフットを使えば問題無し。

動きながらでも十分に対応出来る。

「ギィアアッ!!!」

「ほほ、恐ろしい切れ味だな」

ロウレット公爵様は表情を変えずに躱したが、大木を尾で両断か……普通は荒々しい跡が残るもんだけど、あれだけスパッと切れるのは確かに恐ろしいな。

「でも、手数が多ければダメージはしっかりと与えられるな」

ロウレット公爵様とルーフェイスの攻撃は相殺する形をとってるが、基本的に俺の魔弾は無視。
当たったところで大したダメージはないと思ってるんだろうな。

当てた個所をよ~く見ればそんなことはないと思うんだけどね。
塵も積もれば山となるって言うし、これなら俺が蓄積させたダメージが要因となって生まれた隙をルーフェイスかロウレット公爵様が突いて、そこで戦闘終了になるだろうな。

『ラガス、ラガスは近づいて戦わなくても良いの?』

『あぁ、別に構わないよ。魔弾だけで戦うのも悪くないからな』

ルーフェイスだって翼を出さずに戦ってるし、俺もそれぐらい制限を付けて戦っても良いだろ。
それにロウレット公爵様だって、今身に着けて戦ってる武器はきっと本気で戦う時の武器じゃない。

まぁ、あまりにも一瞬で倒したらストレス発散にならないだろうから、敢えてランクの低い武器を使ってるんだろうけどさ。

「にしても遠慮ないという肉食というか、恐れ知らずというか……同じドラゴンという種族で考えれば、ルーフェイスの方が格上なのに、あれだけ食らいつけるのは賞賛に値するな」

ルーフェイスが子供だということ差し引いても、数が多くないドラゴンの中でも更に希少な種族である狼竜。
そしてただ希少なだけじゃなくて、桁外れの強さを持っている個体だ。

そんなドラゴンの子供であるルーフェイスとおそらく父さんと同じか、もしかしてそれ以上の実力を持つロウレット公爵様を相手に……本当によくやるよ。

でも、あんまり火のブレスとかは使わないんだな。
使われたら消火が面倒だからこちらとしては有難いんだけど……木が消えたら消えたで自分が不利になるってのを把握してるからか?

だとしたら殺戮性が高いだけじゃなくて、頭もそれなりに回るってことか。
未だにルーフェイスとロウレット公爵様の攻撃はなんとか凌いでる……精神面で削られてるかもしれないが、凄いことに変わりはないな。

もっとも、二人が本気を出したら話はまた別なんだろうけど。

ただ……マジで俺の攻撃は眼とかに当る以外はガン無視なんだな。
ちょいちょいダメージは与えられてるから良いやと思ってたけど……それはそれでムカいてきたな。

魔弾の種類を変えて撃つか。

「これなら少しはビビるだろ」

魔弾の性質を変更し、発射。
さっきまでと同じく避けるだろう……と思ってたけど、ギョッとした表情で避けた。

あらあらマジか。
頭が回るだけじゃなくて、直感も優れてるのか。

でも……無理矢理避け過ぎたみたいだな。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。

朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。 婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。 だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。 リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。 「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...