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男に逃げられたその果てに……

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ロウレット公爵様との会話はまぁ……それなりに楽しかった。
相変わらず緊張し続けてたけど、公爵様はフランクに接してくれるからな……かといって、あまりこっちが馴れ馴れしく態度を変えるのは違うよな。

「お帰りなさいっす、ラガスさん」

「おう、ただいま~~」

「やっぱり公爵様とのお話は疲れるっすか?」

「そりゃ疲れるよ。全然悪い人じゃないし、優しい態度で接してくれるんだけどね」

それでも男爵家の四男である俺が緊張するかしないかは別の話。

「公爵様とはいったいどんなことを話してたんすか」

「ん~~~~……色々と話したけど、お互いの気持ちが物凄く重なった瞬間? があった」

「公爵様とラガスさんの気持ちが? いったいどんな話なんすか」

「リーベとアザルトさんを懸けて戦ったライド君を覚えてるだろ」

「勿論覚えてるっすよ。あの異常に強いハンター志望の平民で、ラガスさんの友人の友人っすよね」

「そう、そのライド君だ」

意外と俺との関りがゼロではないんだよな。

「リーベの奴は勿論可哀想なんだが、これからのことを考えるとライド君も可哀想だよなって話で盛り上がったというか……いや、盛り上がってはいないか。逃げ出したくなる程、これから辛い人生を歩むだろうなぁ……って感じで考えが一致したというか」

「……あぁ、なるほど。そういえばそうだったっすね……確かに、今後のことを考えると可哀想だとは思うっす」

やっぱりそうだよな。

いくら自分の力では一緒になれない人とようやく一緒になれるとしても、その時は嬉しさで胸いっぱいかもしれないけど……現実と言う名の返さなきゃいけない借金を理解したらどうなることやら。

でも、あれだけ真っすぐな男の子なら……頑張って返すか?

返し終わるまで何十年と掛かると思うけど。

「ロウレット公爵様、逃げても仕方ないよねって言ってたよ。ほら、平民なわけだからあんまり貴族の事情とか分からないだろ。あの時だって、好きな人と一緒にいるためにがむしゃらに頑張ってたわけだし」

「そうっすね。けど、逃げたら逃げたで色々と言われそうじゃないっすか?」

「かもしれないけど、莫大な借金を背負って生き続けるより良いと思うけど……いや、待てよ。もしライド君が逃げるという選択肢を取れば……あの悲劇のヒロイン病に掛かっているアザルトさんがストーカーになる可能性大だな」

そうだよ……ヤンデレストーカーになるかもしれない……てか、かもしれないじゃないな。
ライド君に逃げられたら地の果てまで追いかけるヤンデレストーカーになるの確定じゃん。

クールな見た目してるからちょっと想像つかないけど……やっぱり、ザックスたちには早いうちにライド君とは距離を置いた方が良いって伝えた方が良いな。

「あ、ラガスさん。顔色悪くなってるっすけど、大丈夫っすか!?」

「お、おう。大丈夫だ。ちょっと恐ろしい可能性が頭に浮かんでな」

マジで三人と会って事情を説明しよう。
俺がリーベと繋がっていたってのは、現段階だと隠していた方が良いか?

同じ学校にいるんだから、無関係でも事情を知っててもおかしくないよな。

「そういえば、メリルはどこにいるんだ?」

「メリルの奴は女子会ってやつに参加してます。いつもの面子に加えて、リッシュ様もいるっす」

「女子会か」

メリルはなんだかんだで、しっかり楽しんでそうだな。

「……時間も丁度良いし、風呂に入りにいくか」

「了解っす!!」

結局その日は寝るまでメリルと会わず、豪華な客用の寝室で寝た。
パートナー専用寮のベッドも寝心地良いけど、客室のベッドも負けず劣らずって感想だ。

風呂に入って良い感じの眠気が来てたってのもあるけど、秒で寝た……と、思う。

そして翌日……朝食を食べ終えてから領地の外に出てモンスターを狩ると予定していた。

「さぁ、出発しようか!!」

だが、その仮に元気いっぱいのロウレット公爵様が付いてくる事になった。
なんで??
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